「前近代イスラーム社会知識人再考」第4回研究会(2017年9月11日開催)
◆場所:早稲田大学9号館103教室(イスラーム地域研究機構共同研究室)
◆参加人数:6名
◆内容:前回研究会に引き続き、イブン・ハルドゥーンがサルギトミシュ学院教授職に就任した際(1389年)の演説を検討した。これはハディース学を講じるポストで、イブン・ハルドゥーンはマーリク派法学の祖マーリク・ブン・アナスの『ムワッタア』を題材として選ぶのだが、その際、マーリクにまで連なるイスナード(伝承者の名の連なり)を披瀝する。以前にも一度検討したが、このイスナードに現れる伝承者はマグリブ・アンダルスの人物ばかりである。その中には東方遊学を果たした人物もいるが、東方の伝承者に連なるイスナードは軽視されている。カイロでおこなわれたこの演説は、イブン・ハルドゥーンのマグリブ出身者としての自意識を示すと共に、知識人の活動の地域性を考える上でも重要な示唆を与えてくれよう。(文責:佐藤健太郎)