野球観戦以外の楽しみ方、ご紹介します
文化構想学部 3年
細川 沙也加(ほそかわ・さやか)
今回私が紹介するのは、大好きな地元・広島県。東京からは新幹線で約4時間、飛行機で約1時間半かかります。早大生の皆さんの中にも、修学旅行などで一度は訪れたことがある人も多いのではないでしょうか。
広島県と言ったら、何をイメージしますか? お好み焼き、もみじまんじゅう、牡蠣(かき)、原爆ドーム、厳島神社などが有名ですが、最近は映画『この世界の片隅に』やNHKの連続テレビ小説『マッサン』など、メディアで取り上げられる機会も多くなってきたように感じます。
その中でも、プロ野球チーム・広島東洋カープ(以下、カープ)は、まさに広島の代名詞と言っても過言ではありません! 今回は、そのカープの本拠地、MAZDA Zoom-Zoomスタジアム 広島(以下、マツダスタジアム)を紹介します。この夏休み、私はスタジアム見学ができる「スタジアムツアー」(有料・要予約)に参加してきました。
長年、広島県民に愛されていた広島市民球場の建て壊しが決まり、2009年に完成したマツダスタジアム。カープの職員さんがアメリカへ研修に行き、本場のメジャーリーグのスタジアムを実際に見て考えられた構造だそうです。
天然芝を敷き、左右非対称の形をしているスタジアムは、「何回来ても楽しめる」をコンセプトに、子どもから大人まで楽しめる構造となっていて、さまざまな種類のシートがあります。なんとその席数は3万席以上! 例えば、「寝ソベリア」シートは、名前の通り、寝ながら観戦をすることができます。応援に疲れたらご飯を食べて、一休みもできます。また、バーベキューをしながら観戦できる「びっくりテラス」や、最大200名が入るパーティーフロア、スポーツバーまであります。子どもが退屈しないようにと、さまざまなアミューズメントもあります。スタジアムツアーでは他にも、ベンチや選手食堂、ブルペン、ロッカールームなど、普段は入ることのできない場所を見学することができ、参加者たちも喜んでいました。
試合はいつも満席で、観戦チケットが発売後すぐに売り切れてしまうなど、今でこそ大人気のカープですが、順風満帆な経営を送ってきたわけではありません。特定の親会社を持たない市民球団であるため、運営が困難になるほど資金繰りに難航し、解散の危機を迎えた時期もありました。そのときに球団を救ったのが、広島市民による「樽(たる)募金」です。カープは、原子爆弾の被害を受けた広島の復興の象徴として市民を支えた一方で、市民にも支えられている球団なのです。広島県民のカープ愛が非常に強いのは、このような背景があるからなのかもしれません。
昨年カープは25年ぶりにリーグ優勝し、今年は37年ぶりのリーグ連覇を果たしました。私が小学生くらいのころは、こんなに強くなるなんて想像もしませんでしたが、今も昔も広島県民から愛されているということには変わりありません。
残念ながら、今年は日本シリーズへの出場とはなりませんでしたが、これからも広島県の象徴として愛され続けるでしょう。来シーズン、真っ赤に染まったスタジアムでの応援を今から心待ちにしています!
◎広島県はこんなところ◎
瀬戸内海に面した中国地方の中心に位置する広島県。県庁所在地の広島市は、中国・四国地方最大の都市で、政令指定都市にも指定されている。厳島神社と原爆ドームがユネスコの世界遺産に登録されていることもあり、海外からの観光客も多い。