Waseda Weekly早稲田ウィークリー

学生注目!

そろばんで16桁の加減算 よみあげ算クイーンは数学が苦手!? 

「パソコンやスマートフォンにないそろばんの魅力を広めたい」

社会科学部 2年 北村 瑠菜(きたむら・るうな)

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昨年7月に行われた「そろばんグランプリジャパン2017」(※1)において、よみあげ算(※2)で日本一に輝いた北村瑠菜さん。1年生の秋には、公認サークル「珠算部」で毎年出場している「全日本通信珠算選手権大会(一般の部)」(※3)のメンバーとして、早稲田大学の5連覇にも貢献しました。頂点を目指し続ける北村さんに、そろばんの魅力や早稲田を目指した理由について聞きました。

(※1)都道府県珠算連盟連合会が開催する都道府県大会などにおいて、代表選手(ジュニア・スクール・シニアそれぞれ2名の計6名)に推薦された選手と自由参加の選手を併せ、全国各地から選ばれた約350名が参加する大会。小学生以下のジュニア部門、中学・高校生のスクール部門、シニア部門に分かれ、日頃の練習の成果を競う大会。
(※2)そろばんで、数字を他人に読み上げてもらって行う計算。
(※3)毎年10月に、都道府県ごとに全国一斉に同一の問題で実施。例年1万人以上の選手が参加する。

――そろばんを始めたのはいつですか?

小学1年生のときです。自宅から歩いて5分くらいのところにそろばん教室があって、友達が何人か通っていたので、私もなんとなく通うようになりました。2年生になって、教室の先生から「選手として大会に出てみない?」と声を掛けていただいたのをきっかけに、本格的に練習をするようになりました。学校から帰るとすぐに教室へ行き、平日は4時間くらい集中して練習しました。なので、放課後に友達と遊んだ記憶はあまりないですね。同じ教室には大会で活躍する上級生がいたので、私もうまくなりたいという思いが強かったです。今思えば、そんな教室が近所にあったことが幸運だったと思います。

――早稲田大学を選んだのはなぜですか?

2017年度「全日本珠算選手権大会」の表彰式で

2017年度「全日本珠算選手権大会」の表彰式で

私はそろばんの実績を生かして自己推薦入試で入ったのですが、それは校友で珠算部の先輩でもある金子優希さん(2012年教育学部卒)への憧れからでした。金子さんも私と同じ入試制度で早稲田に入学され、珠算部を立ち上げて多くの試合で活躍されていました。中学生のときに金子さんのことを知り、「そろばんを頑張れば私も早稲田に入ることができる」「そろばんをずっと続けられる早稲田大学に入りたい」と思うようになりました。それからますます練習に熱中するようになり、高校3年生のときに全日本珠算選手権大会(※4)で優勝することができました。

早稲田には、学業だけじゃなく学生がそれぞれやりたいことに打ち込める環境が用意されていて、とても素晴らしいと思います。私が通う社会科学部も、興味があることを自由に学ぶことができます。私は今、統計のゼミを取っているのですが…実は私、計算は得意ですが数学があまり得意ではないんです(笑)。もちろんそろばんをやっている方で数学が得意な方もたくさんいますが、周囲を見渡すと私と同じような文系の人も多くいるんですよ。

(※4)毎年8月8日の「そろばんの日」に全国から500名を超える選手が参加して実施される珠算界最高峰の大会。個人総合競技、読上暗算、読上算、フラッシュ暗算、都道府県対抗競技などでその年のそろばん日本一を決定する。

――そろばんグランプリジャパン2017ではよみあげ算日本一に輝きましたね。試合にはどのような気持ちで臨みましたか?

これまで優勝したことがなかった大会でしたので、「必ず優勝する」という思いで臨みました。どんな大会でも他の人のことを気にすると余計なことまで考えてしまうので、自分のベストを尽くすことを目指して集中するようにしています。

よみあげ算は7桁から16桁までの加減算をそろばんで行い、間違えた段階で失格となります。勝つために必要なことと言えば努力の一言に尽きますが、大会のときは読み手の先生との相性や、申し込み順に決まる席によって聞こえやすい、聞こえにくいといったこともあります。実力だけではない、運も左右する競技だと思います。そろばんグランプリジャパン2017のときは、私は最前列の席でした。運が良かったことも勝因だったと思います。

――普段はどのような練習をしているのですか?

大会の問題集に沿って、時間を計りながら計算問題をひたすら解いています。毎日1~2時間、子どものころから通っているそろばん教室で練習しています。教室は20時までなので、授業で行けないときは自宅で練習したり、空き時間に学生会館の会議室などを借りて、他の部員と一緒に練習したりしています。

そろばんの試合は全国大会、関東大会、都道府県大会などがあって、私は年に10回ほど出場していますので、ほぼ毎月大会に出ている感じです。楽器もそうだと思いますが、1日練習しないとその分を取り戻すのに数日かかってしまうので、日々の練習は欠かせません。旅行に出掛けるときもそろばんは持って行きます。

学生会館の会議室で他の部員と練習

――そこまで夢中になれるそろばんの魅力を教えてください。

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まず、計算能力が鍛えられます。買い物をするときに8%税込みの金額もすぐに計算できますし、大勢でご飯を食べに行っても会計がスムーズにできて便利ですよ(笑)。

他にも集中力や物事を正確に速く処理する能力が身に付くなど、私はそろばんには計算道具にとどまらない魅力がたくさんあると思っています。

今の時代はパソコンやスマートフォンなど、自分で考えなくても、調べればすぐに答えが分かる便利なものがたくさんあります。でも、そろばんは何も教えてくれません。答えは自分で出さなければいけないので、根気強さや忍耐力、精神力も身に付きます。昔から「読み書きそろばん」と言われ、今でもそろばんは小学校の必修項目ですし、最近またそろばんの良さが見直されていることをうれしく思っています。

――最後に、今後の目標と将来の夢を教えてください。

早稲田大学の珠算部は全国でもトップレベルです。私は昨年4月から珠算部の幹事長を務めているのですが、全日本通信珠算選手権大会(一般の部)の連覇の記録をずっと伸ばしていきたいです。その一方で、珠算部にはそろばんを一度辞めて、大学に入って再開した部員も多くいます。一度辞めてしまった人が大会に出るのは並大抵の努力ではできないと言われていますが、大会に出なくてもそろばんを趣味として楽しんでいけるような環境にしていきたいと考えています。

将来はそろばんの普及に関わる仕事に就きたいですね。今は大会のための練習が中心ですが、今後は子どもや一般の方へそろばんの楽しさを広める活動もしていきたいです。そろばんは手も耳も頭も使うことから認知症予防になるとも言われ、そろばんを取り入れる高齢者施設もあるそうです。さまざまな能力を高め、健康を保つことにも役立つそろばんの良さを広めて、社会に生かすお手伝いをしていきたいです。

第692回

【プロフィール】

千葉県出身。県立千葉商業高等学校卒業。高校では珠算部に所属。「全日本珠算選手権大会」をはじめ数々の大会で優勝。2017年10月23日(月)放送の『天才キッズ全員集合~君ならデキる!!~』(テレビ朝日系列)に「そろばんグランプリジャパン2017」の優勝者として出演した。趣味はラーメンの食べ歩き。「集中して練習するとおなかが減る」そうで珠算部の先輩に誘われて始めた。お勧めの店は中野の「麺匠 ようすけ」で「濃い目の鶏白湯が好き」。もう一つの趣味は漫画。少女漫画より少年漫画が好きで、『NARUTO -ナルト-』の大ファンだと語る。

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日はほぼ毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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