日程:2021年12月10日(金)17:00〜
タイトル:「戦後ドイツにおける「遺伝病子孫予防法」と人類遺伝学―アメリカとの関係に着目して―」
報告者:紀 愛子(早稲田大学非常勤講師)
ファシリテイター:岡部 耕典
コメンテイター:豊田 真穂
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報告要旨:
ナチ体制下のドイツでは、「遺伝病子孫予防法」と称された断種法のもと、大規模な断種政策が行われた。この断種政策は戦後、ナチ・ドイツの医学犯罪を裁いた「ニュルンベルク医師裁判」でも起訴の対象とならず、長年「ナチ犯罪」とは見なされてこなかった。優生学的理由に基づく断種が犯罪と認識されないなか、戦後ドイツでは、かつての優生学者たちは「人類遺伝学」という学問分野において影響力を保ち続けた。本報告ではまず、「遺伝病子孫予防法」に基づく強制断種の実態と、同法律が戦後どのように扱われたのかという点を概観したうえで、1950~60年代におけるドイツの人類遺伝学に焦点を当て、そこにおいて優生学的な思想がナチ体制期からどのように連続していたのかを検討したい。またその際、特に優生学に関してドイツと関わりの深いアメリカとの関係にも着目しながら論じる。