Waseda Weekly早稲田ウィークリー

学生注目!

【2016年度入学記念号】弁護士に聞く! 新学期のトラブル対処法

新生活がスタートし、期待と不安も多いこの時期、学生生活ではどんなことに気を付けるべきでしょうか?
地方出身の先輩学生2人が、大学に付設された弁護士法人「早稲田大学リーガル・クリニック」を訪問。具体的な事例も交え、新学期に起こりやすいトラブルの対処法について伺いました。

集合写真

(左から)
文化構想学部 2年 須長 真由(すなが・まゆ)
小島 秀一(おじま・しゅういち) 弁護士
法学学術院 教授 近江 幸治(おうみ・こうじ)(早稲田リーガル・クリニック所長)
先進理工学部 3年 矢野 俊(やの・すぐる)

 

―― 新入生歓迎期はキャンパスがかなり多くの人でにぎわいます。上級生であってもサークルの勧誘は受けることがありますし、サークルを探す際に気を付けるべきことは何でしょうか?

一番注意してほしいことは、個人情報の流出です。サークル勧誘以外でも、アンケートを装って個人情報を取る場合があります。住所、氏名、生年月日、さらに今年から始まったマイナンバーなどの個人情報は、いったん流してしまうと回収することはできません。

大学側も不審な団体には声を掛けるなど対応はしていますが、学生の皆さんも、その団体の活動内容をよく確認し、信用できることが分かってから初めて個人情報を出すなど、自衛を心掛けましょう。中にはサークルを装ったカルト集団、政治セクトの勧誘など、言葉巧みに行うケースがあります。まずはインターネットなどで検索してみたり、周りの人に相談をしてください。

―― サークルの歓迎会などでは飲酒の機会が多々あります。私も以前、飲酒を強く勧められたことがあり、困ったことがあります。

新入生には未成年者が多く、未成年者の飲酒は法律違反であることは皆さんご存じの通りです。そして、成人であってもお酒を強要してはいけない、というのは当然のマナー。過去には死亡事故につながり、賠償金をめぐって裁判になった事例も多数あります。悪質な場合は、強要した側は過失致死などに問われる可能性があり、あおった人も、教唆犯(きょうさはん。他人をそそのかして犯罪を実行させる罪)になる場合があります。また、大学キャンパス内は原則、飲酒禁止です。

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―― TwitterやFacebookなどのSNSを利用していますが、炎上の問題や犯罪につながるといったニュースもよく見ます。どんなことに気を付けるべきでしょうか?

最近、勝手に撮られた写真をSNSにアップされ、削除をお願いしても対応してくれない、といったトラブルが増えています。権利侵害が明らかな場合は、「プロバイダ責任制限法」にのっとって、プロバイダに対して削除請求をすることが可能です。ただ、個人のPCなどにデータが保存されてしまうと、それを消すことは極めて困難です。若気の至り、では済まされず、そもそも不用意な写真は撮られないようにする、といった注意も必要です。公開した個人情報が悪用されることもあります。

また、授業内容を撮影し、それをWeb上にアップする困った学生がいますが、内容によっては「著作権侵害」に当たります。ネットは匿名といわれますが、権利侵害が明らかな場合、発信者情報の開示請求によって、誰がやったのかを突き止めることも可能となります。ネット上の誹謗(ひぼう)中傷なども含め、安易な書き込みの危険性を理解しましょう。名誉毀損(きそん)で損害賠償請求を起こされることもあります。

―― 学業とアルバイトの両立で苦労している学生の話を耳にします。アルバイトに関して、学生から相談を受けることもありますか?

最近増えているのが「ブラックバイト」の問題です。アルバイトとは思えない過酷なノルマを無理に課せられた、授業に支障を来すほど忙しいので辞めたいけど「今辞めたらアルバイト代は払わないよ」と言われた…これらは完全に法律違反です。労働基準監督署に通報すれば動いてくれます。他にも、アルバイトを休んだ、お皿などの物を壊したという理由で「その損害を請求する」と言ってくる業者があります。通常の範囲を逸脱したものでない限り、アルバイトの立場で損害賠償をする必要はありません。

また、知らず知らずに「犯罪の幇助」(ほうじょ。手助け)をしている場合があります。例えば、あちこちに無断でビラを貼る、といったことでも犯罪です。「指示をされたからやっただけです」と言っても、やっている行為には認識があるはず。その場合は罪に問われる、ということを覚えておきましょう。
必ず雇用される前に結ばれる契約書の内容は確認がしてサインしましょう。学生の身分を尊重し、きちんと労働基準法を守って雇用をしている優良な企業もありますから、労働内容や給与についてはきちんと確認した上でアルバイトを選びたいですね。

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―― 他にも、普段から法律上気を付けた方がいいことがあれば、ぜひ教えてください。
<キャッチセールス>

路上で呼び止め、雑居ビルなどに同行させて勧誘を行う「キャッチセールス」は都市部で多くされており、上京したばかりの方はキャッチセールスそのものを知らないかもしれません。知らない人から何か勧められて買う、という行為は危険なのでやめましょう。

仮に買ってしまった、はんこを押してしまったという場合でも、8日以内であれば「クーリングオフ」(無条件での契約解除)が可能です。英会話やエステなどであってもクーリングオフは可能です。購入日、または契約日が分かる領収書、契約書は必ず保管しておきましょう。
もし8日以上過ぎてしまっても、例えば英会話などで残り何十回レッスンが残っている、といった場合、残りの回数分を返金してもらうことが可能です。「契約上、途中解約・返金できません」と言ってくることもありますが、法律上、外国語会話教室や学習塾、エステなどは、中途解約が可能です。それでも返さない、という場合は、弁護士などに相談してください。

<架空請求>

学生の方から「支払督促が来たけどどうすればいいですか?」という相談があります。「支払督促」と書いてあっても、架空の業者が出している場合があります。まず、宛名が誰かを確認しましょう。支払督促を出せるのは裁判所だけ。裁判所以外からの心当たりのない請求は無視してしまって構いません。

もし心当たりがある場合でも、まずはインターネットでその業者を調べてみるのがいいでしょう。各都道府県にある消費者生活センターも架空業者についての情報を持っています。そこに問い合わせるのもひとつの手段ですね。

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<交通事故>

事故に遭った際、軽い接触であっても「このくらいならいいや」「急いでいるから連絡先だけ聞いて後で…」とは思わず、必ずその場で警察を呼ぶようにしてください。事故を立証しておかないと、後々トラブルの原因にもなりかねませんし、保険会社にも請求できません。

けがや後遺症が後から出てくる場合もあります。また、ぶつかったことによる興奮状態で、痛みを感じないこともあります。「あのとき対応していれば…」という相談は、意外と多いです。

<引っ越しトラブル>

すでに引っ越しを済ませた、という方も多いと思いますが、今この時期にしておいてほしいのが、入居段階の壁などの状態を撮影しておくことです。数年後に引っ越しをする際、「原状回復」をめぐってトラブルになったり、戻ってくるはずの敷金を損している、といったケースがよくあるからです。

そもそも、通常の生活で生じた経年劣化については、賃貸人は賃借人に原状回復の費用を請求できません。壁紙のクリーニング代金を要求してくる業者もありますが、経年劣化の汚れに関しては支払う必要はないのです。契約書上の「特約」として書かれてあっても、国土交通省のガイドラインなどにより、そういった特約は無効となります。

<危険ドラッグ>

学生生活、そして人生を大きく棒に振り、狂わせてしまうことの一つに、大麻や覚せい剤などの違法薬物や危険ドラッグの使用があります。大学生の間でも、自分には縁のないことと思われるかもしれませんが、海外に行ったり、交友関係が広がると、そのような誘いを受けてしまうことがあるかもしれません。

薬物は心身に大きな危害をもたらします。薬物依存は病気であり、再犯率は高くなります。絶対に手を出してはいけません。

 

【弁護士法人 「早稲田大学リーガル・クリニック」とは】

法律版「大学付属病院」を目指してつくられた法律事務所。良質の法サービス実現を心がけながら、学生が学ぶ場を提供しようとする新しい仕組みで、所属弁護士の多くは早稲田大学大学院法務研究科の学生への教育に関与している。なお、早稲田大学の関係者・学生・その家族の法律相談は無料。
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1丁目1番7号 早稲田大学28号館4階  ☎03-5272-8156

マップ

学内にあるさまざまな相談場所。悩んだり困ったりしたら、すぐに相談を!

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1.トラブルに巻き込まれたり、危険を感じたら

学生生活110番  戸山キャンパス 学生会館1階 学生部学生生活課
平日9:00~17:00 ☎ 03-5286-1835
夜間・日曜・祝日 ☎ 03-3203-4300(早稲田キャンパス通用門受付)

2.こころの悩みを抱えてしまったら

こころの診療室(精神科)*保健センター内施設 早稲田キャンパス 25-2号館5階
平日9:00~17:00 ☎ 03-5286-8743

3.健康(病気)に関する相談は

保健管理室  *保健センター内施設 早稲田キャンパス 25号館1階
平日9:00~12:30、13:30~17:00 ☎ 03-5286-9800

4.体調不良のときは

診療室  *保健センター内施設 早稲田キャンパス 25-2号館3階
平日10:00~12:40、14:30~17:10 / 土曜10:00~12:10 ☎ 03-5286-3984

5.対人関係、学生生活について、どこに相談しようか迷ったら

学生相談室  *保健センター内施設 早稲田キャンパス 25-2号館6階
平日9:00~12:00、13:00~17:00 / 土曜9:00~13:00 ☎ 03-3203-4449

6.障がいがあり、支援を受けたいときは

障がい学生支援室
【身体障がい学生支援部門】早稲田キャンパス 3号館1階110号室
平日9:00~17:00 ☎ 03-5286-3747 mail: [email protected]
【発達障がい学生支援部門】早稲田キャンパス 大隈ガーデンハウス1階奥
平日9:00~17:00 ☎ 03-3208-0587 mail: [email protected]

7.ハラスメントかな?と思ったら

ハラスメント防止室相談室 早稲田キャンパス28号館1階
平日9:30~17:00 ☎ 03-5286-9824    mail: [email protected]

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日はほぼ毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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