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特集

早大生のエクストリーム夏休み<ワンダーフォーゲル部:1カ月間の新潟野宿編>

試験を終えれば間もなくやってくる、約2カ月の夏休み。皆さんはどんな過ごし方を計画していますか? 体育各部のワンダーフォーゲル部と公認サークルの探検部は、他の追随を許さない本格的なアウトドア活動を行っていることで知られています。今回は、夏に向けて着々と準備を進めている2団体に、その“過激”な夏休みの過ごし方について取材しました。探検部編と併せてご覧ください。

>>早大生のエクストリーム夏休み<探検部:無人島サバイバル編>

ワンダーフォーゲル部(体育各部)

なかなかの好展望
ワンダーフォーゲル部(以下、ワンゲル部)は、1947年創部という伝統ある体育各部。「ワンダーフォーゲル」とはドイツ語で「渡り鳥」の意味で、活動内容は、縦走登山・沢登り・山スキー・自転車・ボートなど、季節に応じてさまざまな形で自然を遊び尽くすこと。年間7回の合宿の他、授業期間中は週に4回、戸山公園で走り込みなどのトレーニングを行っている。Webサイト:http://wasedawangel.sakura.ne.jp/

RIMG33301カ月間、野宿をしながら新潟の自然を満喫

主務
教育学部 4年 小林 麻衣子(こばやし・まいこ)

――ワンゲル部の今年の夏休みの予定は?

毎年夏休みは、8月丸々1カ月間の合宿を行っています。今年の活動地としている新潟を舞台に、3つの「隊」に分かれて登山や沢登り、ラフティング(渓流下り)などを取り入れたコースを作り、それぞれで行動します。1カ月間ずっと野宿で、テントを含めた荷物は1人20~30kgほどになります。

夏合宿のプランニングは、1年ほど前にエリアを決めるところから始まります。「監コー会(監督コーチ会)」の方々に計画書を見ていただき、細部を詰めていくということを毎週のようにしています。合宿で行く場所に対してメンバーの実力が見合っていない場合は、今はこの山に登って体を慣らすといいとか、こういう技術が足りていないから他大学のワンゲル部から話を聞いては、などのアドバイスをいただきながら、約2カ月かけて計画書を完成させ、合宿を実施した後には振り返りを行い、その反省を次の合宿につなげていくことでステップアップしていきます。

今年、私が隊のリーダーとして計画しているのは、上越国境縦断といって群馬・新潟県境にある巻機山(まきはたやま)から谷川連峰に向けて進み、そこから日本一長い川である信濃川に下りて、日本海までボートで120kmほど下るというコースです。山は登山道がない場所を歩く「藪漕ぎ(やぶこぎ)」で進みます。藪漕ぎは大学のワンゲル部でよく行われている登山方法で、ササなどが生い茂るやぶを手でかき分けながら道なき道を進むものです。

背丈より高い藪漕ぎをすることも。方向感覚が鈍るので、上級者向きの登山テクニック

キャプチャ

登山プラン。巻機山をはじめ、多くの山の頂を踏んでいく(クリックすると詳細な山行計画に飛びます)

ワンゲル部で一番恐れられている生き物は、熊

――アウトドア技術はどのように身に付けるのですか?

年間7回の合宿でさまざまなテクニックや装備の扱い方などを習得していくのですが、週末の「ワンダリング(合宿以外の活動)」でも、レスキュー技術やロープの使い方などの専門知識を上級生から下級生に継承しています。授業期間中は基礎体力を付けるために、戸山公園で走り込みや筋トレを行っています。また、週1回のミーティングでは、包帯法や止血法などの応急処置の仕方や、山でよくある骨折、低体温症、熱中症などについての勉強をしています。

 

近年話題の…(イメージ)

――山の中には危険な生き物もたくさんいるのでは?

一番怖いのは熊ですね。過去に他大学のワンゲル部が熊に襲われた事件があるんです。登山道がない場所や渓流沿いを歩くこともあり、実際、熊にはわりとよく遭遇します。対策として、熊鈴を付けたり、熊スプレーを持っていきます。やぶの中を歩くとマダニやヒルも付くので、注意しています。

「洗い茶」「歌集」「式典」「下界」…不思議なワンゲル部用語

――部で受け継がれている伝統はありますか?

ワンゲル部には、部内の用語がたくさんあります。

入部するとまず渡され、全て覚えなければならない『虎の巻』という冊子があるのですが、アウトドアの基礎知識や装備の他に、部伝統の「ワンゲルカレー」のレシピが書かれています。新入生は、何よりもまずカレーの作り方を学ぶんです(笑)。作り始めからお皿を配り終わるまでの手順が全て決まっていて、野外で効率よくカレーを作るためにシステム化されたレシピです。食事の後には食器が汚れますが、山では水が貴重なので、食器を洗う代わりに、汚れた食器にお茶を入れてきれいにしてから飲み干すという、「洗い茶」もしきたりです。

ワンゲルカレー

長年の試行錯誤から編み出されたレシピは、安全面や効率化のために全ての工程が決まっている

キャプチャ

ワンゲルカレーの材料(『虎の巻』より抜粋)

また、歩いている間はつらくて暗い気持ちになるので、そういうときに元気に歌って乗り切るという文化があります。先輩に「よっ」と声を掛けられたら、どんなに音痴でもアカペラで1曲歌わなくてはいけません。そのために、好きな歌の歌詞を書き写した「歌集」を各自で用意していきます。登山中の慣習としては、山頂に近づいたら、『紺碧の空』を全員で歩きながら合唱し、山頂に着いたら校歌を歌うという「式典」があります。山行中に歌うのは、昔はどこのワンゲル部でも行っていたようですが、今では珍しいかもしれませんね。

【ワンゲル部で使われている用語(一部)】

  • 下界(げかい):山の対義語で、日常世界のこと。
  • しごろ:朝4時起床、5時食事、6時出発の略。「にさし」「さしご」などもある。
  • 食当:食事当番のこと。主に1年生の役割。
  • STB(すてび):ステーション・ビバーク、つまり駅で寝ること。
  • 武器(ぶき):スプーンのこと。「食事は戦争だから」という理由で名付けられたらしい。ちなみにイントネーションは「ぶ\き」ではなく「ぶ/き」。
  • 丸食(まるしょく):丸い食器のこと。

ワンゲル部は体育各部ではありますが、勝ち負けがある競技スポーツではありません。実力がある人はスタメンとして活躍できるとか、体力などが優れている人だけが山頂を目指せるというものではなく、技術や体力がない下級生も含めた全員で活動をする中で、どのように自然を楽しめるのかを見つけていく――それがワンゲルの創造性であり、魅力ですね。

苦しくて心が折れそうなときも、歌を歌って進み続ける

>>早大生のエクストリーム夏休み<探検部:無人島サバイバル編>

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