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体に健康貯金を蓄えよう! 免疫力改善法

秋になり、気温の変化が激しくなるこの季節は、体調も崩しやすくなります。病気は、「免疫力」で防ぐことができるのをご存じでしたか?事前に知識を得て、しっかりと予防をしましょう。免疫力の維持方法について、鈴木克彦スポーツ科学生学術院教授にお話を伺いました。

スポーツ科学学術院教授 鈴木 克彦(すずき・かつひこ)

専門分野:予防医学、運動免疫学 1993年早稲田大学大学院人間科学研究科修了。1999年弘前大学医学部を卒業後、国立国際医療センターに勤務。現在は、早稲田大学保健センター、スポーツ医科学クリニック内科医師も務め、生体のストレス応答と適応に関する研究と予防法の開発を行う。

長期間の「ストレス」が大敵!免疫力低下のメカニズム

「免疫力」とは、自分の体を守ったり、病気を治そうとする働きや仕組みのことです。普段から私たちは、目に見えない病原体からの攻撃にさらされています。しかし、この力が体に備わり、正常に働いているため、健康を維持することができているのです。

インフルエンザなど外部からの病原体に感染してしまうかどうかは、この免疫力と病原体の力関係が左右します。端的に言うと、免疫力よりも病原体の力が強いと病気になり、免疫力の方が強ければ病気は発症しない、ということです。

免疫力が低下してしまう大きな要因は、過労や栄養不足による「ストレス」。体にストレスがかかると、アドレナリンやコルチゾールといった、いわゆる「ストレスホルモン」が発生します。覚醒作用のあるアドレナリンは、短期的には体に良い影響を及ぼす場合もあります。その一方で、ストレスホルモンには免疫の抑制作用があり、長くストレスが続くと免疫力は低下し、病原体に対抗できなくなってしまうのです。

▲免疫の仕組み: 免疫は、生まれながらに備わっている「自然免疫」と、予防接種などで後天的につける「獲得免疫」の2系統があります。主に血液中の白血球(顆粒球(かりゅうきゅう)、リンパ球、マクロファージ)がその役割を担っています。

若いからという油断は禁物  免疫力改善は「規則正しい生活」から

今は若いから大丈夫、という油断をしていませんか?むしろ学生の方が夜更かしの連続で疲労が蓄積していたり、インスタント食品に頼り栄養不足に陥ったりしがち。結果、知らず知らずのうちにストレス状態になっている可能性があります。

免疫力を高める第一歩は、規則正しい生活からです。「生活習慣に気を付けることで風邪をひきにくくなる」ということをしっかり理解しましょう。

▼あなたの免疫力は大丈夫?免疫力チェックリスト

チェックが多いほど要注意! 免疫力が低下しているかもしれません。

□何となく気分がさえない日が続いている
□人付き合いは苦手な方
□休日は家にこもって過ごすことが多い
□外食することが多い
□野菜が嫌い
□眠りが浅く、何度か夜中に目を覚ます
□なかなか寝付けず、夜更かし気味
□きちんと睡眠を取っているはずなのにすっきり目覚めない
□特にこれといった運動をしていない
□歩く機会が少ない
□最近生活環境などに変化があった
□周囲に緑地帯や公園、遊歩道といったものがあまりない

NPO法人日本成人病予防協会発行「総務省認証学術刊行物ほすぴ90号」
免疫レベルチェックより抜粋

▼もっと詳しく!オススメ本

免疫機能の破綻により引き起こされる感染症について、知っておくべき知識を詳説。管理栄養士のための教科書としても使用されている。

▲『感染と生体防御』 酒井徹・森口覚・山本茂編著

『感染と生体防御』
酒井徹・森口覚・山本茂編著
建帛社(けんぱくしゃ)
3,456円(税込み)

免疫力を維持する5原則

免疫力が最も高いのは20代。予防医学の基本は、今の生活を見直すことから。5つの習慣を心掛け、免疫力を維持しましょう。

①質の高い睡眠をとろう

普段、夜更かしをしても起きる時間が遅い、または昼寝をしているから睡眠時間は確保している、という方もいるかもしれません。しかし、それでは疲労は十分に回復できません。睡眠には疲労の回復と「体内時計を整える」という重要な役目があります。夜の時間帯にしっかり睡眠時間を確保し、朝、太陽の光を浴びて体内時計をリセットして調整することが、ストレス低減につながるのです。夜、ベッドで横になりながらスマートフォンをいじったりするのも、体のリズムを崩すことになります。質の高い睡眠を心掛けてみましょう。

②バランスの良い食事をとろう

ビタミンや亜鉛、ミネラルといった栄養素は、欠乏すると体の抵抗力が下がり、病気にかかりやすくなってしまいます。ただ、これらの栄養素を一つの食品から摂取するのは困難です。そのためには、バランスの良い食事を心掛け、1日に30種類以上の食品を摂取することが理想的です。特に緑黄色野菜には多くのビタミンが含まれます。栄養素をサプリメントで補うことは、ある特定の栄養素だけに偏ってしまう恐れがあり、お勧めできません。不足しがちな野菜を野菜ジュースで補うなど、できる範囲からでいいので、食生活を見直してみましょう。

③腸内の善玉菌を増やそう

バランスの良い食事を取ることが大前提ですが、膨大な細菌または腸内細菌を保有している腸の中の環境を整えるためには、発酵食品の摂取がお勧めです。発酵食品には腸炎などの病気を引き起こす原因となる悪玉菌の増殖を抑制する効果があります。特にヨーグルトなどに含まれる乳酸菌には、整腸作用のある善玉菌(プロバイオティクス)が数多く含まれているのが特徴です。ただ、ヨーグルトの種類や摂取時間によって、または個人によりその効果・効能には差があるため、自分に合った発酵食品を見つけて摂取してみましょう。

④適度な運動を心掛けよう

適度な運動習慣も免疫力を高める上では有効です。運動により血流が良くなることで、体にたまった疲労物質を除去できるからです。あえてスポーツジムなどに通わなくても、ひと駅手前で降りて歩くだけで有効です。大事なのは、1日の身体活動量を増やしていくこと。洗濯や掃除などの家事を通して体を動かすだけでも、何もしないでいるよりは血流が良くなります。ただし、長時間の運動や激しい運動はかえってストレスになる場合がありますので、日頃から少しずつ体を動かすライフスタイルで体力を付けていきましょう。

⑤お風呂で体を温めよう

運動が苦手な方や、けがなどの理由でなかなか体を動かす習慣をつくることができない場合もあるでしょう。その場合は、お風呂で体を温めて血流を良くするだけでも有効です。血流が良くなると、血液中の免疫細胞が体中を巡回し、病原体を撃退します。リフレッシュすることで、ストレスを軽減するという効果も期待できます。

知っていましたか?免疫力は高過ぎても問題あり!

実は免疫力は高くなり過ぎても、かえって体調を崩してしまうことがあります。例えば、関節リウマチや気管支喘息などは、「自己免疫疾患」や「アレルギー疾患」と呼ばれ、免疫系が過剰に働き過ぎてしまい、自分自身の正常な体に対してまで攻撃をしてしまうことで起きる病気と考えられています。

大事なことは、病原菌が体内に入ってきた際、それに対抗できる過不足のない免疫力を備えておくことです。不必要に免疫力を高める必要はありません。免疫力は低下させず、かといって上げ過ぎず、「良い状態を維持する」という発想で、規則正しい食事、睡眠、適度な運動を毎日続けることから始めましょう。

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