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【報告】「トルコ・中央アジア班」第1回研究会

「トルコ・中央アジア班」第1回研究会(2016年11月25日開催)

報告者:長谷部圭彦氏(早稲田大学イスラーム地域研究機構次席研究員)

報告題目:未刊行史料の刊行-Arşiv Belgelerine Göre Osmanlı Eğitiminde Modernleşme (İstanbul,2014)の書評を中心に-

2016年11月25日(金)、早稲田大学において、本機構トルコ・中央アジア班の一回目の研究会が開催され、オスマン史を専門とする長谷部圭彦氏が、2014年にトルコ共和国首相府オスマン文書館から出版された『文書史料に基づくオスマン朝の教育近代化(Arşiv Belgelerine Göre Osmanlı Eğitiminde Modernleşme)』の書評を行った。

同氏は、未刊行史料の刊行に伴ういくつかの問題に触れた後、同書の構成と内容を紹介した。そして、85件の案件に関する88点の収録史料を、形態(文書か帳簿か)、内容(どのような案件か)、時代(どの時代に作成されたか)、分類(文書館のどの分類に属する文書か)の四点から検討し、以下の結論を得た。すなわち、文書81点、帳簿7点(部分)を収録する同書は、非軍事系官立学校に関する案件が半分(44件)を占め、それ以外は僅かであること、オスマン史の一般的な時代区分(タンズィマート期、アブデュルハミト2世期など)に従うならば、時代ごとのバランスが考慮されていること、勅旨(irâde-i seniyye)分類が半分(43点)を占めるのは、当時の行政の進め方から見て妥当であること、などである。

以上から長谷部氏は、収録されていない史料や分類があること、たとえばアブデュルハミト2世期の重要な史料群をなすユルドゥズ(Yıldız)分類が一点も収められていないことなどを指摘するのは容易いが、史料の選択はある程度恣意的にならざるを得ず、ページ数などの制約があるなか、同書は史料集として一定の価値を有すると結論づけた。報告後は、転写の妥当性、同書の付属CDの有用性、ユルドゥズ分類以外で収録されなかった分類などについて、活発な質疑応答がなされた。

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