- 発表者:西山達也教授
- 参加者:12名
- 発表タイトル:〈例外状況〉における言語・生・時間:COVID19下の「人間」をいかにして語るか
本報告は、COVID-19下におけるフランスで実施された「閉じ込め(Confinement)」と呼ばれる措置がいかなるものであったのかを再構成し、その哲学的な意義を考察した。フランスでは2020年に、すでに存在していた「緊急事態」体制に加えて「保健衛生に関する緊急事態」が法整備されたが、これにより、2015年の同時多発襲撃事件以来長期化・慢性化していた緊急事態体制が再び強化されることになる。しかしながら、緊急事態が永続化することにより、例外的に整備された法制度や体制が常態へと組み込まれ、これが一方で権威主義的な新自由主義の政治と手を携え、他方で政治危機が誘発されることで、かえって緊急事態を緊急事態として名指すことが困難となる。本発表は、この事態を名指すための枠組みを巡る哲学の言説と法学の言説のあいだの齟齬にも着目しつつ、いわゆる「例外状況」下で、この状況そのものをいかにして言語化するか、いかにして「人間の生」を語り続けることができるのかを思考の課題として提示した。
開催概要
- イベント名称:第1回研究会「〈例外状況〉における言語・生・時間:COVID19下の「人間」をいかにして語るか」
- 主催:早稲田大学総合人文科学研究センター「COVID-19を経験した社会の人文学」部門
- 開催日時 2025年5月16日(金曜日) 18時00分 ~ 19時30分
- 開催方法 オンライン(ZOOM)