Organization for Islamic Area Studies早稲田大学 イスラーム地域研究機構

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【イベント】イスラーム地域研究コロキウム「中央アジアにおけるロシア革命再考」(3/2開催)

早稲田大学イスラーム地域研究機構では、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターの宇山智彦先生をお招きし、下記の通りイスラーム地域研究コロキウム(旧イスラーム地域研究セミナー)」を開催いたします。参加自由ですので、ご関心をお持ちの方々の奮ってのご来場をお待ちしております。

【発表者】宇山智彦 氏(北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター・教授)

【題目】中央アジアにおけるロシア革命再考——帝国崩壊期を生きた人々の状況認識と世界認識——

【コメンテイタ1】吉村貴之(早稲田大学イスラーム地域研究機構・招聘研究員)

【コメンテイタ2】藤波伸嘉(津田塾大学学芸学部・准教授)

【日時】2017年3月2日(木)15:00~18:00

【会場】早稲田キャンパス26号館1102会議室

【使用言語】日本語

【参加費】不要

【参加要件】一般公開

【お問い合わせ先】秋山徹(早稲田大学イスラーム地域研究機構・次席研究員/akiyama[at]aoni.waseda.jp

【要旨】

 ロシア革命は今年100周年を迎え、研究者は新しいアプローチを模索している。中央アジアを含む非ロシア人地域に関する旧来の研究では、ボリシェヴィキ対民族運動という二項対立的な観点が目立ったが、これは空間、時間、国際関係などさまざまな視点から見直す必要がある。

 第一に、二月革命と十月革命の間にロシア中央に存在していた臨時政府はもちろん、内戦期にロシア各地で「政府」を自称した反ボリシェヴィキ諸勢力やコサック軍なども中央アジアと関わりを持っていた。ソヴィエト政権を含む多様な勢力と、民族運動をはじめとする中央アジアの諸グループの間には、帝国期のさまざまな遺産を背景に、協力と抵抗・対立の関係があったのであり、帝国論的な視点から見直すことができる。

 第二に、近年のロシア史研究で第一次世界大戦から革命・内戦まで(場合によりその後数年間も含む)の時期が「危機の連続体」と呼ばれているように、ロシア革命は政治・経済・社会的危機のさなかに起きた。そのような危機は、1916年の大反乱とその後繰り返される飢餓や混乱を経験した中央アジアでも鮮明に現れていた。従って民族運動のあり方も、諸勢力間の連携・対立も、イデオロギーだけではなく危機への対応という視点から理解する必要がある。民族という枠組みや、現地人と非現地人の区別も、利害の主張・調整のために尖鋭化した側面があり、特にロシア人のナショナリズムは、危機の連続からソヴィエト期初期までの状況を理解する鍵となる。

 第三に、中央アジアは、革命・内戦期にロシア以外の諸国の関与が比較的小さかったことが特徴ではあるものの、新疆、アフガニスタン、イラン、イギリスなどとの関わりはある程度見られた。また、革命期には現地知識人が外の世界に関心を向ける余裕はそれほどなかったとはいえ、革命以前のヨーロッパ、オスマン帝国、アジア諸国などに関する認識は彼らの行動に影響を及ぼしていたし、ソヴィエト政権を受容してからは改めて、反帝国主義的視点から世界を認識することになった。

 以上のような問題を、中央アジア域内の多様性はもちろん、他地域との比較と関係性も意識しながら論じてみたい。

Dates
  • 0302

    THU
    2017

Place

早稲田キャンパス26号館1102会議室

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