Waseda Weekly早稲田ウィークリー

学生記者が魅力を熱弁!早稲田スポーツ入門

スポーツ観戦に難しいことなんか、
一つもない。

身近な存在であるのに、分からないことが意外と多い、早慶戦や箱根駅伝といった“早稲田スポーツ”の世界。 基礎的な知識や楽しみ方を知らないことで、「ハードルが高い…」と感じる学生は少なくないはずです。

そこで今回、早稲田スポーツをこよなく愛し、その魅力を新聞という形で伝える公認サークル「早稲田スポーツ新聞会(通称:早スポ)」の記者たちが集結し、座談会を開催。記者だからこそ分かる入門者向けの見どころから、時には一学生としての熱い思いまで、知識ゼロの初心者からの疑問に答えてもらいました。



早稲田スポーツ新聞会

1959年設立の早稲田大学公認サークル。早稲田大学に属する体育各部全44部を取材し、年12回(+号外)のスポーツ新聞を発行。早稲田スポーツの魅力を伝えるべく、選手へのインタビュー、試合内容や選手の声をもとにした記事の執筆、プレー中の写真撮影、本格的な新聞制作など、幅広く活動する。

(おさむら・ひかる)
政治経済学部 3年
マイナーチーフ代表
(男子水球チーフ)

(やまざき・こうへい)
文化構想学部 3年
野球チーフ

(しおつか・りこ)
政治経済学部 3年
ラグビーチーフ

(ぬのむら・かのん)
社会科学部 3年
競走チーフ

(左から)長村さん、山崎さん、塩塚さん、布村さん 〔撮影場所=早稲田スポーツミュージアム(戸山キャンパス 早稲田アリーナ 3階)〕

4年間に懸ける情熱こそが、
大学スポーツ最大の魅力

「早稲田スポーツ新聞会」って?

早稲田大学には44の体育各部があり、それぞれの競技で学生のアスリートが活躍しています。「全ての体育各部に光を」をモットーに、選手たちの試合や日常を取材して、早大生の皆さんに情報をお届けするのが、私たち「早稲田スポーツ新聞会」の記者の役目です。

大学スポーツならではの魅力とは?

プロのアスリートは報酬をもらい、生きるためにスポーツをしているという側面があります。一方、大学生の場合は、試合に負けたからといって生活に困ることはありません。では、何のために大学生活の多くの時間をささげて戦うのか? それは自分のためという面もありますが、むしろチームや部、大学のためだと、取材を通して感じます。そういった姿勢、不合理でがむしゃらな部分に、観ている私たちも熱がこもる。そこが醍醐味(だいごみ)なんです。
プロにならない限り、社会人になると時間をかけてスポーツに打ち込むことは難しくなります。なので、大学の4年間に懸ける思いには、特別なものがあるんですね。特に、引退を前にした4年生の熱量には、すさまじいものを感じます。
高校までとの一番の違いは、競技レベルです。全国の高校から集まった優秀な選手たちが、体育各部に入部後、厳しい競争を勝ち抜いて試合に出場するため、レベルがぐんと上がります。また、野球であれば、プロ野球だと5,000円ほどするような良い座席での観戦が、大学野球は学生だと1,000円前後。ハイレベルなプレーを気軽に見ることができるんです。
高校では多くの人が部活動に参加していますが、大学で部に所属する学生は少数派。体育各部の部員は、多くの時間を自由に過ごす他の学生と比べ、誘惑に打ち勝ちながら練習に励まなければなりませんし、学業との両立も大変です。そのため、入部する段階で覚悟が必要になります。だからこそ真剣さがあるのでしょう。

他大学と比べた早稲田スポーツの魅力は?

早稲田大学の場合、トップアスリートが全国から集まってきます。その一方で、高校・大学から競技を始めた選手も意外と多いんです。「どうしても早稲田でプレーをしたい」という思いから、2年間浪人した学生もいます。各選手の背景にあるストーリーはさまざま。一部の大学では、スポーツ推薦で入学した選手でレギュラーを固めていますが、早稲田は必ずしもそうではありません。努力次第で上を目指すことができる。そこが早稲田の特徴ではないでしょうか。
写真提供=早稲田スポーツ新聞会

ルールを知らなくても、
早稲田スポーツは楽しめる

初心者はどこから楽しむのがいいの?

早稲田大学対慶應義塾大学の試合、いわゆる「早慶戦」でしょうか。野球やラグビーはもちろんですが、4月に隅田川で行われる漕艇部の「早慶レガッタ」も有名ですし、「早慶戦」は多くの部で行われているんですよ。あとは、競走部が出場する箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)は初めてでも楽しみやすいと思います。競技自体に歴史がありますし、早稲田は出場常連校なので、早稲田スポーツの熱気を存分に感じられるでしょう。
まずは野球の早慶戦がお薦めですね。新入生の場合は、5月末頃に開催される“春の早慶戦”(東京六大学野球春季リーグ)に行ってみてください。早慶戦は伝統的なライバル対決。試合はもちろん、観客の意気込みが違いますよ。

野球、ラグビー、競走以外の競技の楽しみ方は? 注目すべき大会は?

競技や種目は多岐にわたります。私は水泳部の水球部門担当なのですが、いきなりマイナー競技を見よう! というのはたしかにハードルが高いかも…(笑)。でも、逆に言えばたくさんの競技がある分、気になるものはきっとあるはずです。その中から自分の好みに合った競技を見つけてもらえたらと思います。
相性はたしかに大事ですね。私は、実は野球観戦があまり得意ではありません。試合展開がゆっくりで時間が長いので…(笑)。そういうタイプの人は、バスケットボールなどがお薦めです。
スポーツ観戦初心者の場合は、競技時間が短くて、ルールがシンプル、かつドラマチックな競技がいいと思います。例えば、陸上の4×100メートルリレーは約40秒でゴールしますが、4人の選手が呼吸を一つにし、バトンを落とさずにつないでいく緊張感は、とてもしびれます。
「インカレ」と呼ばれる全日本学生選手権は、大学日本一を決める大会なので要注目です。テニスやゴルフは8月、ラクロスやバレーボールは12月と、毎年いつ頃開催されるのかは、競技ごとに大体決まっているんですよ。その他には、社会人も出場する日本選手権もあります。

ルールが分からないけど大丈夫? また、各競技の情報はどのようにチェックすればいい?

私は、スポーツ観戦にルールの知識は必須ではないと思っています。ラグビーワールドカップ2019のときに“にわか”という言葉が流行しましたね。みんな知らないうちに楽しんでいました。それに、スタンドにいると、観戦している年配の校友(卒業生)が親切に教えてくれるので大丈夫です。あと、私は「この選手は笑顔がすてきだな」「振る舞いが魅力的だな」とか、そんなところをつい見てしまうこともあります(笑)。
情報はぜひ早スポでチェックしてください! 新聞は戸山キャンパスの学生会館などのラックに置いてあるほか、号外をキャンパス内で配ることもあります。各部のより詳しい活動は、早スポのWebサイトを見ていただければと思います。試合に向けての選手インタビューや大会の結果などを、網羅して掲載しています。
『早稲田スポーツ』五輪号(2021年9月24日発行)

現地で観戦したいけど、空気に馴染なじめなさそうで…。

競技場の臨場感は魅力の一つですが、初めてだとたしかに足を踏み入れづらい領域ですよね。早稲田大学の第一応援歌である『紺碧の空』をみんなで歌う意味はもちろん、最初は歌詞が分からないかもしれません。ただ、全部歌えなくても、周りの人と肩を組みながら応援しているとその場に馴染んでいくんですよね。興味のある方は、応援部の振り付けを動画で見ることもできますよ。
校歌も、まずは「わせだ、わせだ」の部分が歌えればOK。歌詞は回数を重ねていくうちに自然と覚えていきます。気負わず雰囲気を楽しんでください!
そう、スタンドにいると周りが思いっきり早稲田の応援をしている。その空気に包まれているうちに、早稲田が勝つとうれしくなるんです。コロナ禍が落ち着いて以前のように応援ができるようになったら、競技場での一体感をぜひ味わってほしいです。
写真提供=早稲田スポーツ新聞会

コロナ禍ではどういった応援ができる?

最近はYouTubeなどで試合の様子が配信されることが増えています。あまり知らない競技で、「現地に足を運ぶのはちょっと…」という場合も、気軽に視聴することができますよ。アーチェリー部などは、地方の大会を自宅にいながら楽しむことができ、試合中の掛け声や歓声の大きさにも驚かされます。

競技ごとに異なる醍醐味。
大会に懸ける思い

野球の魅力を教えて!

伝統を背負いながら一丸となって戦いに挑む、チームの連帯感です。そして、監督やコーチはいますが、部員たちをまとめる主将の役割が重要ですね。2020年の東京六大学野球秋季リーグで早稲田を優勝に導いた早川隆久選手(2021年スポーツ科学部卒)は、大学時代は黙々とチームをけん引した名主将。大声で喝を入れるわけではないのにリーダーシップがあって、格好良かったです。現在は東北楽天ゴールデンイーグルスで活躍しています。今年度は早川選手のようなスター選手は不在ですが、投打で粘り強いチーム。秋季リーグ戦では開幕2連敗から怒涛(どとう)の追い上げを見せ、首位慶応大学と同勝ち点の2位になりました。また、野球部だけではないですが、SNSなどの広報活動は学生が担っていて親近感が湧きますね。

そもそも東京六大学野球とは?

早稲田大学が所属する「東京六大学野球連盟」は、早稲田の他に慶應義塾、明治、法政、東京、立教の6校から成ります。リーグ制で昇格・降格があるような連盟や競技もありますが、それとは仕組みがちょっと違うんです。メインは年に2回、春と秋に開催されるリーグ戦です。春のリーグ戦で優勝したチームは、全日本大学野球選手権大会に出場。秋のリーグ戦優勝校は、明治神宮野球大会に出場し、それぞれ全国制覇に挑戦します。

ラグビーの魅力を教えて!

最大の魅力は、選手と選手、体と体のぶつかり合いですね。客席に座って観戦していても、「バチン」という音が聞こえてくるほどの迫力です。

ラグビーはどういう大会があるの?

ラグビーのシーズンは秋から冬。春や夏はシーズンに向けて猛練習し、秋に行われる対抗戦(関東大学ラグビー対抗戦)に出場。その上位最大5チームが、年末から年明けにはテレビでも放送されている大学選手権(全国大学ラグビーフットボール選手権大会)に出場し、大学日本一を競います。

強豪である早稲田と明治の対決である早明戦は、特に注目度が高く、毎年対抗戦のグループ最終戦(12月第1日曜)に設定されています。もちろん早慶戦も重要で、毎年11月23日に開催。ちなみに、この日は晴れる確率が極めて高い日らしいので、観戦にはうってつけです。
写真提供=早稲田スポーツ新聞会

その他の競技の魅力を教えて! 女子が強い競技は?

私がチーフを務める水球の場合、肉弾戦のように展開する男子の試合が特に迫力満点です。審判から見えない水中では、かなり激しいプレーが行われているんです。激しすぎて、撮った写真に水しぶきしか写っていなかったりするほどです(笑)。
写真提供=早稲田スポーツ新聞会
女子では、東京2020オリンピック競技大会で金メダルを獲得した須崎優衣選手(スポーツ科学部4年)も所属するレスリング部、プロリーグに進む選手も多いア式蹴球部(サッカー)、2020年のインカレで優勝した自動車部、今夏のインカレで優勝した卓球部は強いです。アーチェリー部も強くて、今年は園田稚選手(スポーツ科学部1年)が世界ユース選手権の代表に選出され、日本は優勝を果たしています。競走部は女子も強豪で、400メートルハードルでは、関東で5連覇しています。

シンプルでダイナミックな物語。
箱根駅伝を見よう

競走競技の魅力を教えて!

ルールが明快なのが競走の魅力。一言で言えば「速い=強い」。まずは毎年1月2日と3日にテレビでも放送される箱根駅伝を見てほしいです。すさまじい勢いで山を駆け上がる選手、さらにそれを追い抜いていく選手、普段は1万メートルなど個人種目に出場している選手たちが、チーム一丸となってたすきをつないでいく姿…このドラマがたまりません!

どうして箱根駅伝には関東の大学が集まるの?

駅伝のルーツに理由があるのでしょう。競技として最初の駅伝競走は、大正時代に関東と関西の2チームが出場し、東海道の京都から上野を3日間かけて走り続けたリレー大会なのだそうです。その後、1920年に早稲田、慶應義塾、明治、東京高師(東京高等師範学校。現在の筑波大学)の4校で第1回の箱根駅伝が開催され、関東の大学を中心とした大会として発展していきました。現在は、関東学生陸上競技連盟に加盟する大学から、21チームが出場。つまり、関東の大学しか出られないんです。

男子の全国大会としては出雲駅伝(出雲全日本大学選抜駅伝競走)と、全日本大学駅伝(全日本大学駅伝対校選手権大会)があり、箱根駅伝と合わせて「学生三大駅伝」と呼ばれているのですが、出雲駅伝も全日本大学駅伝も上位は関東勢が占めることが多いんです。関東の大学が強い傾向にあることから、やはり箱根駅伝の注目度が高いですね。

2022年の箱根駅伝は、どう見ればいい?

早稲田が箱根駅伝で総合優勝をしたのは、大迫傑選手(2014年スポーツ科学部卒)が活躍した2011年が最後。その後はおおむね5位以内の入賞という感じです。しかし次の2022年は、特別になるかもしれません。というのも、学生陸上界では1万メートルを27分台で走れる選手が“超一流”と言われるのですが、実は現在、3人もの“超一流”選手が早稲田にいるんです。優勝を狙うなら、絶対に次の2022年。ぜひ応援してください!
写真提供=早稲田スポーツ新聞会

早スポ記者たちが見た、
アスリートたちの素顔

数多くの取材を通じて、印象に残ったエピソードを教えてください!

2021年10月、プロ野球12球団が新人選手獲得を決めるドラフト会議で、徳山壮磨選手(スポーツ科学部4年)の名前が呼ばれた瞬間です。私は大学の会見場にいて、大手メディアの記者の方たちと一緒に参加しました。早スポとしてはプロを目指していた徳山選手を4年間ずっと追ってきたのですが、今シーズンは成績が安定していたわけではなかったので、不安な部分もあったんです。そんな彼が指名された時は、鳥肌が立ち、自分のことのようにうれしくなりました。
競走だと2021年9月のインカレ、男子400メートルハードルです。山内大夢選手(スポーツ科学部4年)が学生として最後のレースで、法政大学の黒川和樹選手に勝利。初優勝を果たしました。2人はライバルであり、共に東京2020オリンピック競技大会の出場選手。しかし山内選手は、それまでずっと僅差で負けてきたんです。黒川選手は前半に飛ばすタイプで、山内選手は後半で追い上げるタイプ。最後に追い抜いた瞬間は、かつてないほど胸が熱くなりました。短距離、中距離、障害、跳躍、投擲(とうてき)など、多くの部門がある競走部は、箱根駅伝以外にもたくさんの魅力があるので、ぜひチェックしてください!
ラグビーでは何人もいるのですが、1年生の頃から日々ものすごい量の練習をしていても試合に出られなかった選手が、4年生になってようやく試合に出場したときです。つらい思いをしながら努力を続ける選手を見ていると「自分も頑張らないと」と、勇気をもらいます。みんな私たちと同じ早稲田大学の学生。等身大の同志なので、共感してしまうんですよね。皆さんも、同じ早稲田の仲間として応援してほしいです!
準硬式野球部の4年生(当時)、リーグ戦初登板を果たした金田歩選手(2021年商学部卒)を取材したことがあるのですが、その時に「インタビューを受けるために、今まで頑張ってきた」と言われたんです。私は、うれしさの反面、「もっと前から取材して、みんなに広めるべきだった」と、早稲田スポーツの記者としての責務をあらためて実感。ハッとさせられました。これからも選手の魅力を伝えられるように、全力で取材していきます。

早稲田スポーツの魅力を一言で表すと?

チームのために全力で挑むのが、大学スポーツの魅力。ひたむきに努力する選手たちこそ、早稲田の宝物です。
各部にそれぞれの伝統があります。それを長い間受け継いでいることこそ、早稲田の素晴らしさだと思います。
さまざまなバックグラウンドを持つ選手が集まるのが、早稲田の面白さ。各選手の個性を追い続けたいです。
早稲田では44の各部が、年中試合に挑んでいるので、私たちは365日、飽きることなく楽しむことができます。

取材・文
相澤優太(2010年第一文学部卒)

撮影
布川航太

イラスト
あしだゆみ

編集
株式会社KWC

デザイン・コーディング
株式会社shiftkey


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