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スマイル写して60カ国、早大職員による夏旅の勧め

夏休みももうすぐ、旅行の計画を立てている早大生も多いのではないでしょうか? 一方で、若者の海外旅行離れが報じられるようになって久しくなります。日本旅行業協会の旅行統計においても、年齢別海外渡航者数を見ると、20代が年々減少傾向にあります。旅から得られるものは何か―早大職員として働きながら、長期休暇の度に愛用のカメラを手に、世界各国を飛び回り、各地での出会いと笑顔を写真に収めることをライフワークにする岡崎直人さん。訪れた国・地域は60近くという旅慣れた岡崎さんに、旅に出るための準備や旅の魅力などを聞きました。

岡崎 直人(おかざき・なおと) 1981年東京都生まれ。2006年より早稲田大学の専任職員として働きながら世界各地を旅する。現在、留学センターにて留学プログラムコーディネーターとして勤務。昨年にはワセダギャラリーで写真展「Meet the Smiles 3」を開催(文化推進部文化企画課主催)。早稲田キャンパス22号館1階のWaseda Global Gateにはこれまで撮影してきた写真の一部を展示中

60近い国・地域を訪れた旅人カメラマン岡崎直人さんに聞く、旅の魅力

――世界中を旅するようになったきっかけと、行き先の決め方を教えてください。

初めて一人で海外を旅したのは大学院修士課程2年の2006年で、行き先はカンボジアでした。英語もほとんど話せず不安でしたが、カンボジア人の友人ができ、楽しい思い出を作れたことが原体験になっています。その旅行があまりに楽しく、他の国でも同じように良い出会いがあればいいな、楽しい体験ができたらいいなという好奇心から旅に出るようになりました。

映画を見て行きたくなったアンコールワットにて

これまで60近い国・地域へ行っていますが、たいていはインスピレーションで行き先を決めています。カンボジアは、学生時代にたまたま見た映画『地雷を踏んだらサヨウナラ』がきっかけでした。1970年代に内戦が激化したカンボジアのアンコールワットを撮影しに行って亡くなったフリーカメラマン・一ノ瀬泰造さんを俳優・浅野忠信さんが演じた伝記的作品です。その映画を見て、命を懸けても行きたくなるような場所とはどんな場所なのか、いつか行ってみたいと思っていました。あと、旅先を選ぶ順番のようなものもあって、今でなければ行けなくなるかもしれない場所を優先して選んでいます。移動時間や自然環境など、年齢や体力を考慮しなければならない所もありますからね。また、イスラム圏をはじめとした、日本とは文化的に距離の遠い国や、人々が素朴そうな地域を選ぶようにしています。

――旅の手配はどのようにしているのですか。

行き先にもよりますが、航空券や宿泊先、現地での移動手段など、ほぼ全てそれぞれ自分で手配します。以前はインターネット環境の悪い国などがあり、現地で手配したりすることも多かったのですが、最近はそんなこともなく、ほぼインターネットで事前に手配ができるようになっており、ずいぶんと便利になりました。事前の情報収集は、定番ともいえる旅行ガイドブック『地球の歩き方』(ダイヤモンド社)や『Lonely Planet』(ロンリープラネット社)を頼りにしています。ガイドブックでベースとなる計画や移動手段などの情報を収集して、その後で細かなことをインターネットで調べたり、知り合いに聞いたり、国によっては詳細を決めずに航空券だけ手配して現地に行ってから決めて行くこともあります。

――治安面や衛生面で気をつけていることは何ですか?

「危ない目に遭ったことあるでしょう」とよく聞かれるのですが、実は無いんです。理由の一つは、夜に出歩かないからだと思います。僕の場合は明るいうちに写真を撮りたいので、早起きして、夜は早く寝てしまいます。あとは相手から積極的に話し掛けてくる人を、安易に信頼しないようにもしています。もちろん事前に外務省の海外安全情報にも目を通します。それから、意外かもしれませんが、一人旅が奏功しているかもしれません。二人以上だと、何かを判断する際に相談しますよね。それでは行動が遅くなったり決断がぶれたりして、つけ込まれる隙を作ってしまいます。一人なら自分の判断で迷わず「NO! 」と言えます。

衛生面では基本中の基本ですが、生水は絶対に飲みません。屋台で食べることも多いのですが、たくさんのお客さんでにぎわっている店に入ります。こうしたお店は客の回転が速いので、食材が新鮮で食器も清潔だと考えられます。また疲れていると体調を崩しやすいので、疲れたと感じたら行動のペースを落とします。渡航先によってはマラリアの対策として、日本の病院であらかじめ薬を処方してもらい、現地で定期的に薬を飲むこともありました。

――これまで行った国・地域で特に印象に残っているのはどこですか。

最初に行ったカンボジア、それから2009年と2010年に2度訪れた内戦前のシリアがすごく思い出深いです。行く前はイスラム圏の中でもなじみのない国なので、外国人に対して排他的ではないかと心配していましたが、実際にはとてもフレンドリーな人が多い素晴らしい国でした。バスで隣り合わせになって会話したシリア人男性が、先に降りる際に私の運賃も一緒に支払っていてくれたことがありましたし、モスクの中庭でピクニック中の家族連れに招かれて、お菓子を頂いたことも何度もありました。そんな思い出のあるシリアなので、今の情勢をニュースなどで見ると本当に心が痛みます。

シリアで出会った少年たち

思い出の地シリアで出会った少年たち

あとはチベットも忘れられません。エベレストのベースキャンプまで行ったのですが、奥地に進めば進むほど人はおらず、木も生えないような場所もあり、厳しくも美しい大自然に圧倒されました。自分の住む東京とは全く異なる環境の中、自然と共存するような価値観が造成されていることを体感することができまし た。

――旅を通じ、自分が成長したと感じることはありますか。

まず英語力が上がりました。一人旅ではいやが応でもしゃべらなければなりませんからね。あとは決断力や判断力も養われ、無駄に慌てなくなりました。例えばですが、予定していたフライトが欠航したとします。欠航自体は自分にはどうすることもできない事象ですが、その際に次のフライトを待つか他の手段で移動するか、即断を迫られます。この力は仕事にも生きていると思います。

また、見た目の印象で人を判断しなくなりましたし、自分の価値観で相手や物事を否定することもしなくなりました。さまざまな異なる価値観を受け入れられるようになっていると思いますし、人としての間口が広がったと感じます。その国にはそこに住む人のためにデザインされた暮らしや建物、文化があるわけで、そこにわざわざ日本の定規を持ち込んで判断するのはもったいない気がするんです。

カンボジアの友人の結婚式

初めて訪れたカンボジアで知り合った友人とは10年来の親交を重ね、昨年には結婚式に参列(左端が岡崎さん、その隣が友人)

――岡崎さんにとって、旅の魅力は何ですか。
カンボジアで仲良くなった子供たち

カンボジアで仲良くなった子供たち

「日常」のスイッチを切り、心を洗濯できる「非日常」の時間です。一人旅をしていることもあり、誰かに向けて飾る必要もないので、自分が“素”でいられる時間でもあります。そして、さまざまな価値観の中で自分を客観的に見つめられるチャンスです。外側から日本や自分を見つめられる機会になっています。

――旅に出ようとする学生へアドバイスをお願いします。

当たり前だと思っていることを覆せるような場所へ行ってほしいですね。価値観などが日本と大きく異なる中東や南米などは、異文化度が高いのでお勧めです。

マダガスカル モロンダバのバオバブ街道での夕暮れ

あとは失敗を怖がらないでください。失敗は学生の特権です。もちろんムチャはしちゃダメですよ! ぜひ一歩前に進んでそこからいろいろなことを学んでください。また、単に「きれいだなぁ」「すごいなぁ」と見る、感じるだけではなく、「どうして? 」「なぜ? 」と疑問を持ち、自分なりに考える旅をして欲しいです。きっと旅の厚みが増して得るものも多くなりますし、自分の知らない世界をもっと知ることができると思います。まずは日本を飛び出してみませんか!?

【旅に出る前に必ず確認しましょう】

  • 渡航先の最新情報の収集
    外務省の海外安全ホームページにて最新の危険情報を確認することと、海外旅行保険などの適用について確認しましょう。在外公館が発出する緊急一斉通報などを受信する「たびレジ」の登録も有効です。
  • 海外旅行保険の加入
    旅行中のけがや疾病などの医療費をカバーする保険へ加入しましょう。海外では日本とは異なる医療制度のため、高額の医療費が必要となる場合があります。(参考:株式会社大学生協保険サービス
    ※公認サークルで合宿や遠征など、通常の活動とは異なる場所での活動を行う際は、必ず出発の1週間前までに「合宿・遠征届」を学生生活課に提出してください。
  • 感染症対策(情報収集、予防接種)
    渡航先の感染症発生状況とその地域で必要とされる対策について、厚生労働省検疫所Webサイトなどで確認しましょう(7月7日(金)公開の「杜の相談室」では、感染症対策について予定しています)。

 

【次回特集予告】7月10日(月)公開「セミナーハウス特集」

 

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日はほぼ毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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