Research Institute for Letters, Arts and Sciences早稲田大学 総合人文科学研究センター

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【開催報告】デジタル人文学セミナー第2回 「8K文化財コンテンツ配信授業―法隆寺救世観音と百済観音、日米同時配信の試み―」

当センターの「デジタル人文学セミナー」シリーズの第2回として、早稲田大学・学習院大学・東京大学・東北大学・大阪大学・ハーバード大学をオンラインでつなぎ、NHK渋谷放送局から各大学に配信される法隆寺救世観音の8Kコンテンツ(高精細画像データを利用した3DCG生成技術=フォトグラメトリによる合成)を用いた公開セミナーを実施した。

はじめに、学習院大学・皿井舞教授より、東京国立博物館とNHKとの共同事業として展覧会会場での公開や放送利用を目的として8K文化財コンテンツ制作がなされていること、今後はこれを研究や教育目的でも利用展開するために、その試行として今回のセミナーを実施することなどが説明された。

その後、各会場で3DCGを同期させ、皿井教授及び、大阪大学・藤岡穣教授、東北大学・長岡龍作教授より、彫刻史の観点からの造形・技法・図像解釈、東アジアにおける観音像の伝播、その信仰などについての解説がなされた。

早稲田会場:救世観音の手は宝珠まで含めて一木で彫り出された超絶技巧!

その上で、東京大学・増記隆介准教授、ハーバード大学・ユキオ リピット教授、早稲田大学・山本聡美教授より、木彫仏と金銅仏の造形上の共通性をどう考えるべきか、仏の素材や色と霊性の問題、「玉虫厨子」との信仰上の共通点などについての質問やコメントが加えられた。さらに、参加学生からの質疑応答にも各大学をまたいでインタラクティブに答えることができ、ダイナミックな授業空間を実現することができた。

早稲田会場:救世観音宝冠部が玉虫の翅で荘厳されていたことを推定した復元画像

 

ハーバード会場:ユキオ リピット教授、日本美術・中国美術・アジア史等を学ぶ学生たちが集まった

日本彫刻史上屈指の優品を8Kクオリティで観察し、見たいところをフォーカスしながら自由にディスカッションできる経験は、新しい人文学の方法と可能性を実感できる貴重な機会であった。6校合計で151名の参加者を得、国内外の大学をリアルタイムに接続し、美術史だけでなく文学や歴史学など多岐にわたる専門領域からの発言もあり、仏像の細部を観察しながら行う対話は大変刺激的な経験であった。

早稲田会場:コントローラーを使って8K画像を観察する大学院生たち

 

早稲田会場:ゲーム用コントローラーを応用しているので、使い方は簡単

 

ハーバード会場:救世観音宝冠の細部を確認しながらの講義

 

開催詳細

  • 日時:2024年10月8日(火)9:00-11:00
  • 開催方式:対面(戸山キャンパス33号館第1会議室)
  • 解説:皿井舞(学習院大学教授)、長岡龍作(東北大学教授)、藤岡穣(大阪大学教授)
  • コメント:山本聡美(早稲田大学教授)、増記隆介(東京大学准教授)、ユキオ リピット(ハーバード大学教授)

 

  • 主催:早稲田大学総合人文科学研究センター(イメージ文化史部門)
  • 共催:角田柳作記念国際日本学研究所/早稲田大学美術史学会

 

メディア掲載情報

イギリスの放送業界紙Advanced Televisionに記事掲載されました。

記事はこちら→NHK links universities with 8K cultural project | Advanced Television

Dates
  • 1008

    TUE
    2024

Place

戸山キャンパス33号館第1会議室

Tags
Posted

Thu, 17 Oct 2024

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