Dormitory Desk, Student Affairs Section (Former Residence Life Center) 学生生活課 学生寮デスク(旧レジデンスセンター)

その他

韓国研修(2025年8月実施)

活動概要

訪問先:韓国 ソウル・仁川
参加学生:10名 
活動期間:2025年8月26日(火)~2025年8月29日(金) 

活動報告

1)テーマ
韓国「歴史記憶」へのアプローチ

2)コンセプトとゴール
・韓国における「歴史記憶」の継承やあり方を「現場」で学ぶ
・「ダークツーリズム」(戦跡や災害被災地など悲劇にまつわる場所を訪問すること)による学びを体験する。
・韓国の歴史を知ることで日本を知り、自分たちを知る(=自他認識の深化)
・日韓の「境界線」上に身を置きながら、絶えず思考し悩み続ける機会として活用

漢陽大学校 日本学科(Department of Japanese Studies, Hanyang University ERICA) の学生5人も研修に参加し、交流を深めた。

参加寮生の体験記

今回の韓国研修では、「韓国『歴史記憶』へのアプローチ」をテーマに、韓国社会における「歴史記憶」の継承やそのあり方を現地で学びました。3泊4日という短い時間でしたが、私たちなりに真剣に考え、向き合ってきました。
そもそも「歴史記憶」とは何でしょうか。これは、特定の出来事や時代について、人々や社会がどのように記憶し、語り継ぎ、共有していくかを指す概念です。歴史そのものは一つの事実であっても、その理解や伝え方は国や立場によって大きく異なります。今回の研修を通じて、歴史をより深く理解するためには、自国の視点だけでなく、他国の視点から学ぶことが不可欠であると強く感じました。
研修の中で最も印象に残ったのはDMZツアーです。DMZとは、韓国と北朝鮮の軍事国境線にある非武装地帯のことです。日本という島国で暮らしている私には、普段「国境」を意識する機会はほとんどありません。人生で初めて目にした「国境」はその存在の大きさを痛感するものでした。展望台へと繋がるゴンドラから見た川は一見するとただの自然に見えます。しかし北朝鮮の人々にとっては自由へつながる道であると同時に、命の危険を伴う境界でもあります。この場所では、国境が人々の日常そのものであり、人生を大きく左右する壁になっていることを強く感じました。
また、鳥頭山統一展望台から眺めた北朝鮮の景色は韓国側とは全く異なっていました。韓国側にビルが立ち並ぶ一方、北朝鮮側は田畑が広がり、建物はわずかしか見えません。風景は一見穏やかにも見えましたが、その背後にある歴史的対立や人々の生活の厳しさを思うと、単なる観光風景として受け止めることはできませんでした。さらに、ガイドの方が語ってくれた離散家族の話からは、突然現れた国境が家族のつながりを断ち切った現実を知り、いつでも会うことができる家族や自由な移動がどれほど貴重なものであるかを実感しました。
同時にDMZが観光地化されていることには、どこか違和感を覚えました。とくに展望台からの眺めは、北朝鮮の姿を観光資源のように消費しているように感じられました。北と南の風景を比較して見せる仕組みは、ときに両者の優劣を意識させるもので、複雑な気持ちになりました。戦争はまだ「終わった」のではなく「休戦中」であるにもかかわらず、その軍事境界線が観光ツアーで公開されていることの意味について、改めて考えさせられました。
DMZ以外にも、西大門刑務所歴史館や戦争と女性の人権博物館を訪れ、日韓の歴史について学びました。西大門刑務所は1908年に「京城監獄」として建てられ、日本統治時代には独立運動に関わった人々が収監されていた場所でもあります。当時ここで何が行われていたのか。目を背けたくなるような展示を前に言葉にならない苦しさを覚えました。同時に歴史を直接学ぶことは、それをどのように伝え、次の世代へ継承していくかを考える大切なきっかけになると感じました。
最終日の発表で、ある参加者が「平和は国によって概念が異なる」と述べたことが印象に残っています。確かに、国に限らず環境や立場によっても「平和」の捉え方はさまざまです。だからこそ、平和を願う私たちに求められるのは、傍観するのではなく、実際に現地を訪れ、人々と交流し、多様な視点から考える姿勢だと思います。今回の4日間の研修は、その姿勢を身をもって体験する貴重な機会となりました。この経験から得た学びを、今後の自分の行動や判断に生かしていきたいと思います。研修中は学びだけではなく、現地の美味しいご飯を漢陽大学の学生の皆さんと堪能出来たことも印象深い思い出です!
最後に、この研修を支えてくださった多くの方々に感謝の気持ちを伝えたいです。どんな質問にも丁寧に答えてくださった漢陽大学の佐藤太久磨先生、李俊榮先生、3泊4日を共にしてくれた漢陽大学の学生の皆さん、そしてこの貴重な機会を与えてくださった早稲田大学の関係者の皆様に心から感謝いたします。そして、共に学びを深め、最高の時間を一緒に過ごすことが出来たWISHメンバー、本当にありがとう!

(山下 玲奈)

学生生活課 学生寮デスク(旧レジデンスセンター)は、早稲田大学の学生寮に関する運営政策の企画立案ならびに学生サービスのための機関です。

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