多くのみなさまのお力添えにより、今年で5回目を迎える「新潟県燕市×公益社団法人つばめいと」との地域連携ワークショップが無事全てのスケジュールを終了しました。多数の応募者の中から選考を通過した5名の学生がチーム(チーム名:つぶぞろい)として約2ヵ月にわたるワークショップに取り組みました。昨年は、新型コロナウイルス感染症の影響により全面オンラインでの活動となりましたが、今年は感染対策を徹底し現地でのフィールドワークを実施することができました。
●テーマについて:若者で賑わう「未来の商店街」をつくる事業を考えよう~燕市を若者の力で変える~
江戸時代より金属に関わる製品をつくり続け、金属加工技術で全国トップレベルの新潟県燕市。そんな燕市において若者層の人口流出超過は深刻な課題であり、かつて人であふれた宮町商店街はシャッター街へと化しています。一方で、再び「共益」が叶う私営の公共空間をつくろうと、近年では多様な目的や思いを抱えた若者が宮町商店街に集まり奮起しています。本プログラムでは、若者が燕市により一層の愛着を持ち、宮町商店街を中心に積極的に地域と関わるようになる施策を考え抜き、最終報告会の場で提案しました。
【活動の様子】
- オリエンテーション(1/23)、交流会(2/7)
ワークショップはオリエンテーションからスタート。学生同士の顔合わせや、公益社団法人つばめいとの代表やご担当者様からテーマの内容や背景について説明を受けました。学年や学部も様々な初対面の学生たちでしたが、初動も早く、試験やレポート作成の合間を縫って情報収集や議論を重ね、自分たちなりの仮説を立てていきました。
交流会では、アイスブレイク(噓つき自己紹介)に始まり、昨年度ワークショップを経験した先輩学生との対話を通じてチームビルディングの重要性を感じると共に、学生たちはいよいよかと士気が高まる絶好の機会となりました。
- オンラインヒアリング(フィールドワーク前、後)
燕市役所や公益社団法人つばめいとのみなさまにご協力いただき、主には宮町再開発会議で活動するメンバーにオンラインでヒアリングを実施。フィールドワーク前に実施することで事前調査や、テーマに対する自分たちなりの仮説へのフィードバックをいただくことができました。当初は、慣れない初対面の大人を対象としたヒアリングに緊張の面持ちでしたが、回を重ねるごとに進行は上達し、熱意を持って質問を続ける学生の姿勢に、相手の方々も親身になって応えてくださいました。
フィールドワーク後にも現地調査を経て浮かんだ更なる疑問解消や提案の糸口を探すべく、オンラインヒアリングを実施。同じ対象者に複数回ヒアリングさせていただくこともあり、”つぶぞろい”は提案を通じて恩返しをしたいという強い思いが芽生え、最終報告に向けた更なる活力となりました。
- フィールドワーク(2/13~2/16)
仮説の検証を行うため、3泊4日で待ちに待った現地でのフィールドワークを実施しました。テーマの中心地である宮町商店街や、学生達が滞在し活動の拠点となるつばめ産学協創スクエアの案内を皮切りに、商店街再興に向けた若者の集まりである宮町再開発会議への同席、宮町商店街で働く方々の職場訪問、さらには新潟県立燕中学校の先生・地域コーディネーター・生徒さんや地元の高校・大学生との対話の場等、多様な方との貴重な対話の機会をいただきました。情報の渦に何を目指すべきか苦悩しながらもメンバーで議論を続け、最終日には鈴木力市長に対して現時点で考える方針や施策を提示し意見交換を行うなど、自ら果敢に行動し、濃密な時間を過ごしました。
- 中間報告会(2/24)
中間報告会では講評者より、ヒアリング内容や客観的なデータをもとに、現状分析、課題設定についてはよく考え抜かれている、と高評価をいただきました。一方で、提案の具体的な中身、実施方法等については現実的に難しい点や、更なる具体性を求められるなど、最終報告会に向けた改善点が浮き彫りに。自分たちの考えた方針が間違っていないことへの自信と、これから最終報告会に向けてやるべきことが明確になり、収穫の多い中間報告会となりました。
- 最終報告会(3/10)
提案内容やプレゼン方法まで、チームで考え抜き迎えた最終報告会。ハイブリッド形式での実施となたっため、燕市市役所会場には鈴木市長をはじめ燕市教育委員会主幹、早稲田会場にはつばめいと代表や担当者に来校いただき、つばめ産学協創スクエアや宮町商店街からも参加いただけました。
これまでの集大成となる提案内容は、“持続可能な未来の商店街=挑戦のプラットフォームとしての若者開発特区”の実現に向けて、今後商店街内に新設される複合施設を拠点として、中学生が主体となって地域と関わる「クリエイティ部」を発足する”というものでした。
中学生が宮町商店街に積極的に関わることのできる仕組みを作ることで、商店街だけではなく宮町や燕市への愛着が早い段階で醸成され、年を重ね社会人となってからも地域への愛着を胸に、それぞれが何らかの挑戦をする=宮町を盛り上げる、というシナリオを描きました。提案にあたっては、新複合施設の名称を中学生に対して募る、新複合施設内に桜の木を設置し中学生をはじめとした地域住民の願いを花びらとして集めかなえられた願いは桜色に裏返す、小学生時点でクリエィティ部へのメンバー勧誘方法や広報施策など、持続的な活動とするために必要な要素も提案しました。
鈴木市長からは、「現地調査時の懇談での意見交換内容もしっかりと提案に盛り込こんでくれていて素晴らしい」「中学生を対象とした取り組みはまだ手を付けられていない部分も多いため、現行の部活制度への応用なども検討できるかもしれない。大変参考になった」といった前向きなフィードバックをいただけました。
【参加学生の声】
- 今回WSに参加したことで、自分の強みと弱みを知ることができ、自分を更に客観視できるようになったと感じています。また、燕市の方々にもとても親切にしていただき、人の温かさにも触れることができました。学年も所属も異なるメンバーと同じ目標に向かって考え抜いた経験は、今後の自分の人生において大きな糧となると感じています。(文学部 1年)
- 今までこういったワークショップに参加したことがなく、始まる前は不安が大きかったです。しかしWSが始まってチームメンバーと次第に打ち解けていく中で、これまで苦手としていた自分の意見を言うことが次第にできるようになりました。連日ミーティングを開いて議論するのは大変でしたが、約一か月半濃密な時間を過ごしたことで、間違いなく成長できました。チームメンバーはそれぞれ強み弱みがありましたが、それをみんなで補い合いながら、やり遂げることができました。(政治経済学部 2年)
- いかにチームワークが大切かについて学びました。ワークショップの期間中は、自らの考えを言語化するのに苦労しましたが、議論以外のチームの雰囲気も良く、失敗を恐れずに意見を言うことができたと思います。(人間科学部 2年)
- 地域の温かさや想いに応えたるため、チームで一丸となり、全力で考え抜いた時間でした。楽しさも、苦しさも詰まった、必ず成長する機会になると思います。(人間科学部 3年)
- 現地FWに赴かせていただいたおかげで、多くの方々に関わっていただけていることへの感謝と同時に、現場の事実を目で見て感じることができ、常にその先にいる方々を意識して施策を考えることができました。また、自己成長という面では、振り返りの機会を定期的にいただいたことで、自分の目標や自覚している強み・弱みと常に照らしながら臨むことができました。(政治経済学部 4年)
【活動概要】
連携先:新潟県燕市・公益社団法人つばめいと
テーマ: 若者で賑わう「未来の商店街」をつくる事業を考えよう~燕市を若者の力で変える~
参加学生数: 5 名(1チーム)
活動期間: 2023 年 1 月 23日〜2023 年 3 月 10 日
募集要項はこちら

最終報告会後の記念撮影@早稲田大学