高田馬場駅周辺におけるサークルの待ち合わせは止めましょう

高田馬場駅前ロータリーは一般の利用者が多く、サークル集合場所にすると迷惑がかかる場合があります
未成年を含む大学生による飲酒に関係した事故が後を絶ちません。大学生が急性アルコール中毒で死に至るような事故は全国で頻発しており、2012年には文部科学省から各大学に対して「未成年者の飲酒禁止と強要の防止に係る学生指導の徹底について」という通達が出されました。
早稲田大学でも「公認サークル幹部の心得」(2008年度より発行)や新入生向けガイダンスなどで飲酒の危険性を周知し、一気飲みや飲酒強要の防止に取り組んできました。しかしながら、学生の尊い命が失われた飲酒事故は早稲田でも過去に起きたことがあり、また、重大事故にはならないまでも救急車を呼ぶようなケースは毎年、報告されています。
サークル新勧活動の時期を迎えると、早稲田大学周辺では多くの「新歓コンパ」が行われますが、飲酒事故によって楽しいはずの大学生活を悲嘆に暮れる毎日にしないためにも、死に至る可能性がある大学生活での飲酒行為について、基本的注意事項をあらためて伝えます。
突出して多い、20代若者の急性アルコール中毒救急搬送
2016年中の年代別の急性アルコール中毒による救急搬送人員(東京消防庁Webサイトより)
東京消防庁のまとめでは、2016年に急性アルコール中毒で救急搬送された人は16,138人(男性10,337人・女性5,801人)で、ここ数年は増加傾向となっており、4年前に比べると5,000人以上増えています。中でも20代の若者が6,988人(全体の約43%)と突出して多く、他の年代と比較すると男女差も大きな開きがありません。同庁は理由として「経験の浅さから自分の適量が分からず、無謀な飲酒をしてしまうこと」などが考えられるとしており、「一緒に飲んでいる周りの人も、節度ある飲酒について注意を払うことが重要です」と呼び掛けています。

ASKが全国の大学などに配布しているチラシ
また、アルコール・薬物・その他の依存問題を予防する活動を行っている「特定非営利活動法人ASK」(東京都中央区)は、1993年から「イッキ飲み防止キャンペーン」を実施しています。同法人Webサイトでは、2001年以降に起きた大学生の飲酒死亡事故を30件以上具体的に紹介し、遺族の手記なども公開して啓発に取り組んでいます。
早稲田大学の取り組みについて
早稲田大学では飲酒に関してさまざまな機会を通じて、注意喚起を行っています。約600の公認サークルの幹部に「公認サークル幹部の心得」を配布し、未成年者がアルコールを摂取した場合の身体的影響や、アルコール血中濃度と酔いの状態を解説、「知ってるつもり? 飲酒の常識・非常識」として、「酒に強い体質であれば急性アルコール中毒にはならないのか」「予め乳製品を摂取すれば胃に粘膜ができて泥酔しづらくなるのか?」などをQ&A方式で説明しています。PDF版をWeb上で公開しており、希望者には学生生活課カウンターにて冊子版を配布しています。緊急時の対処法も掲載するなど、飲酒について多くのページを割いて紹介しています。
公認サークルとして活動を希望する全サークルが出席必須のサークル講習会でも、急性アルコール中毒の怖さと救護方法を伝えるDVDを視聴しています。
また、キリン株式会社のご協力による飲酒マナー講座『正しく・楽しくお酒を嗜(たしな)もう!』も、毎年6月に開催する「健康フェスタ」で行っています。同社による講座は毎春、国際学生寮WISHでも「適正飲酒啓発セミナー」として行われています。
その他の取り組み
- 各学術院での新入生ガイダンス
- Course N@vi「飲酒と一気飲みの恐怖」(約12分)
- 学生生活課職員による花見時期の巡回
- 新入生全員に「アルコール体質判定かんたんジェルパッチ」配布
飲酒に関する早稲田大学の基本ルール
- 大隈講堂前を含むキャンパス内での飲酒は禁止
- 未成年の飲酒は絶対禁止
- コンパを行う場合は高田馬場駅周辺をサークルの集合場所とせず、大学キャンパス内で待ち合わせて会場に移動する。もしくはお店へ直接集合すること
- コンパでは未成年学生と成年学生が座る席を完全に分け、席替え等で混在しないようにすること
- または、サークル懇親会・コンパはソフトドリンクのみで行うこと
- お酒の飲めない人へ配慮すること
- 飲酒の強要はアルコールハラスメントであるという認識を持つこと
- 多量の飲酒につながるため、お酒の力を借りた行為で場を盛り上げないこと
- 「先輩の酒は断れない」という雰囲気を絶対に作らないこと
- 「酒の強さ」をアピールするなど、格好付けて飲み過ぎないこと
- コンパ時は飲酒状況を客観的に目配せできる監視役を設けること
- 飲酒後の運動や入浴、また酒を飲みながらの海水浴は厳禁
- 上記のルールは、他大学の学生がいる場合でも徹底して守らせること
飲酒に関する過去のサークル規則違反事例
サークル内で“伝統”と称する恒常的な飲酒の強要、またはそれに準ずる習慣があった。
ペナルティー→ 6カ月間の便宜供与禁止(※実態を把握するため、場合によってはサークル所属の学生と、順次事情確認の面談を実施します)
部室で飲酒した。
ペナルティー→キャンパス内の看板撤去または掲示物剝がし
酔いつぶれた人が出たら 〜緊急時の対処法〜急性アルコール中毒者への対処法
急性アルコール中毒の代表的な症状
- 大きないびきをかき続けて、ずっと寝ている
- 意識がない。ゆすっても、つねっても起きない
- 全身が冷え切っている
- 呼吸がおかしい。ゆっくりで途切れたり、浅くて速い
急性アルコール中毒者への対処法

回復体位(東京消防庁Webサイトより)
- すぐに119 番に連絡し、救急車を呼んでください(救急車が到着するまでは以下の対応をしてください)
- 酔いつぶれている人から目を離さないでください
- 吐いた物がのどにつまらないよう顔を横に向けて寝かす(回復体位にする)ようにしてください
- ベルトなど身体を締め付けているものは外してください
- 自分で吐けない場合は無理に吐かせないで、吐いた物はよく拭き取ってください
- ときどきバイタルサイン(息をしているか、脈があるか)を確認してください
- 体温が下がらないよう、毛布や上着などをかけてください
- 可能ならば水やお茶、スポーツドリンクなどの水分を補給してください
- 酔いつぶれた学生がいても、放置するケースが増えていると言われています。責任を持って介抱するよう注意してください
飲酒に関する学生の反省文・誓約文
以下、飲酒による迷惑行為や未成年飲酒行為が疑われたサークルや学生が、学生生活課に提出した反省文・誓約文の一部を紹介します。
飲食店への迷惑行為
「今も自らの行いへの失望と羞恥心を強く感じております」

お酒の飲めない人へ配慮すること
「今回の件は店長様もおっしゃっていたように今までの積み重ねから起こった事態ではありますが、私共の行為の劣悪さは間違いなく、弁明の余地がございませんので、あらためてこの度の件に関して心よりお詫び申し上げます。私を含む当該者は大変反省し、今も自らの行いへの失望と羞恥心を強く感じております。サークルの措置として、この度の一件について全サークル員へ周知し、店長様へは反省文を持って直接会って謝罪し、出入り禁止等の処分を受けた場合は素直に受け入れます。当該者は2カ月間、飲酒を全面的に禁止し、サークル全体に飲酒マナーを啓蒙し、集団での雰囲気に流されるような飲み会や一気飲みといった悪しき風習を絶ちます」
新入生との飲酒対策案
「サークル全体として未成年飲酒防止の意識を共有し、高める」

待ち合わせはキャンパス内にするか、お店へ直接集合すること
「新歓コンパに参加した新入生の数が上級生を大きく上回り、新入生が自主的に飲酒するのを容易に見逃せる環境だった。今後は、コンパにおいては新入生の人数が上級生の人数を上回らないようにするよう注意し、各テーブルに必ず上級生がいる環境を作り出すことによって未成年飲酒の防止を徹底する。サークルへの入会が決定した新入生に対しては未成年飲酒の危険性を教える講習会をサークル幹部主体で開き、新入生同士でも相互に防止し合える環境にする。サークル全体として未成年飲酒防止の意識を共有し、高めることによって今後のコンパや合宿等においてこのような失態が起きないように努めていきたい」
未成年飲酒による泥酔騒ぎ
「路上で騒音となるほど大声で長時間泣き叫び、警察と救急車が駆けつける事態に」

監視役を設け、飲酒状況に目配せすること
「友人を連れて参加した未成年飲酒をきっかけに、路上で騒音となるほど大声で長時間泣き叫び、警察と救急車が駆けつける事態を招きました。未成年飲酒は法律で禁じられた行為という認識が甘く、多くの人がやっているのであれば大丈夫という浅はかな考えに基づく行為でした。飲酒をすることで自分がコントロールできない状態になるということが分かったからには、成年に達して、飲酒を勧められる機会に遭遇したとしても、きちんと自分の言葉で理由を説明し、飲酒はできないとはっきり伝えたいです。近隣にお住まいの方、救急隊や警察の方々、病院の方々、親などたくさんの人に多大な迷惑を掛けてしまったこと、心労を与えてしまったことなど、今回過ちを犯してしまったことを深く反省し、二度と同じ失敗は繰り返さないことを誓います。本当に申し訳ありませんでした」
【次回特集予告】5月7日(月)公開「ボランティア特集」