Waseda Weekly早稲田ウィークリー

大学フル活用

どらま館俳優ワークショップ〔講師:山本健介氏(ジエン社)〕参加者募集

学生を対象にしたワークショップを開催します。最終日には小さなショーイング(発表会)を実施予定。
俳優はもちろん、劇作家・演出家、音響・照明などのテクニカルスタッフ、ドラマトゥルク・批評家など俳優以外の演劇に関わる方、これから演劇に関わりたいと思っている方のご応募も可能です。締め切りは5月31日(水)。ご応募、お待ちしております。

プログラム:
・演劇をする上で必要な考え方や思考法をワークショップを通して学びます。
・参加者と講師が意見を出し合いながら小さなショーイングを創作し、発表します。

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講師:山本健介
脚本家・演出家。1983年生まれ埼玉県出身。早稲田大学第二文学部卒業。「作者本介」の名義で自身のみによる表現ユニット「自作自演団ハッキネン」を立ち上げ、テキストを用いたパフォーマンスを展開。2007年に12月にジエン社を旗揚げ。以降ジエン社の全作品の脚本と演出を務める。
劇団外の活動として、映像のシナリオも手掛け、舞台、映画、TVドラマに脚本を提供する他、ゲームシナリオ、イベントテキストや構成、キャラクター設定、Vシネの脚本などを手掛ける。2016年、「30光年先のガールズエンド」が岸田國士戯曲賞最終選考にノミネート。(所属事務所:ECHOES)

日時:
6月8日(木)19:00~22:00
6月9日(金)19:00~22:00
6月10日(土)10:00~22:00
6月11日(日)10:00~22:00 ※19:00よりショーイング(発表会)

会場:早稲田小劇場どらま館

費用:無料

予約:MyWaseda「申請フォーム」→「【講師:山本健介氏(ジエン社)】どらま館 俳優ワークショップ 申し込みフォーム】」から申し込み。5月31日(水)締め切り。
※どらま館俳優ワークショップ〔講師:山本健介氏(ジエン社)〕の応募フォームを現在取り下げているため、応募をご希望の方は、①お名前(フリガナ)②性別③年次④所属)(サークルなど)⑤メールアドレス⑥面談可能日時〔@早稲田大学、6月1日(木)~3日(土)の間〕⑦演劇でやりたいこと、以上7点を記載の上、[email protected]までご連絡下さい。

主催:早稲田小劇場どらま館 運営協議会

お問い合わせ:[email protected] (担当:杉浦)

※ご予約時にご提供いただいた個人情報につきましては、本公演及び早稲田小劇場どらま館における活動のご案内にのみ利用し、その他の目的での利用や第三者への情報提供は一切いたしません。

講師の山本健介氏(ジエン社)からのメッセージ

俳優ワークショップとはどういうものかというと、簡単に言えば演劇をやりたいなあ、と思っている人のための「稽古会」のこと。今回は最終日に何らかの発表を込になるという。つまり、「公演三日前なのに何にも決まっていない」という地獄な状態を自動的に味わえる、ということになっています。

その、目的は何か。

・ワセダ演劇の質の向上
・ワセダ演劇の外に目を向けるきっかけを作る

この「ワセダ演劇」というのは、なんだろうか。
ワセダ。漢字の「早稲田」ではなく、カタカナだ。単なる「早稲田大学に在籍している学生たちが中心となってやられている演劇」ではなさそうだ。早稲田を「ワセダ」とカタカナにした情念は、なんなのか。

ワセダ演劇。思い当たるフシがある。
僕も2002年に早稲田大学に入学し、四年間学生だった。早稲田の演劇サークルに入りつつ、自分で表現ユニットを立て、大学内のキャンパスで路上ひとり芝居やパフォーマンスをやっていた。当然、警備員さんにはよくつまみ出されたし、学生生活課の偉い人に間接的に怒られたり、「学内で卑猥な言葉を流布するような行為はただちにやめよ」という警告メールを貰ったりなどしていた。
だって、そこは「ワセダ」だったからだ。
ワセダじゃなかったら、優等生体質で高校時代教室の隅でガロばっか読んでた僕は絶対やってなかった。この地にあった、「頭のおかしい人がたくさんいて、好き勝手している」という空気。「ワセダ」が、僕の衝動を押し出した。それで僕は演劇をやることになっていた。俺のせいじゃない。
その結果が、34歳にして、年収108万円生活なんだが。

ワセダのせいで、うっかり演劇をやってしまった。
その、「うっかりやってしまいさ加減」をワセダ演劇と言うのなら、おそらく今、ワセダ演劇は絶滅してしまったのではないか。

僕より年の若い人から演劇ユニットを立てる相談を受けたのだけど「山本さんはどういう見通しでジエン社(僕のやっている劇団)を立ち上げたのですか?」と尋ねられた。だが、うっかりやってしまった身として、なんにも答えられなかった。皆、今劇団を作るとき、この先の将来の見通しを考えてやるのか、と呆然としつつ、それは正しいとも思った。
またここ最近で早稲田大学の学生演劇から出た劇団を見るに、「他の大学に行ってたとしても、この劇団を立ち上げた人達はそこで演劇をやって成果を出していただろう」と思うのだ。ここ最近の早稲田出身の演劇人のあげている成果に、「早稲田大学」や「ワセダ」は、何の寄与もしていない。そういう実感がある。もともとそういうものだったのかもしれないが。
「好き勝手にやっていい」という空気、ただそれだけを糧として、風として、うっかり演劇をやる。それがいままでの「ワセダ演劇」というものだったのかもしれなくて、うっかり書いた「ワセダ」という言葉には、そうした念がこもっているんじゃないだろうかか。
もっと、好き勝手生きてみようよ、と。

今、そうした魔法が消えかかっている。
もともとそんなものはなかったんじゃないかというくらい「ワセダ」という名前一つでかかる魔法は、今はもうない。あるのは、よその大学に比べればやや多めにある演劇サークルたちだ。そこでの「好き勝手」の度合いが、大幅に減っているのではないか。
皆、ルールを守り、未来の事を考え、人に迷惑をかけないよう、自分のできる範囲内で、頑張ってやっている。僕にはそういう風に見えた。それはすごく正しいと思った。特に、ルールを守り、迷惑をかけない……という点が、きっと今、演劇をやりながら早稲田大学を生きのびる重要な要素なのかもしれない。

でも僕は人に迷惑をかけたかった。
迷惑をかけないなんて、いやなのだ。正しいなんて、いやなのだ。
迷惑をかけてでも、やりたい衝動を、殺すような真似はしたくないし、人にさせたくはない。
そういう衝動を持った人は、今もワセダの地下水脈に、ふつふつと流れているんじゃないだろうか。

僕は、魔法や奇跡と言うものに対しては、否定的だ。そんなファンタジーはない。この地にやってきたからと言って、自動的に演劇をやるだなんて、そんなばかげた「ワセダ演劇」なる魔法なんて、なくったってかまわない。ただ、目の前の、「迷惑をかけないようにしないと、生き伸びることができない」という現実に対して、かつてあったらしい「ワセダ演劇」なる方便は、念は、有効ではないかと思ったのだ。

目的の二つ目の「ワセダ演劇の外に目を向けるきっかけを作る」とある。この文言から、ワセダ演劇には「ウチソト」があるものなのかもしれない。「好き勝手」の外側、向こう側。その外側には、何が広がっているのだろう。

今回の演劇ワークショップは、「俳優ワークショップ」と名前がついているが、俳優に限った事ではない。「劇作(創作)」「演出」「舞台スタッフ」「制作」「ドラマトゥルク」「演劇批評」「政治犯」など、演劇に関わる何かをやってみたい人すべてを対象としている。一応、発表公演には出演者として全員参加してもらう予定であるけれど、将来的に俳優をやりたい人だけのワークショップではない。だから、発声練習とかストレッチとか、そういう訓練は残念ながら行わない(とはいえ現時点で何をやるか全く考えていないのですが)。
迷惑をかけてでも、やってみたい衝動の種を、刺激する四日間であれればいいなと思っている。このワークショップを終えて、参加者が「ばかな人」になればいいと思ったし、このワークショップを終えたのち、「あ、こんな感じで演劇をやっていいんだ」と気づいてもらい、「うっかり」やって、大失敗するようになったらいい。その大失敗の受け皿に、早稲田大学や早稲田小劇場どらま館がなったらいいなと思っていますし、僕からもどらま館にはそう働きかけたい。
その、大失敗の道へ向かう、ほんのわずかな背中押しに、4日間で僕ができる事は全部やりたい。そう思っています。

山本健介

Dates
  • 0524

    WED
    2017

    0531

    WED
    2017

Tags
Posted

Wed, 24 May 2017

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日は毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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