Dormitory Desk, Student Affairs Section (Former Residence Life Center) 学生生活課 学生寮デスク(旧レジデンスセンター)

その他

徳島研修(2025年3月実施)

活動概要

訪問先:徳島県 
テーマ:「上勝町ゼロウェイストスタディツアー」 
参加学生:10名 
活動期間:2025年3月15日(土)~2025年3月18日(火) 

活動報告

日本ではじめて(2003)ゼロ・ウェイスト宣言を行った徳島県上勝町に行き、環境問題とその解決に向けた取り組みについて深く学び、Uターン、Jターンといった地方への移住とその暮らしについても理解を深めました。初日は上勝町ゼロ・ウェイストセンターWHYにて上勝町で取り組んできたゼロ・ウェイストについて学びました。2日目は犬嶽山へのハイキングを通して上勝町の自然を満喫し、午後は上勝町にお住まいの方のゴミ分別に関する貴重なお話しを聞きました。その話の中には町のゴミ分別政策に取り残されてしまった高齢者の方のエピソードもあり、いろいろと考えさせられました。3日目はかやぶき学校にて自然環境と住民の暮らしに関する講義を受けました。午後、田舎での暮らしについて移住者の方からお話を聞くパネルディスカッションでは寮生からの積極的な質問・意見交換がありました。最終日は、上勝町の基幹産業である葉っぱビジネスを展開している会社の代表より講演をいただいたあと、実際に畑に行き、葉っぱビジネスについて理解を深めました。最後は、この研修で学んで感じたこと、研修後どのように行動するかについて2人1グループで発表を行いました。なお本研修は英語で行われました(講義は日本語→英語通訳)。

参加寮生の体験記

3泊4日の研修を通して、さまざまなことを学ぶことができました。私は普段から、一地球人としてゴミの分別など、やるべきことやできることは、負担に感じても積極的に取り組んできました。今回の研修では、私自身、気になっていたゴミの分別や地方創生について、地域の実情を知ることでより深く学ぶことができました。町全体がZero Waste (ZW)という目標に向かって努力している様子を、町に住まれている方からのお話や、ゼロウェイストセンターの見学を通じて実感しました。

1日目にとても大事なコンセプトを学びました。それが ”The Kamikatsu Way” です。人々の考え方を変えることができなくても、人々の行動を変えることは出来ます。私にとってゴミのリサイクルで一番衝撃的だったことは、プラスティックを干すための専用のハンガーが各家庭にあることです。大きな町とは違う上勝町だからこそ、浸透させられることがあるのです。また上勝町のリサイクルシステムには、ポイントが付与されるという遊びの要素があり、リサイクルを続ける動機づけとなっている点が良いと思いました。お話を伺った方は「塵も積もれば山となる」と表現していました。リサイクルもポイントも積み重ねです。ZWの「ウェイスト」は訳せばゴミですが、単なるゴミではなく、焼却をしない、埋め立てをしないというコンセプトであり、出るゴミ自体を悪く捉えていないという印象を受けました。リユースを実践しているクルクルショップでは、毎月500kg、実に年間6tのリサイクルが実現しているということでした。

2日目は上勝町の80%が森林である中で、そのうち30%が山林である理由や、それに伴う被害について学びました。今から50年前の政府からの国産杉推奨により村人が杉を植えた結果、栄養も含め水が流れてしまうとのことです。また関係者からはZWな暮らしについて聞くことができました。一家庭から出るゴミは月に1回、6分別でリサイクルしているそうです。彼女の私生活で感動したことは、コチュジャンと味噌を基本にしてそこからさまざまな料理を作り出しているということです。町のZWを美味しい料理やお家の家具作りという形で実践していました。またZWの取り組みの負の一面を知りました。情報社会ではなかった時代に生まれ育った村の高齢者には、ZWの知識が浸透しにくかったようです。ZWの取り組みを行動に移すためには、まず情報を得てから行動する必要があります。このような生活を送ることで、人々の幸せの感じ方も変化しているとのことでした。

3日目は上勝町に55ある小集落のうち、最も奥まった所にある八重地の花野邸を訪問しました。雪が降り積もった棚田とススキの広がるのどかな田園風景でした。自然と共生する暮らしは、多様な景観や生物多様性の恵み、そして人の知恵と技術によって成り立っています。例えば、畔(あぜ)の根っこがあるから除草剤は使わない、という考えは素晴らしいと思いました。里山とは、小さな自然再生の場であり、仲間や仕事の場でもあるということがわかりました。しかし林業は輸入材の影響で衰退し、里山の循環が失われることで、人口減少にもつながっているそうです。また都市と農村の格差も学びました。農村は、都市と比べ認知度が低く、資金援助も少ないです。そういう中で茅葺き(かやぶき)ボランティアによって、花野邸は新しい屋根ができました。新たな問い「自然と共生する暮らし」とはその地域に住む人との対面の関係であったり、町の農業に関わり、仲間意識を育むことだと思います。上勝はOPENです。また上勝町で働いている、私たちと近い年代の人たちとのパネルディスカッションで「上勝町での暮らしは良さそうだな」と思いました。特に印象的だったのは「若い人の絶対数は少ないけれど、町全体が第2の家のようで、同世代の友人がいなくても寂しいことはない」という言葉です。町全体が一つのコミュニティのようなものだからでしょうか。また、上勝でやっていることを東京でもそっくりそのまま行うことはできないですが、マインドは持つことができると強く感じました。

4日目は株式会社いろどりの代表から情報通信技術(ICT)が導入され、ビジネスがどのように発展してきたのかを学びました。具体的には、みかん畑が枯れてしまった状況を逆手に取り、みかんの葉を活用したビジネスチャンスを上勝町から見出したのです。年配の方であってもICTを使い、需要と供給のバランスなど、生産者として必要な情報を得ることで、他の生産者仲間と高め合い、やりがいを感じられるようになる仕組みがあるとわかりました。

   (石神 桂 )

学生生活課 学生寮デスク(旧レジデンスセンター)は、早稲田大学の学生寮に関する運営政策の企画立案ならびに学生サービスのための機関です。

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