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待ち望む六大学野球開幕 主将・早川ら早大ナインが活動停止中に考えたこと

神宮伝統の戦いにエールを──野球・春季リーグ戦を応援しよう!

2019年秋の早慶戦3回戦で、サヨナラ勝ちを喜ぶ選手と応援席(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)

新型コロナウイルス感染拡大により、延期となった東京六大学野球春季リーグ戦。緊急事態宣言を受けて早稲田大学野球部も活動停止となる中、5月13日に東京六大学野球連盟より、リーグ戦を再延期し、8月に1試合総当たりのリーグ戦開催を模索することが発表されました。そこで、『早稲田ウィークリー』では今季、小宮山監督からチームのまとめ役を任されたエース・早川隆久主将と、吉澤一翔・瀧澤虎太朗両副将に、オンラインでの取材を実施。活動停止中の過ごし方やリーグ戦への意気込みを聞きました。5年ぶりの頂点を目指す野球部へ、熱いエールを送りましょう!

早川隆久 プロ注目の151キロ左腕、主将としていいイメージを持ってやり抜く

スポーツ科学部 4年 早川 隆久(はやかわ・たかひさ) 主将・投手 木更津総合高等学校出身

1勝1敗で迎えた2019年秋の早慶戦3回戦で、慶應義塾大学の郡司裕也主将(当時)を空振り三振に抑えた早川選手(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)

――春季リーグ戦が再延期となりました。率直な今の気持ちを聞かせてください。

当初の予定より開幕が4カ月程度遅れるため、「調整が難しくなる」というのが本音です。チーム全体で練習できたのは緊急事態宣言が出る前日の4月7日まで。「密」を避けるため、今後もチーム練習は必要最低限しかできないかもしれません。だからこそ、今は個人でいかにレベルアップできるかが試されていると思います。

――個々のレベルアップとして、早川選手が活動停止期間に取り組んでいることは?

一番は体力アップで、そのためにランニングの量を増やしています。過去3年間、自分は完投した試合が一度もありません。優勝のためには、自分が1イニングでも長くマウンドを守れるようになりたい。また、8月開催となれば炎天下での試合となるため、投げ切るためにはこれまで以上の体力が必要だと考えています。

――今季新たに取り入れたい球種はありますか?

完投・完封を目指すには、球数を少なくする必要もあります。そのために、今季は小さく動くツーシーム習得に取り組んでいて、精度はだいぶ上がってきたと思います。また、ピンチの場面で三振を奪えるよう、フォークボールにも取り組んでいます。

2019年秋の早慶戦3回戦。6回から4番手としてマウンドに上がり、力投した早川選手。慶應打線を抑え、勝利に貢献した(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)

――活動停止期間だからこそ取り組めたことはありますか?

普段以上に本を読んでいます。特に印象的だったのは『前祝いの法則』(ひすいこたろう・大嶋啓介著/フォレスト出版)という本です。日本には「前祝い」の伝統があり、先にポジティブなイメージを持つことでいい結果を導き出す、という考え方が書かれていました。自分たちは入学以来、まだ一度も優勝ができていません。だからこそ、この「前祝いの法則」を取り入れたらどうなるか。例えば、優勝してみんなと喜びを分かち合う瞬間や優勝パレードなど、いいイメージを持つことで、普段の練習へのモチベーションも上がってくればいいなと考えました。

――優勝に必要なチームの課題は何でしょうか?

選手個々の能力は高いと思うのですが、その能力を試合で出し切れていないと感じています。自分もそうですが、試合になるとどうしても緊張感や緊迫感に負けてしまうことが何度かありました。ここをクリアするために、普段の練習から、試合を想定した緊張感を持って取り組むよう心掛けていきたいです。昨季は春も秋も3位でしたが、その差はほんの少しでした。最後の一歩を踏ん張れるチームになっていきたいです。

2019年秋の早慶戦。最終戦で勝利し、加藤雅樹前主将(奥)と抱き合う早川選手(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)

――今年のスローガン「GRIT」にも通じる部分ですね。

「GRIT」には「粘り強く」「泥臭く」「やり抜く」という意味があります。中途半端に終わるのではなく、一つのことを泥臭くてもやり抜くことで見えてくるものがあると信じています。勝つことにこだわっていきたいです。

――主将として心掛けていることは?

あえて「自分がチームをまとめよう」とは考えていません。一人一人が自分のことやメンバーのことを考えて、自身で動けるような組織が理想です。今後、社会に出た先でも、指示待ち人間ではダメだと思うんです。一人一人が考えて動けるように、そのために4年生が率先して動いていこうと思っています。

――昨秋の早慶戦では自己最速の151キロをマークして話題になりました。最終学年として臨む早慶戦への思いを聞かせてください。

オンライン取材に応じる早川選手(写真提供:早稲田大学野球部)

早慶戦はリーグ戦最後のカードであり、リーグ戦以上に「大学対抗戦」として、いつも以上の力を出せる感覚があります。昨秋の覇者・慶應には、その経験を持つ選手が残っています。一方、早稲田には新戦力が多く、チャレンジャーとしての気持ちも必要です。活動停止期間で培った力を神宮の舞台でいかに披露できるか、自分たちも楽しみにしています。そして、リーグ戦は優勝してみせます!

 

吉澤一翔 活動停止期間の成果が出る8月 今年は必ず打つ!

スポーツ科学部 4年 吉澤 一翔(よしざわ・かずと) 副将・内野手 大阪桐蔭高等学校出身

2019年春の法政大学戦。9回にソロ本塁打を放った吉澤選手(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)

――活動停止期間に、意識的に取り組んだことはありますか?

コーチの徳武定祐さん(野球部OB・商学部卒)と定期的にLINEでコミュニケーションを取り、バッティングのことやコンディションについて確認してきました。また、基本を見つめ直し、特に守備では動作の繰り返しなど、意識を高く持って自主練習をしてきました。

――昨春は法大戦での劇的な代打本塁打が印象的でした。今季はどんなバッティングを目指しますか?

今年はとにかく「ランナーを返す」ことを重視したいと思っています。活動停止期間中に体幹を鍛え直すことができ、バッティングでもブレがなくなってきたという実感があります。今やっていることの成果が出るのは2カ月後。ちょうど早慶戦が延期開催される8月頃にいい状態になっているはずです。今年は必ず打ちます!

2019年春の法大戦でソロ本塁打を決めた後、小宮山監督とグータッチをする吉澤選手(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)

――今季は副将の役目もあります。心掛けていることは?

主将の早川が投手なので、背負い過ぎず、ピッチングに集中できるように、自分と瀧澤の野手組で引っ張っていこうと話しています。自分は高校のときに主将を経験しましたが、日本一になれませんでした。今はチームの士気を上げるため、何においても自分が率先して取り組む姿を見せること、また、いつも以上に視野を広く持って、気付いたことを部員にしっかり伝えるように意識しています。

――「日本一」を目標に掲げた今年、夏の日本選手権は中止になりました。今後、どのようなモチベーションでリーグ戦に臨みますか?

取材中の吉澤選手(写真提供:早稲田大学野球部)

日本一に関しては、11月開催の「明治神宮大会」しかチャンスが残されておらず、この大会に出るには、秋のリーグ戦での優勝が必須です。その秋の戦いに勢いを付けるためにも、8月開催の1回戦総当たり制の試合に勝利する意識を持って臨み、1位になれるよう準備したいです。また、「真夏の早慶戦」になれば、「オール早慶戦」以外で初めてのことかもしれません。注目を集める一戦になると思いますので、例年以上のモチベーションで臨みたいと思います。

瀧澤虎太朗 打撃に加え守備強化で上のレベルの野球を目指す

スポーツ科学部  4年 瀧澤 虎太朗(たきざわ・こたろう) 副将・外野手 山梨学院高等学校出身

2019年春の早慶戦でソロ本塁打を放ち、ホームへ走る瀧澤選手(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)

――この冬に重点的に取り組んできたことは何ですか?

毎年冬は打撃練習に時間を割くのですが、今年は守備に力を入れました。昨年を振り返ってみて、自分の課題は守備面だと感じたからです。より上のレベルの野球を目指すためにも守備の強化が不可欠と考え、「打撃2、守備8」の割合で取り組みました。基礎の反復はもちろん、送球の練習などを繰り返しやってきたことで、上達できている実感はあります。

――守備の上達も頼もしいですが、瀧澤選手の魅力と言えば打撃です。今年3月に開催された春季オープン戦では、巨人2軍戦で本塁打を放っていました。

打撃練習を減らしたとはいえ、その分より計画性を持って取り組んできました。打順は昨季までの1番から今季は3番になりますが、どんな打順でもやるべきことはあまり変わりませ「3番だから」「ランナーがいるから」など気負わずに打席に立ちたいと思います。

2019年春の早慶戦でソロ本塁打を放った瀧澤選手(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)

――昨春の早慶戦ではホームスチールを決め、本塁打も打つなど大活躍でした。やはり、早慶戦は普段以上の力が出るのでしょうか?

早慶戦は自分にとって特別な舞台で、試合前夜は眠れなくなるほど緊張します。実はホームスチールは、その半年前に相手投手の癖を見つけ、そのときから「次の早慶戦でやってやろう」と決めていたことでした。チャンスまでの時間が長かった分、いざやろうという場面での緊張感がものすごくて…心臓もバクバクで、成功したときは頭が真っ白でしたね。

――8月の試合は無観客開催の可能性もあります。

取材中の瀧澤選手(写真提供:早稲田大学野球部)

観客がいる、いないにかかわらず、自分のやるべきことをやるだけです。観客がいないと選手の声が通ると思うので、普段の試合以上にしっかりと声掛けをしていきたいと思います。

それでも、声援がないかもしれないと思うとやはり寂しいですね。球場にたくさん人がいると、自分のやる気もより一層出るんです。無観客試合になってもBIG6.TVの中継はあると思うので、画面の向こうから注目していただきたいですし、元気ハツラツとしたプレーが画面越しでも伝わるように頑張りたいです。

 

 

取材・文:オグマナオト(2002年、第二文学部卒業) Twitter:@oguman1977

■試合概要

【試合日程】
春季リーグ戦は8月に1試合総当たりのリーグ戦開催を模索
詳細は一般社団法人 東京六大学野球連盟のWebサイトをご確認ください。

【会場】明治神宮野球場

~学生部よりお願い~
6月1日現在、東京六大学野球連盟より開催方法に関する詳細は発表されていません。
もし観戦が可能となり応援に行く際には、新型コロナウイルス感染症対策を十分に行ってください。
また、早大生としてのマナーと責任ある行動を心掛けてください。

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