早稲田大学のキャンパス内には、静かにゆったり過ごせるカフェがあるのを知っていますか? 早稲田大学国際文学館内の「橙子猫(オレンジキャット)」と、早稲田大学歴史館内の「Café Clio」は、それぞれ違った魅力を持ちながらも、共に普段使いできるお店です。今回、それぞれの運営に関わる2名の学生に、カフェの特徴やおすすめメニューなどを聞きました。さらに、その他のキャンパス内カフェや、紹介した2つのカフェが企画に参加するMuseum Week 2023の情報も掲載しています。これを読めば、学内カフェ通になれること間違いなしです!
INDEX
▼村上春樹ワールドを堪能できる「橙子猫」
▼珈琲研究会考案のブレンドコーヒーが自慢「Café Clio」
▼その他のキャンパス内カフェ一覧
▼Museum Week 2023 ―予想外が待っている―
村上春樹ワールドを堪能できる「橙子猫」
合同会社オレンジキャット 代表社員
政治経済学部 3年 林 楽騏(リン・ルウチ)

早稲田キャンパス 国際文学館内カフェ「橙子猫」にて。
スペシャルティコーヒーの専門店「堀口珈琲」と共同開発した「ライブラリーブレンド」の袋を手に
――「橙子猫」が入っている「早稲田大学国際文学館(以下、国際文学館)」について教えてください。
国際文学館は、小説家で翻訳家の村上春樹さん(1975年第一文学部卒)から寄託・寄贈された貴重な資料を閲覧したり、レコードなどを聴いたりできる、2021年10月オープンのミュージアムです。橙子猫は、その地下1階にあります。
写真左:3号館側の入口から直接橙子猫に入店できる。看板が目印
写真右:建物は、建築家・隈研吾さん(早稲田大学特命教授)が設計。白を基調にした館内は、温もりを感じる木を生かしたインテリアで統一されている
――橙子猫はどのような経緯でつくられたのですか?

橙子猫の立ち上げメンバーである林さん。「高校時代もカフェでバイトをしていました。カフェの運営に関われるという点に引かれて、運営メンバーに応募しました」
大学時代にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を経営されていた村上春樹さんご夫妻の、「現代の大学生たちにもカフェを運営してほしい」という思いが基となり、国際文学館とともに橙子猫がオープンしました。
コンセプトは、「非日常を日常に」。国際文学館の静かで洗練された世界観に合わせて、特別な時間・空間を楽しんでもらえるようにと思いながら、日々カフェ運営に当たっています。
――運営メンバーとしての仕事内容を教えてください。
接客業務の他に、新メニューの開発、季節のイベントや各サークルとのコラボイベントの企画運営、PR活動などがあります。
思い出深いのは、音楽サークルとのコラボイベント。オープンから2カ月たった際に、クリスマスコンサートを開催したんです。たくさんのお客さまがいらっしゃいましたし、私自身も音楽が好きなので、とても楽しめました。

音楽サークルなどの生演奏が楽しめるコンサートを2021年12月16日に開催。今春からは、毎月イベントを実施する予定
――反対に、運営で大変だったことはありますか?
オープン3カ月目に、売り上げが大きく落ちてしまったんです。原因は、キャンパスの外れに位置している点だと考え、あらためてお店の認知度を上げる施策を講じました。具体的には、キャンパス内でのビラ配り、立て看板の設置など、とにかく思いついたことを全て試しました。
お店の営業やイベントといった楽しいことばかりではなく、PRにもしっかり力を入れないといけないんだと痛感した出来事でした。
――現在、橙子猫の利用者はどういった方が多いのでしょう。

温もりを感じられるカウンター席
学生だけでなく、地域の方や国際文学館を訪れた方などさまざまです。授業期間中は学生が多くなるなど、時期によっても変わりますが、通年で席に余裕があるのは、ランチ前と夕方16時ごろですね。
学生の利用者で多いのは、友達同士で来られる方。橙子猫で友達の輪が広がっているのだなと思うと、こちらまでうれしくなります。また、カウンター席が充実していることもあって、一人で勉強する学生もよく見かけます。
――春は交流の機会が増える季節です。おすすめのお店の利用方法を教えてください。
運営メンバーとして、より多くの学生に来てほしいと思っています。「仲良くなりたいな、話してみたいな」と思う人を見つけたら、「学内にカフェがあるらしいから、一緒に行ってみない?」と誘う口実に使ってみてください。きっと居心地が良くて、時間を忘れてトークに夢中になれると思いますよ。
林さんおすすめ! 「たらこスパゲッティ」と「モヒートコーヒー」

たらこスパゲッティ(900円)とモヒートコーヒー(500円)。モヒートコーヒーは、林さんが考案した橙子猫オリジナルドリンクだそう
「たらこスパゲッティ」は、村上春樹さんの小説『羊をめぐる冒険』にちなんだメニューです。たらこと生クリームで仕上げたシンプルな一皿ですが、ぜいたくにたらこを丸々一本使っているので、見た目以上に濃厚な味わいです。昔からあるレストランで食べたような懐かしさを感じると思います。個人的には、毎日食べても飽きないくらい大好きな一品です!
「モヒートコーヒー」は、ノンアルコールのオリジナルコーヒーカクテル。ミントシロップと炭酸を使用していて、爽やかなミントの風味の中に甘さも感じます。これからの季節にピッタリな爽快感のあるコーヒードリンクです。ぜひ一度試してみてください。
店舗情報
【店名】橙子猫 – Orange Cat –
【場所】早稲田キャンパス 国際文学館 地下1階
【TEL】03-5286-1257
【営業時間】10:00~17:00(フードL.O.16:30、ドリンクL.O.16:45)
【定休日】水曜日(国際文学館の閉館日程に準ずる)
【Webサイト】https://orangecat-wihl.com/
【Twitter】@wihl_cafe
【Instagram】@wihl_cafe
【YouTube】@-orangecat-1069
(※)現在、橙子猫ではアルバイトを募集しています。カフェが好きな人、運営をしてみたい人、イベントの企画をしてみたい人、友達が欲しいという人も大歓迎! 興味のある方はぜひWebサイトを確認してください。
珈琲研究会考案のブレンドコーヒーが自慢「Café Clio」
公認サークル「珈琲研究会」
文化構想学部 3年 外川 向日葵(そとかわ・ひまり)

早稲田キャンパス 歴史館内カフェ「Café Clio」にて
――「Café Clio」が入っている早稲田大学歴史館(以下、歴史館)について教えてください。
大学の中長期計画「Waseda Vision150」の中で掲げられている「キャンパスそのものをミュージアムにする」の一環として、2018年3月にオープンしました。歴史館は、早稲田大学創立からの歴史や、輩出した人物の情報などを発信している、早大生たちの知的好奇心を刺激するミュージアムです。そんな歴史館の1階に入っているのが「Café Clio」。アルバイトとして働く学生スタッフ全員が公認サークル「珈琲研究会」のメンバーというのも特徴です。
写真左:歴史館外観。歴史館のある1号館は築90年近くを誇る
写真右:Café Clioの内観。シックなデザインとインテリアが相まって、ゆったりと過ごせる
――珈琲研究会はどのようなサークルでしょうか。

珈琲研究会の副幹事長でもある外川さん。先輩から声を掛けられて、昨年からCafé Clioのスタッフになったそう
珈琲研究会は、50年以上の歴史を持つ老舗のサークルです。200人を超えるメンバーのうち、半数以上は早大生が占めています。
館内にカフェを設置すると決まったタイミングで珈琲研究会に声を掛けていただき、サークルとして運営に関わるようになりました。スタッフはサークル内で代々引き継がれていて、現在は5名が在籍しています。
――Café Clioのスタッフになって、楽しかった思い出を教えてください。
お客さまに「おいしい」と日々喜んでもらえることはもちろんですが、多くのサークル員と一緒にCafé Clioでイベントを実施できたことです。
以前の珈琲研究会では、サークル内の有志だけでコアな活動ばかりしていたので、参加する人しない人に分かれていました。しかし、「早稲田祭2022」で、珈琲研究会とCafé Clioでコラボして限定カフェを開いたところ、たくさんのメンバーが参加したんです。このとき、お客さまにコーヒーを振る舞うという楽しみ方を、サークル員一人一人が経験できましたし、サークルの一体感も生まれたように思います。

2日間で1,000人以上が来訪し、大盛況を収めた限定カフェ。コールドブリューコーヒーや、コーヒーの果皮部分を乾燥させたカスカラを使ったソーダなどのオリジナルメニューを提供した
――席に余裕がある時間帯はありますか? また、どんな利用者が多いのでしょう。

クッキーなどのスイーツも充実
オープン直後のランチ時はやや混み合うので、狙いは3限目の授業以降です。遅めのランチはもちろん、周りの雑音が気にならずにゆったりと過ごせるので、読書や勉強するのにもピッタリですよ。
最近は、ミーティングでの利用も増えました。電話予約も受け付けているので、友達同士の集まり、サークルの打ち合わせなど、大声を出さない用途で使っていただければと思います。
――早大生に向けた一言をお願いします!
全てのお客さまに「おいしい」と思ってもらえるように、心を込めて一杯ずつ丁寧に抽出しています。コンビニやチェーン店で飲むことが多い人も、コーヒーの知識があって、自分でハンドドリップして飲むという人も、「他とは違うな」と感じていただけると思います。コーヒーの味や香りと一緒に、お店の静かな雰囲気や空気感なども楽しんでみてください。
外川さんおすすめ! 「珈琲研究会ブレンド」と「自家製キッシュ」

珈琲研究会ブレンド(550円)と自家製キッシュ(650円)。写真は、自家製キッシュとトースト、サラダ、ドリンクがセットになったキッシュセット(1,050円)
「珈琲研究会ブレンド」は、2018年度に在学していた先輩方が試行錯誤の末に生み出したもの。ブラジルをメインに、合計3種の豆をブレンドしています。バランスの良さはもちろん、コクと甘味、香ばしさを堪能できます。これらの特徴を存分に引き出すために、入れ方も工夫しています。冷めてもおいしいので、温度変化の過程も楽しめますよ。
「自家製キッシュ」は、たっぷりの卵と季節の野菜を使った当店自慢の一品。手作りならではの優しい味で、食べるたびに幸せな気分になれます。また、日によって具材が変わることも。「今日は何が入っているんだろう?」と考えるのも楽しみ方の一つです。
店舗情報
【店名】Café Clio
【場所】早稲田キャンパス 1号館 早稲田大学歴史館 1階
【TEL】03-6278-9990
【営業時間】12:00~16:00(L.O.15:45)
【定休日】水曜日、日曜日
【Twitter】@clio_cafe
【Instagram】@waseda_cafeclio
(※)記事中の価格は全て税込みで取材当時のもの
取材・文:安倍 季実子
撮影:布川 航太
その他の学内カフェ一覧
学内には他にも複数のカフェが点在しています。それぞれのスタッフの方から、コメントをいただきました。どの店舗も早大生の来店を心待ちにしているので、時と場合に応じて使い分けてみましょう! 営業時間などの詳細は各リンク先を確認してください。
Uni.Café125
「Uni.Café125は目の前に大隈庭園の緑が広がり、天気の良い日はテラス席で読書や談笑をして過ごすお客さまが多く見受けられます。留学生のお客さまも多く、多言語が飛び交うインターナショナルな雰囲気を味わえます」(小川店長)
写真左:早稲田大学オフィシャルグッズを販売するUni.Shop125が併設されている
写真右:おすすめはベーグルサンドやシフォンケーキ
早稲田ミルクホール
「お総菜パンから3時のおやつにぴったりの甘いパンまで、たくさんの種類をご用意しております。ひきたてのコーヒーもお供にどうぞ! Twitter、Instagramでは新商品のお知らせも随時発信しているので、ぜひチェックしてみてくださいね!」(李店長)
営業時間:09:00~17:30
※土日祝日は定休日。また、長期休み中は休業。
写真左:戸山キャンパス 31号館 1階にある店舗
写真右:一押しは、中はふわふわ外はカリカリの「メロンパン」(150円)。これを買っておけば間違いなしの一品。お総菜パンではベーコンポテトドッグが大人気
スターバックスコーヒー 早稲田大学戸山キャンパス店
「授業の休み時間やサークル活動の合間にぜひスターバックスのドリンクをお楽しみください。店舗のおすすめカスタマイズは、コーヒー フラペチーノ®をベースに、ホイップクリーム、チョコレートチップ、ホワイトモカシロップとチョコレートソースを追加した、チョコレートをふんだんに楽しめる一品です。午前中は落ち着いているのでゆっくりと過ごしていただけます」(緑川ストアマネージャー)

戸山キャンパス 早稲田アリーナ 2階に店舗を構える
タリーズコーヒー 早大理工店/早稲田大学研究開発センター店
「早大理工店は一人で利用される方が多く、勉強するならより静かな午前中や夕方以降がおすすめです。天気の良い日にはテラス席も気持ち良くご利用いただけます!」(関谷店長)
「早稲田大学研究開発センター店は比較的静かな環境のため、テスト期間は朝から満席になることも。早稲田キャンパスからも近いので、空きコマやお昼時などリフレッシュしにいらしてください!」(新井店長)
西早稲田キャンパス 55号館 1階にある早大理工店(左)と121号館 1階にある早稲田大学研究開発センター店(右)
ROASTERY COFFEE 早稲田店
「おいしいコーヒーだけでなく、居心地のいい空間を提供しています。自分の時間を有意義に過ごせる“サードプレイス”としての役割を持っています。仲間と集まる交流の場として、またあるときは一人でゆっくり勉強の場として、開放的な空間で過ごすひとときをお楽しみください」(眞家店長)
営業時間:カフェカウンター10:30~18:00/フードカウンター11:30~15:00
※土日祝日は定休日。また、夏季・冬季休業あり。
写真左:店舗があるのは、早稲田キャンパス 大隈ガーデンハウス3階
写真右:おすすめは「甘辛チキンラップサンド」(一般価格350円、組合価格300円)と「カフェラテ」(一般価格390円、組合価格330円)。ドリンクだけでなくフードの種類も豊富
Museum Week 2023 ―予想外が待っている―
早稲田大学のミュージアムの魅力を体感していただくために、今年も「Museum Week」を開催します。歴史館(1号館)、會津八一記念博物館(2号館)、国際文学館(4号館)、演劇博物館(5号館)、早稲田スポーツミュージアム(早稲田アリーナ3階)、本庄早稲田の杜ミュージアム(本庄キャンパス93号館)を舞台に、コンサートやツアー、ギャラリートーク、プレゼント企画やスタンプラリーなど、どなたでもお楽しみいただける企画を多数開催します。
今回紹介した橙子猫とCafé Clioは、「ワセメシスタンプラリー」の参加店舗です。カフェを楽しみながら、ぜひこの機会にミュージアムを巡ってみてください!
開催期間:5月15日(月)~26日(金)
※ワセメシスタンプラリーは5月8日(月)より先行スタート
写真左:学生ボランティア団体「文化推進学生アドバイザー」も企画を担当
写真右:イベントに参加してゲットできるプレゼントの数々
【次回フォーカス予告】5月15日(月)公開「留学特集」