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特集

【アマゾンジャパン合同会社編】人事&若手社員に聞いた 社風や求める人材は?

失敗を恐れず立ち向かい、常に学び、謙虚さを併せ持つ人を求めています

就職活動において、採用側はどのような人材を求め、学生のどこに注目しているのか? また、実際に入社した人は、会社に対してどのような感想を抱いているのか? 多くの学生が気になるところでしょう。そこで今回は、キャリアセンターの学生キャリアボランティアであるSCV(※)が「アマゾンジャパン合同会社」の人事採用担当者と若手社員に、就職に関する疑問を伺いました。

小売り事業だけでなくさまざまなサービスを展開するアマゾンジャパン合同会社。SCVの川本優梨子さん(文学部2年)は、社員が行動指針を共有していることに感銘を受け、さらに就活に限らず、人とのつながりを大切にすることを改めて意識するようになったようです。

(※)Student Career Volunteerの略。早稲田大学キャリアセンターでイベント・企画の立案・運営・情報発信などを担う学生ボランティア。

アマゾンジャパン合同会社

人事部 Student Programs 新卒採用リクルーター
山下 南美(やました・みなみ)さん(2011年国際教養学部卒業)
エレクトロニクス&ITソリューション事業本部 音響・楽器事業部 ブランドスペシャリスト
バンヴィル ジェイムズ 和(かず)さん(2023年国際教養学部卒業)

アマゾンジャパン本社にて。(左から)バンヴィルさん、山下さん、川本さん

成長するためのチャンスにあふれています

川本:幅広い職種がある御社ですが、特徴や採用方法について教えてください。

山下さん:弊社は米国ワシントン州に本拠地を置く企業で、Eコマースを中心としたさまざまなオンラインビジネスを展開しています。その中でアマゾンジャパン合同会社(以下、Amazon)は、地球上で最もお客さまを大切にする企業、そして地球上で最高の雇用主となり、地球上で最も安全な職場を提供することを目指しています。多様なお客さまのニーズにお応えできるよう、品揃え、利便性、価格の強化に取り組みながら、商品の提供に努めています。

Amazonの企業理念

新卒・中途ともに、採用はポジション(職種)別に行っており、試験内容や面接の回数などもポジションによって異なりますが、全ての社員は入社後、活躍の場を世界中に広げることが可能です。早稲田大学はグローバルリーダーの育成に力を入れているので、弊社との親和性が高いと思います。

川本:求める人材や面接時の注意点について教えてください。

山下さん:弊社には、「Our Leadership Principles(以下、OLP)」という16項目からなる行動指針があります。簡単に説明すると、社員全員がリーダーであり、お客さまのより便利でより楽しい生活をかなえるために、自らが率先して問題点を見つけ出し、改善策を講じるというものです。

その中には、リーダーに求める素質として「Learn & be curious」という項目があります。新しい学びを求め、自分自身を向上させながら、次なる可能性を探求していける人物かどうか。面接では、この点にマッチした思考・行動力を持っているかを重視しています。

社内でも常に、OLPに沿って何をどのように行うかを判断しているという

思考・行動力を図るのは、どんな結果を出したのかではなく、どんな過程を経たのかです。頑張ろうと思った理由、行動の背景にある考えなどを知りたいので、小さな出来事でも自分なりにエピソードを深堀してみてください。また、一貫性を持たせることも重要です。複数回の面接で同じエピソードを聞かれることがあるかもしれませんが、面接官が着目している点は異なる場合もあります。話のつじつまが合っていないと懸念してしまう可能性があるので、話を盛ったりアレンジしたりしないように気を付けていただきたいですね。

印象に残るのは、やはり向上心を持って主体的に行動できる方ですが、同時に謙虚さも感じられる方です。弊社では、自ら上司などにフィードバックを求める文化があります。改善点があれば、それを素直に受け止めることで成長につながると考えているので、「向上心」「チャレンジ精神」「謙虚さ」の3点がポイントになると思います。

川本:社員の自主性を重んじる文化があるのですね。企業風土も、御社ならではの特徴があるのでしょうか?

山下さん:仲間のアイデアをポジティブに受け止められる点だと思います。面白いアイデアがあれば互いに出しあって、いいものであれば実現していく文化があります。それが根本にあるから、Eコマース以外の新しい事業が次々に生まれてきました。

サービス以外に関しても、毎日、ものすごいスピードで改善・実行されているので、確かに目まぐるしいとも言えます。しかし、裏を返せば、それだけチャンスにあふれているとも言えますね。

川本:チャンスが多いというのは、国際的な活動を含めたポジション異動などにも共通していますか?

山下さん:もちろんです。社内公募制度は国内・海外両方あります。例えば、米国でやりたいポジションやプロジェクトを見つけた場合、条件がマッチしていれば誰でも応募できます。

私の場合は、新卒採用に応募する学生に、より良い体験をしてもらうためのプロジェクトに参加しています。日本を含めたアジア各国のメンバーが定期的に集まって、自分たちの成功例や失敗例をシェアしつつ、より良い体験の創出を目指すというものです。最近では、選考フローやよくある質問・FAQをまとめた「応募の手引き」を用意しました。もちろん国によって細かな違いはありますが、そういった情報もオープンにしてメンバー全員で話し合っています。

川本:海外とのプロジェクトも盛んとなると、やはり日常会話レベルの英語力は必須なのでしょうか?

山下さん:あれば好ましいですし、採用試験の過程で英語力を確認させていただくのですが、英語力の高さよりも苦手意識がそこまでなく、学ぶ姿勢を持っているかやOLPの方を重視しています。それに、入社後の英語の重要性や使用頻度はポジションによって異なります。

社内には英語力のトレーニングや言語習得プログラムもあるので、英語力にあまり自信がない方でも、入社後に身に付ける機会はあるので、安心してください。

グローバルなお客さまのために、多様性を持った人材が必要だと考えられている

入社半年でも立派なプレーヤーに

川本:バンヴィルさんが御社を選んだ志望理由を教えてください。

バンヴィルさん:志望理由の一つ目は、経営学に関する学びを続けたかったこと。二つ目がキャリアの幅が広がると思ったことです。ご存じだと思いますが、Amazonは世界各地で、多岐にわたる領域での事業を展開・発展しています。それを可能とするビジネスの仕組みに興味を持ち、学びたいと思いました。

また、国や事業領域、職種を変えながらスキルアップが図れるのも、大きな特徴です。自ら手を上げたら、横にも縦にも斜めにも異動するチャンスがあるので、理想的なキャリア形成ができると考えました。

経営を学べて、キャリアの幅が広がるという点では、コンサルティング業界も視野に入っていました。ただ、弊社の場合は、事業会社として自社の利益創出も考えながらコンサルティングを行うので、そこが決め手となりました。

川本:現在の配属先と仕事内容を教えてください。

バンヴィルさん:コンシューマー総合職というポジションで、ブランドスペシャリストという職種に就いています。具体的には、国内外のメーカーを対象にコンサルティングする仕事です。

また、社内プロジェクトにも参加していて、カスタマーやわれわれ従業員などの体験向上につながる改善作業を担当しています。通常業務は対メーカー、社内プロジェクトは対カスタマーなどと対象は違いますが、どちらの根本にも「Amazonの顧客体験向上」という共通点があります。

川本:就職活動ではどんなことに力を入れていましたか?

バンヴィルさん:いくつかあるのですが、特に注力したのは自己分析と面接練習です。自己分析は、過去の経験を細かく分析して、自分の性格や強み・弱み、理想とする将来像を明確にしました。当初は全然まとまらなかったのですが、自分なりに少しずつ整理していく中で、自然と伝え方もブラッシュアップできました。きちんと自己分析すると、過去・現在・将来に一貫性が生まれます。就職活動を成功させるためだけでなく、今後、自分がどんな人生を歩んでいきたいのかも明確になります。

面接練習では、主にゼミの先輩に協力していただきました。私が所属していたゼミは、就職活動のサポートにも力を入れていたので、いろいろな人を頼りながら選考を進めていったという感じです。実は、一つ目の自己分析に力を入れたのも、ゼミの先輩からのアドバイスです。私の場合はゼミでしたが、他にもサークルやキャリアセミナーなどで、就活の指導メンターのような人を作るといいかもしれません。

川本:入社する前と後で、予想と違っていたことはありますか?

バンヴィルさん:成長機会の多さに驚きました。外資系ですし、裁量権が大きいと思っていましたが、予想以上にそういった機会をいただける場面があります。私はまだ入社1年もたっていませんが、夏ごろに独り立ちして、1人でメーカーを担当するようになりました。もちろん、自らの希望があってのことですが、他の会社では考えられないくらい早いデビューなのではないでしょうか。

ただ、私の場合は成長機会だとポジティブに捉えられるのですが、責任の大きさや難易度の高さに圧倒される人もいるかもしれません。自分の成長スピードを速めるのも、ゆっくり進めるのも、全て自分次第ということなのだと思います。

川本:今後のキャリアプランは、既に考えていますか?

バンヴィルさん:実は、まだ明確なものはありません。ただ、選択肢の一つに、「ゼロからビジネスを立ち上げる」というのがあります。まさに私の父が経営者として起業した人なので、幼い頃から一人で走り続ける父の背中を見てきたのが影響しているのだと思います。そういった生き方に憧れる半面、これからAmazonでいろいろな事業に携わって経験を積み重ねていき、得意な領域を広げていくと、見えてくるものや考え方もさらに良い方向に変化できるのではないかという期待もあります。

いつになるのかは分かりませんが、自分を高めていったその先で、後悔しない選択をしたいですね。

「失敗は恐れることではない」というAmazon.comの共同創設者、取締役会長ジェフ・ベゾス氏

取材・文:安倍 季実子
撮影:小野 奈那子

大学での人との出会いを大切にして就活にも生かしたい

文学部 2年 川本 優梨子(かわもと・ゆりこ)

特に印象深かったのは、Amazonが掲げる「Our Leadership Principles」が社員一人一人に定着し、重要な指針として共有されているということです。仕事の円滑化、社員の評価、採用面接など、あらゆる場面でこの考え方が活用されていることが分かりました。多くの職種があり、グローバルな人材に富む大企業だからこそ、足並みをそろえるためOLPの存在意義が大きいのだと感じました。また、社員の自主性を尊重する企業風土は、新入社員でも裁量権が大きく年齢に関係なく活躍できる環境に反映されており、魅力的だと思います。

採用面接で面接官が注目するポイントや、学生が注意すべきことなど、人事担当の方から直接伺うことで、就活に役立てることのできる多くのヒントを得ることができました。また、大学2年の頃から就活に向けて積極的に行動されていたという話を伺い、現在同じ学年の私は大きな刺激を受け、大変勉強になりました。

早稲田大学での他者との交流が、就活、そして社会人になってからも生きているというお話もあり、「大学での人との出会いを大切にしよう」と、私自身改めて実感するきっかけとなりました。

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