【今週の相談】
授業での発表前は徹夜になってしまうことがあります。
翌日以降どうすれば生活のリズムを取り戻せるのでしょうか?
休みの日の「寝だめ」は効果があるのでしょうか?
(大学院法学研究科 博士後期課程 1年 女性)
保健センター保健師 仁部 ゆかり(にぶ・ゆかり)
NHK放送文化研究所の「2015年 国民生活時間調査」によると、短縮傾向にあった日本人の睡眠時間は持ち直していますが、世界各国と比較すると短く、大学生に関する調査においても同様です。また、学部生・大学院生では、「睡眠不足」と「睡眠相の後退(夜更かし朝寝坊型)」が特徴的です。これは時間を自由に使える一方、課題作成・研究・就職活動準備やアルバイトなどに伴って就寝時刻が遅くなり徹夜もせざるを得ないなど、不規則な生活リズムに陥りやすいためと考えられます。
徹夜による睡眠不足は、翌日の作業能力の低下や精神症状に影響することが分かっています。ですから翌日に大事な試験・発表・試合・面接などが控えている場合は、準備を前日までに済ませ、夜は睡眠をしっかり取って当日に臨むことをお勧めします。
徹夜明けは、「その日の夜にまとまった睡眠を取る」ことを目指しましょう。睡眠は疲れたから眠る「恒常性維持機構(ホメオスタシス)」と、夜になると眠くなる「体内時計機構(生体リズム)」によりコントロールされています。体内時計の機能には「光」と「メラトニン」が関係しています。徹夜時の明るい照明環境は眠気を誘発するメラトニンの分泌を抑制して、眠りへの準備が遅れるために体内時計が遅れがちになります。一方、朝の光は本来25時間周期である体内時計を24時間周期の生活リズムにリセットする働きがあります。
従って、徹夜明けで眠くて疲れているのに眠れない場合は、無理に眠る必要はありません。昼間は活動的に過ごし、必要であれば午後2~4時の眠気のリズムに合わせて数時間の仮眠を取ると良いでしょう。そして、夜はしっかりと眠り、翌日は朝の光を浴び、朝食もしっかり食べて体温を高めることで、朝型の生活リズムを取り戻すことができます。
残念ながら「寝だめ」はできません。むしろ長く寝床にいることで明るい光に当たる機会を逃してしまうことになり、翌日の生活リズムに悪影響が及びます。休日の睡眠時間は平日より2時間長い程度にとどめましょう。
スリープヘルスを整えましょう
□毎日同じ時刻に起きる
□同じ時刻に明るい光を浴びる
□規則的な食事をとる
□昼間に活動する
□夜は暗い所で休む
□睡眠に関する相談は保健センターへ