Waseda Weekly早稲田ウィークリー

特集

東日本大震災発生から2年 復興に向けて─ 「これまで」と「これから」

商学学術院 専任講師 西條 剛央

東日本に未曾有の被害をもたらした東日本大震災から、2013年3月11日で2年が経ちました。早稲田大学では学生によるボランティア活動などの「被災地域への支援」や大学の叡智を結集した「研究を通じた復興支援」などを実践してきました。震災から2年が経過した今、復興に向けたこれまでの取り組みと、これからの課題について考えます。


東日本大震災はまだ終わっていない

商学学術院 専任講師 西條 剛央

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■さいじょう・たけお
宮城県仙台市出身。商学学術院専任講師。震災で親戚を亡くし、現地入り。被災地の現状を見る 中で被災者支援を目的とした「ふんばろう東日本支援プロジェクト」の代表を務め、日本最大規模のボランティア組織に成長させた。

・被災地と復興支援の2年間の歩み

最初にお伝えしたいのは、まだ何も終わっていないということです。がれきを撤去すれば元通りというわけではなく、被災した街を立て直し、新しい生活を取り戻すまでが本当の意味での復興です。震災後、時間の経過とともに求められる支援も変化してきました。
「ふんばろう」の活動を例に挙げると、震災直後はやはり、食料などの生活物資を届けることが最優先で、ある程度ライフラインが復旧してからは、「心のケア」「就労支援」「子供たちの学習支援」の三つを柱に活動を続けています。とはいえ、被災地域は海岸線に沿って400kmにも及ぶため、状況は千差万別。今は各被災地のニーズに寄り添ったきめ細かな支援が求められています。

この2年間は、ボランティアの可能性に驚かされると同時に、その“限界”を目の当たりにすることも多々ありました。特に「経済」に関することは、いつも歯がゆい思いをしています。国政が被災地の状況を把握していないためにミスマッチが至るところで起こり、被災した地元企業が苦しんでいるという現実があるのです。もっと国や政治が主導して、復興が確実に前進するような施策を行っていただきたい。そのための法的な環境整備は今後の課題と言えるでしょう。


・震災を風化させないために

 震災直後は国中が被災地に大きな関心を寄せていましたが、日常生活を送 っているうちに、自分の身の回りのことに関心が移ってしまう──。それは当然のことです。そういった現状を踏まえつつ、今後、個人的に力を入れたいのは、まずメディアを通して被災地の声を届け、前述のような政治の問題を提起していくこと。そして、学校管理下にあった生徒の95%が死亡・行方不明となった石巻市立大川小学校のご遺族のご要望を踏まえて、しっかりと原因を究明し、二度と同じことが起こらないように、今後の防災の取り組みにつなげていくこと。この二つに注力していきたいと思っています。

 震災の風化ということで言えば、やはりボランティアの人数も減少しています。とはいえ、これまで復興支援に興味を持ちつつも、なかなか一歩踏み出せなかった人たちが数多くいるのも事実です。そういった“予備軍”が、今後の大きな力になってくれると大いに期待しています。この特集が、新入生にとっていいきっかけになればと思います。

もし初めてボランティアに参加するのであれば、ツアー形式のものがお薦めです。実際に被災地を訪ねて、どんなニーズがあるのか、自分はどんな貢献ができるのか、手軽に知ることができると思います。今からでも決して遅くはありません。むしろ復興が本格化するのはこれからです。私自身任期付きの専任講師なので、早稲田にいられるのはあと1年ほどになると思いますが、この活動は続けていきたいと思っています。

「ふんばろう東日本支援プロジェクト」とは?

 東日本大震災を機に発足した被災地支援のボランティア組織。15万5,000品目に及ぶ物資を3,000箇所以上の避難所などに届ける活動からスタートし、その後、立ち上がったプロジェクトや支部は50以上。現在は自立支援に力を入れている。長期的に活動を支えたいという人のために、ひと月1,000円から自動引き落としで定額寄付できる「ふんばろうサポータークラブ」を設置。詳細はwebサイト(http://fumbaro.org)まで。

西條先生の特集も掲載!

学生部発行の学園誌『新鐘』を読もう!

 学園誌『新鐘』では「復興」と題したテーマの下、教員、校友、学生が復興について論じています。昨年11月の発行後、「復興について多面的に考えさせられた」「写真が多く迫力があり読みやすい」など学内外から大きな反響がありました。『新鐘』は学内の『新鐘』ラックで配布しているほか下記のURLでもご覧いただけます。ぜひお読みください。

■学園誌『新鐘(復興)』

http://www.waseda.jp/student/shinsho/shinsho.html

特集の続きはこちらからご覧ください。

これからの復興への歩みを支えていこう

WAVOCの学生ボランティアを紹介

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