エース頼みではない「全員駅伝」で2020年の箱根路を駆け抜けようとしている早稲田大学競走部。主力選手の一人、中谷雄飛選手のインタビューを中心に、選手とマネージャーらスタッフも一丸となっている競走部員の箱根駅伝への意気込みを紹介します。
取材は11月27日に行いました。
「箱根1区で区間賞を」 早稲田に入ったからこそ目標は世界
◆中谷 雄飛(スポーツ科学部2年=長野・佐久長聖高卒)
――前回の箱根駅伝でシード落ちし、何を感じましたか。
昨年度は出雲駅伝も全日本駅伝もシードを落としていました。チームとしては箱根で挽回しようとしましたが、うまく行きませんでした。早稲田というのは常に上位にいるチームだったので「こんな下の順位で勝負するチームではないはずなのに…」という、複雑な気持ちでした。
――中谷選手は箱根駅伝予選会には出場しませんでしたが、全日本では3区・区間6位、日体大記録会(日本体育大学長距離競技会=11月16・17日開催)の5000メートルではシーズンベスト(13分48秒52)を記録しました。調子はいかがですか。
夏合宿中に左足を3回故障したのですが、3回目が治りきらず、予選会は走ることができるぎりぎりの状態でした。練習量も少なく、不安もありました。夏合宿の練習成果を試したいという気持ちもありましたが、相楽監督と相談して最後は自分で不出場を決めました。
全日本駅伝も日体大記録会も足の痛みや違和感は出ましたが、今は順調に回復していて、練習に取り組むことができています。

日体大記録会でシーズンベストを記録
――駅伝ではなく、トラック(5000メートル・10000メートルなど)を重視していることを公言しています。相楽監督とはそのことで相談はするのですか。
もともとトラックで勝負がしたくて、早稲田大学競走部に入りました。相楽監督は自分の意見をよく聞いてくれて、自由にやらせてもらっています。駅伝に対するこだわりはありませんが、メンバーに選ばれたら、走って結果を出さなくてはいけないと思っています。

「速さと強さ」を求めている中谷選手の目標。千明選手は力強く「エース」宣言
――駅伝とトラックはうまく両立できますか。
駅伝にこだわると、どうしても春のトラックシーズンに調子が合わなくなってしまいます。1年、2年とトラックで結果が出なかったのですが、駅伝ではそこそこ結果が出ているので「駅伝の方が合っているのではないか」と言われることもあります。そう言われるのはありがたいことではあるのですが、それは僕が目指していることとは違います。自分の中で原因は分かっているので、来年は改善していきます。
――箱根駅伝2020での抱負と将来の目標は?

箱根駅伝2019で1区を走る中谷選手
前回は1区で区間4位。中途半端で良い結果とは言えませんでした。今回はしっかりと結果を残したいので、勝負するからには区間賞を目指しています。個人的な希望としては再び1区でリベンジができれば。箱根駅伝の後は、やはり早稲田大学に入ったからには世界を目指したいです。
早稲田であれば竹澤健介さん(2009年スポーツ科学部卒業、北京オリンピック出場)や大迫傑さん(2014年同学部卒業、リオデジャネイロオリンピック出場、マラソン日本記録保持者)が目標です。佐久長聖高校の先輩である上野裕一郎さん(立教大学陸上部駅伝監督、2009年世界陸上出場)の積極的なレース展開もかっこよかったですね。
僕が4年生のときにアメリカで世界陸上(2021年世界陸上競技選手権大会)が行われます。まずはそこを目指します。一番の目標です。5000メートルか10000メートル、理想としては両方に出場できる走力をつけたいです。
総合3位以内を目標にみんな同じ気持ちで挑む
◆三上多聞(商学部4年=東京・早実高卒)
今まで登録メンバーに入ったことはありませんでしたが、自分のようにスポーツ推薦ではない選手が活躍するときは早稲田が強いときと言われます。それを実現できるようにしっかりと頑張りたいと思います。
大木皓太(スポーツ科学部4年=千葉・成田高校卒)
昨年、一昨年と箱根で悔しい思いをしているので、箱根で借りを返すという気持ちを持ってラストシーズン、頑張っていきたいと思います。
伊澤優人(社会科学部4年=千葉・東海大浦安高校卒)
最後の箱根駅伝。上級生としての最終決戦として、チームに貢献できるように頑張ります。
◆吉田匠(スポーツ科学部3年=京都・洛南高卒)
箱根駅伝は1年生のときから惜しいところまでいって走れていないので、今回こそ走りたいと思います。
◆宍倉健浩(スポーツ科学部3年=東京・早実高卒)
前回は登録メンバーになりましたが、出場はできませんでしたので、今回は箱根を疾走し、3位以内というチームの目標に貢献できるように頑張りたいと思います。
◆住吉宙樹(政治経済学部3年=東京・早大高等学院卒)
3位以内という目標達成のために、手堅くしっかりつないで走れるようにしたいです。
森田将平(スポーツ科学部3年=広島・修道高卒)
上級生になるので、意地を見せられるように頑張っていきたいと思います。
◆山口 賢助(文学部2年=鹿児島・鶴丸高卒)
ここまで一貫して泥臭く練習を行ってきました。本番で練習の成果を発揮して、粘り強さを見せたいと思います。
◆千明龍之佑(スポーツ科学部2年=群馬・東農大二高卒)
今年の全日本駅伝では4区・区間3位でした。箱根では最低でも区間3位以上となって、チームの3位以内という目標に貢献できるように頑張りたいと思います。
◆半澤黎斗(スポーツ科学部2年=福島・学法石川高卒)
前回の箱根は登録メンバー16名までに入りましたが、出走できなかったので、今回はまずは出場したいです。そして、3位以内というチームの目標に貢献したいと思います。
応援するというよりも、選手と一緒の気持ちで臨みます
副務・武士文哉(文学部3年=群馬・高崎高卒)
早稲田は勝たなくてはいけないチームだと認識しています。チームは「箱根駅伝3位以内」という目標を掲げていますが、これは選手だけではなくて自分たちサポート側も選手と一丸となって達成しなければならないことだという意識を持っています。
サポートでも全大学の中で3位以上のレベルのことをしないと、目標に届かないと思います。選手を応援するというよりも、自分もその一員として選手と一緒の気持ちで臨みます。
◆は箱根駅伝の出場選手として登録されたメンバー(12月10日発表)。各大学は合計16名まで登録でき、この中から10区間を走る選手が選ばれる。
その他の登録メンバー
駅伝主将・太田 智樹(スポーツ科学部4年=静岡・浜松日体高卒)
新迫 志希(スポーツ科学部4年=広島・世羅高卒)
尼子 風斗(スポーツ科学部4年=神奈川・鎌倉学園高卒)
遠藤 宏夢(商学部4年=神奈川・國學院大久我山高卒)
渕田 拓臣(スポーツ科学部3年=京都・桂高卒)
太田 直希(スポーツ科学部2年=静岡・浜松日体高卒)
井川 龍人(スポーツ科学部1年=熊本・九州学院高卒)
鈴木 創士(スポーツ科学部1年=静岡・浜松日体高卒)
撮影:高橋榮
競技写真提供:早稲田スポーツ新聞会
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