Research Institute for Letters, Arts and Sciences早稲田大学 総合人文科学研究センター

その他

行動・社会・文化に関する多角的アプローチ

近年,実験心理学の研究分野では,隣接領域の知見を活かした総合的研究の推進が重要視されている。すなわち行動データばかりでなく,眼球運動,脳画像,脳波などのデータも含めて総合的に考察を加えることにより,行動データのみでは難しかった様々な知見を得ることができるものと期待されている。例えば,従来の反応時間測定実験により観察される行動データは,行動表出の結果,観察されるものであり,ある行動を表出するための準備段階のメカニズムを十分に理解することはできなかった。しかし,脳波などのデータには,行動の準備段階のメカニズムを反映するデータが含まれている可能性が高く,総合的に考察することにより,準備段階のメカニズムも含めてより広い視野に立って行動表出の背後にある心の働きを解明できる可能性がある。

特に,脳波は,脳の電気的な活動であるため,伝達速度が非常に速く,リアルタイムの脳の活動状態を反映する。また,同一環境下においても,与えられる事象の種類により,異なる脳活動が要求されると,異なる脳波が測定される。このような脳波データは,行動の表出に先立ってどのような処理がなされていたのかという問題も含めて,行動データのみでは解明が難しかった様々な問題の解明に有効なデータを提供してくれる可能性がある。

このような認識を経て,早稲田大学心理学教室の教員および大学院生有志は,本年度,脳波測定を心理学に応用するための研究プロジェクトをスタートさせた。本プロジェクトでは,すでに脳波測定装置の自作を終えており,今後,この装置を用いて脳波測定の技法を習得し,知覚,認知,言語などに関する最新の心理学的トピックスを検討するための予備実験を行う段階に至っている。脳波は,リラクゼーションや心的外傷後ストレス障害(PTSD)などに関する臨床的研究,マーケティングやコミュニケーションなどに関する社会心理学的研究などにも広く応用可能な指標である。このため,本装置を用いた脳波研究は,心理学教室に所属する教員や学生の教育と研究水準の向上をもたらし,新しい心理学研究の地平を開く潜在力を有している。しかしながら,本研究プロジェクトは,現在のところ有志による私的な運営に留まっているため,活動上の制約も多い。今後の活動の持続的発展のためには,研究機器の維持・管理のためのスペースならびに安定的な研究資金の確保,あるいは他の研究機関との協力体制の確立や客員研究員の招聘など,さまざまな課題をクリアしていく必要がある。本研究プロジェクトが,総合人文科学研究センターの研究部門に位置づけられれば,これらの課題に取り組む堅固な基盤を得ることになると思われる。

メンバー紹介

部門代表者

田中 雅史

研究所員

  • 小塩 真司
  • 片平 建史
  • 神前 裕
  • 越川 房子
  • 清水 由紀
  • 竹村 和久
  • 田中 雅史
  • 豊田 秀樹
  • 福川 康之
  • 藤野 京子
  • 日野 泰志
  • 宮田 裕光
  • 湯山 祥
  • 楊 帆
  • 山田 千晴

招聘研究員

  • 阿部 哲理
  • 川上 愛
  • 三枝 高大
  • 薛 俊毅
  • 瀧川 諒子
  • 田中 乙菜
  • 寺尾 勘太
  • 萩原 千晶
  • 馬 景昊
  • 吉田 暁
  • 吉野 伸哉

研究報告

2023年度の活動

2022年度の活動

2021年度の活動

2019年度の活動

2018年度の活動

2016年度の活動

  • 「行動・社会・文化に関する多角アプローチ」部門主催
    2016年度第2回勉強会(2016.12.22)
  • 「行動・社会・文化に関する多角アプローチ」部門共催
    主催:早稲田大学心理学会
    2016年度 第2回教養講座「発達障害」のいま:臨床の現場から-「心の理論」から「社会脳」へ―」(2016.11.26)
  • 「行動・社会・文化に関する多角アプローチ」部門主催
    2016年度第1回勉強会(2016.7.12)
  • 「行動・社会・文化に関する多角アプローチ」部門共催
    主催:早稲田大学心理学会
    2016年度公開講演会「生体リズムに基づいた健康法」(2016.6.18)
  • 「行動・社会・文化に関する多角アプローチ」部門共催
    主催:早稲田大学心理学会
    第20回 公開教養講座「センスを磨くのに努力はいらない―ココロとカラダの悩みを解決するー」(2016.5.28)

2014年度の活動

2013年度の活動

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