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「旅行記史料が結ぶ近世アジアとムスリムの世界像」2014年度第2回研究会

早稲田大学拠点では、2月8日(日)早稲田大学において共通研究課題「旅行記史料が結ぶ近世アジアとムスリムの世界像」2014年度第2回研究会を開催しましたので、報告を掲載いたします。

本研究会は、共同研究課題「旅行記史料が結ぶ近世アジアとムスリムの世界像」の最終研究会であり、研究報告と問題提起、総括・総合討論が行なわれた。

研究報告は、川本正知氏(奈良学園大学)による『ムジャッディディーヤ以前のナクシュバンディー教団のオスマン朝領域への伝搬:アブド・アッラー・ニダーイーの旅を手掛かりにして』と題した報告であった。その中では、イスタンブルのエユップ地区に所在したカシュガル・テッケシのシャイフであるアブド・アッラー・ニダーイーの著作が取り上げられた。同著作の分析により、彼の道統に関して先行研究の重要な修正が為されると共に、アブド・アッラー・ニダーイーがイスタンブルに至る旅の経緯やその後のカシュガル・テッケシ、同書の道統に記述されたスーフィーがインドのデカン地方に移住したことについて論じられた。本報告によってナクシュバンディー教団のムジャッディディーヤ系統以外のシャイフたちが、中央アジアからインドやオスマン朝領域にかけて活動していたことが確認された。主に、ニダーイーの出身地に関する質問やカランダルたちとニダーイーの関連について質問がだされ、フロアの専門家らを交えた議論がなされた。

問題提起では、島田竜登氏(東京大学)が『アジア史における「近世」』という題で報告を行なった。その中では内藤湖南や宮崎市定ら京都学派と、前田直典や西嶋定生ら東京学派(東京歴研派)の中国史研究者による近世の定義を分析した。そして岸本美緒による「近世」論を取り上げ、本研究課題の題目にも含まれている「近世」という用語の概念やその使用の可否について、フロアを含め活発な議論がなされた。その議論においては、「近世」という用語を用いる以上その概念やその語を用いる意図がはっきりしなければならないとする意見がある一方、本共同研究課題で取り上げられた多様な地域、事象を一括に議論する「場」として近世を措定する必要があるとする意見が出された。

総括・総合討論では、本共同研究課題の代表である守川知子氏(北海道大学)が本研究課題の目的、実施された各研究会について簡潔に説明した。その後、本共同研究課題の基本史料である『スレイマーンの船(Safīna-yi Sulaymānī)』ついてその構成、史料の持つ意義を、守川氏、島田氏の論文を紹介しつつ概説し、原点に立ち戻って本共同研究課題を回顧した。

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