気付けば7月。夏休みの計画を立て始め、今年はどんな旅をしよう? と考えている早大生も多いのではないでしょうか。そこで今回は旅行雑誌でも特集を組まれることが多い「鉄道」をテーマとし、公認サークル「鉄道研究会」の皆さんにお勧めの鉄道旅を教えてもらいました。ぜひ参考にして一生ものの夏の思い出を作りましょう。

2017年の夏合宿は熊本で。熊本電鉄の「青ガエル」と共に
公認サークル「鉄道研究会」:1952年設立。サークル員は70名程度で、そのうち女性は5名ほど。サークルの大きなイベントは夏合宿と早稲田祭。その他に慶應義塾大学の鉄道研究会との交流イベント「鉄研早慶線」や年数回の小旅行、新歓合宿なども行う。また、新歓時期には早稲田キャンパスの近くを走る都電を貸し切ってのイベントも開催。Webサイト(http://www.waseda.jp/L1-railfanclub/)
忘れられない鉄道旅を。パズルのようなルートにチャレンジ
幹事長 先進理工学部 3年 川崎 直樹(かわさき・なおき)
政治経済学部 3年 児玉 直毅(こだま・なおき)
――鉄道研究会の夏の活動について教えてください。

(写真左から)幹事長の川崎さん、児玉さん
川崎:毎年8月に2泊3日の合宿を行っています。行き先は四国、九州、北海道を1年ずつローテーションさせています。昨年は九州の熊本県へ行き、熊本電鉄の北熊本車庫の見学をしました。そこには「青ガエル」と呼ばれる緑色の丸みを帯びた車両があるのですが、もともとは東急電鉄で使われていたもので、渋谷駅ハチ公口前にある東急5000系電車と同じものです。熊本電鉄では2016年まで現役で走っていました。今年は北海道の札幌方面へ行く計画を立てています。
児玉:合宿は「現地集合、現地解散」が基本です。これは現地へ行くまでにもさまざまなルートがあり、その手段や方法がそれぞれ異なるからです。乗り物全般が好きな人が多いので、現地までは鉄道に限らず飛行機やバス、フェリーなどを利用して向かいます。ただ、地方だと列車の本数が少なかったりルートが限られたりもするので、集合場所が近づくにつれ、サークル員と遭遇することもよくあります(笑)。集合してからは、個人だとハードルが高くてなかなかできない車庫見学や列車の貸し切りを行うことが多いです。
――車内ではどのように過ごしていますか?

2年前の夏合宿は四国へ。高松琴平電気鉄道志度線志度駅(香川県)
川崎:駅弁を食べたり、景色を眺めたり、音楽を聴いたり、写真を撮ったり…とにかく思い思いに過ごしています。また、その列車でしか体験できないこともあります。例えば、冬限定ですが、北海道を走る「SL冬の湿原号」では、車内にあるストーブの上でスルメをあぶって食べました。余談ですが、SLと言えば滋賀県の北陸線を走る「SL北びわこ号」のヘッドマークは季節ごとに変わります。そういった細かいところをチェックしてみるのも楽しいと思います。
――鉄道旅で気を付けた方がいいことはありますか。
川崎:私たちの場合、計画はしっかり立てておきます。これは、複雑なルート設定をすることが多いためです。もちろん計画を立てずに思うがまま、という旅もいいと思いますが、何かあった場合の対策をしっかりと考えておくことは大切です。
児玉:日本の鉄道は基本的に時間通りに運行しますが、事故やトラブルで遅延や運休が発生することは十分考えられます。都心だと路線も多いので振替輸送などで対処しやすいですが、地方の場合は難しいことも多いです。だから他の交通手段を調べておくとか、現地の鉄道状況を理解しておく必要はあると思います。そうすれば、旅がより充実したものになるでしょうし、何かあった場合の危機管理対策にもつながります。
――忘れられない経験はありますか?

稚内から枕崎までの乗車券。手書きなのはルートが複雑で駅窓口の機械では発券ができないため
児玉:昨年、熊本での夏合宿に合わせて、日本最北端の駅がある北海道稚内から最南端の路線の終着駅である鹿児島県枕崎へ行くことにしました。長距離なので、事前にルートを全て調べてチケットを購入し、宿も予約し、熊本で合流できるような計画を立てていました。途中までは順調だったのですが、山口県内の山陰本線で事故が発生し列車が止まってしまいました。当日中の復旧は難しいとのことだったので、タクシーで別路線の駅まで移動したのですが、2万7000円もかかりました。事前に購入していたチケットのうち、未乗車となった一部分は払い戻しできたものの、タクシー代は戻りませんでした。場合によってはタクシー代も返金されたのかもしれませんが、そこまでの知識を持ち合わせていなかったので…高い授業料になりましたね(苦笑)。
――鉄道旅のポイントを教えてください。
児玉:まず、宿泊は駅の近くで探します。夜遅くに到着した場合や翌朝の出発時に慌てないためです。長期の旅行だと、宿泊代を節約してネットカフェやビジネスホテルに宿泊しますが、たまに旅館などに泊まってメリハリをつけています。
川崎:情報収集はインターネットやみどりの窓口、サークル仲間からが多いです。また大学ならではと言えば、生協のトラベルセンター。キャンパス内にあるので、街中の旅行代理店より気軽に相談に行けます。JRのチケットや航空券なども購入できますし、便利でお勧めです。
児玉:あと、「世界の車窓から」(テレビ朝日系列)などのテレビ番組も参考にします。
川崎:お得なチケットとして有名なのは「青春18きっぷ」ですが、各鉄道会社にもお得なチケットがたくさんあります。JR北海道には、LCC(格安航空会社)の搭乗券を提示することで購入できるフリーパスもありますよ。学生限定の割引なども要チェックです。ただ、チケットの適用範囲やルールは事前に確認した方がいいと思います。
――鉄道旅の魅力を一言でお願いします。
川崎:まだ見ぬ景色を探しに行けるところです。学生のうちにしかできないことも多いと思うので、いろいろチャレンジしてみるのがいいと思います。
鉄道のことなら何でもお任せ! サークル員お勧め鉄道旅

(写真左から)小島さん、篠木さん、梅澤さん
数々の鉄道旅を経験してきたサークル員の皆さんに、早大生にお勧めの鉄道旅を【初級編】【中級編】【上級編】に分けて紹介してもらいました。
副幹事長 商学部 2年 梅澤 亮(うめざわ・りょう)
国際教養学部 5年 篠木 優大(しのき・ゆうだい)
商学部 4年 小島 崇(こじま・たかし)
【初級編】関東近郊や名古屋なら、日帰りで十分楽しめる
- 新幹線ではなく、普通列車や在来線特急を利用〔方面:名古屋(愛知県)〕
東海道新幹線「のぞみ」であれば、東京駅から1時間40分ほどで到着しますが、そこをあえて在来線の特急「スーパーあずさ」「しなの」を乗り継ぎます。5時間ほどかかりますが、新幹線とは違う景色や雰囲気を楽しむことができます。 - 往復でルートや利用列車を変更〔方面:伊豆・修善寺(静岡県)〕
往復で特急「踊り子号」と「スーパービュー踊り子号」と違う車体を利用すると、同じルートでも雰囲気が変わります。特に「スーパービュー踊り子号」の大きな窓からの眺めは最高です。また、伊豆方面へはJR中央本線や身延線などを乗り継いで山梨方面からぐるっと回る方法などいくつかルートがあるので、いろいろチャレンジしてみてください。
(写真左)特急「しなの」
(写真右)静岡県・三島田町駅。左は特急「踊り子号」、右は伊豆箱根鉄道の車両

伊豆・修善寺の旅。修善寺城跡から撮影
【中級編】初級編に宿泊を追加するだけで、路線の選択肢が増え行動範囲がぐんと拡大
- 寝台列車の利用で滞在時間を長く確保〔方面:大阪(大阪府)〕
往路は新幹線を利用して大阪で1泊、復路は寝台列車「サンライズ瀬戸・出雲」を利用します。大阪駅を0時34分に出発し、東京駅には朝7時8分に到着するので、ほぼ丸2日間現地に滞在できます。授業期間中であっても、そのまま1限の授業に出席できる時間帯に戻ってこれるほど。有効的な時間の使い方ができるので、いろいろな予定で忙しい人にお勧めです。 - パズルのように組み合わせてルートを設定〔方面:富山(富山県)〕
東京から富山へ行くには北陸新幹線もあれば、名古屋方面から回るルートもあります。信州や北陸の在来線を利用するルートもありますが、ルート設定はパズルのようです。JRと私鉄との乗り入れが複雑な区間もあるので、「青春18きっぷ」を利用する場合は適用範囲などの注意が必要です。
(写真左)「サンライズ瀬戸・出雲」の個室。窓が大きめ
(写真右)岐阜から富山へ向かうJR高山線
【上級編】海外での鉄道旅! インターネットを活用してチャレンジ
- ヨーロッパ鉄道旅はインターネットで情報収集&チケット購入〔方面:ヨーロッパ周遊〕
欧州連合(EU)鉄道旅の醍醐味(だいごみ)は「陸路で国境を越えること」です。国境を越えると車内アナウンスの言語が変わるのはEUならではです。海外での鉄道旅は、乗車方法などが日本と異なる場合もあり、ハードルが高いと感じるかもしれません。でもヨーロッパの鉄道はWebサイトが充実していてチケットを購入できることも多いので、駅の窓口で購入するより簡単ですし、安心です(参考:レイルヨーロッパ公式「ヨーロッパ鉄道旅行ガイド」)。 - 鉄道発祥の地は周遊券「ブリットレイルパス」を活用〔方面:英国〕
ロンドンを拠点にいろいろな地方へ行くことができます。英国は鉄道発祥の地なので、ヨークにある鉄道博物館を訪れてみてはどうでしょうか。外国人旅行者向けの「ブリットレイルパス」は事前にインターネットで購入できます。また、座席の等級によっては食事付きなので、日本では少なくなった食堂車を体験できます。
(写真左)ドイツ・ドレスデン中央駅にて。ドイツからチェコを経由してハンガリーまで走る国際特急(EC:EuroCity)
(写真右)英国での鉄道旅。ヴァージン・トレインの1等車で出るイングリッシュブレックファスト
【旅に出る前に必ず確認しましょう】
- 旅行保険の加入
旅行中のけがや疾病などの医療費をカバーする保険へ加入しましょう。特に海外では日本と医療制度が異なるため、医療費が高額となる場合があります(参考:株式会社大学生協保険サービス)。
※公認サークルで合宿や遠征などを行う際は、必ず出発の1週間前までに「合宿・遠征届」を学生部学生生活課に提出してください。夏休み期間中の開室時間は、7月下旬頃に学生部Webサイトにてお知らせします。 - 渡航先の最新情報の収集
海外へ行く場合、外務省の海外安全ホームページにて最新の危険情報を確認しましょう。滞在先の緊急情報などを受信する「たびレジ」の登録も有効です。 - 感染症対策(情報収集、予防接種)
海外へ行く場合、渡航先の感染症発生状況とその地域で必要とされる対策について、厚生労働省検疫所Webサイトなどで確認しましょう。
【次回特集予告】7月9日(月)公開「ジェンダー・セクシュアリティ理解に向けた取り組み特集」