自然と歴史豊かなゴレ(Gorée)島を探索する
大学院基幹理工学研究科 修士課程 1年
ジャロ・エルハジ・アマドゥ・ウリィ
北大西洋の青い海に浮かぶアフリカ・セネガル共和国の小さな島、ゴレ島。ここはパステルカラーの色とりどりの家が立ち並び、採れたての新鮮な魚介類を取りそろえたレストランが軒を連ねる、情緒あふれる小さな島です。現在はそんな魅力的な島も、過去にさかのぼると奴隷貿易の拠点として役割を担ったという、人類にとっての暗い歴史があります。15世紀から19世紀にかけて、奴隷制度により強制的に故郷から離れることとなった何百万人ものアフリカ人が集められた場所だったのです。それから約300年後の1978年、ゴレ島はユネスコの世界文化遺産に登録されました。
今回はそんなゴレ島をご紹介したいと思います。
ブーゲンビリアと植民地時代に築かれたレンガ造りの建物が並ぶ狭い路地
ゴレ島はセネガルの首都ダカールの沖合約3km、フェリーで約25分の距離にあり、東京ドームおよそ4個分(約20ヘクタール)の狭いこの島には毎年多くの観光客が訪れます。ここにはかつて西アフリカのいくつかの港と同様に多くの奴隷が集められ、ここから大西洋を渡りアメリカへ輸送されました。そして、現在でも奴隷制度の歴史的、象徴的な場所として時代の痕跡を残しています。熱帯性の低木で赤い花を咲かせるブーゲンビリアと、植民地時代に築かれたレンガ造りの建物が並ぶ狭い路地を歩くガイド付きのツアーでは、アフリカとアフリカから渡ったアフリカ系アメリカ人のコミュニティーの歴史に直接触れることができます。
歴史の面影が多く残る小さいながらも雄大な島を探検することは、情緒的であり、また多くのことに気付かせてくれるとても有益な体験となるでしょう。ここでは、過去の歴史と現在の日常生活、そしてアフリカのこれまでの劇的な歩みまで感じることができます。ゴレ島はアフリカからアメリカへ送られた奴隷のための巡礼地であるだけでなく、西洋とアフリカが交錯した玄関であり、そして悲惨な歴史を乗り越え、和解と寛容という理想を実現した場でもあるのです。
ゴレ島でぜひ訪れてほしい場所
- House of Slaves(奴隷の家)
1776年に建設された奴隷の収容施設で、初めてゴレ島に来る人は必ず訪れる、ゴレ島の「玄関口」ともいえる場所です。
- Historical Museum(歴史博物館)
旧フランス総督府の家だった場所にある歴史博物館には、ゴレ島の起源から独立までの歴史に関する展示があります。
- Women’s Museum(女性博物館)
伝統的、現代的なアフリカ文化におけるセネガル女性の役割を、生活用具や写真などの展示によって説明しています。また、セネガルの女性解放運動に貢献した人物の紹介もしています。
- Sea Museum(海洋博物館)
セネガルの750種類を超える魚と700種の軟体動物などのコレクションを所蔵しています。
- The Castle
島を見下ろす丘「Castle」からは、対岸にあるダカールの街の印象的なパノラマビューを望むことができます。
日本からセネガルは遠いですが、ぜひゴレ島を訪れて人類の歴史に触れてみてください。
◎ セネガルはこんなところ ◎
日本の約半分の国土を有するセネガル共和国は西アフリカ、サハラ砂漠の最南端に位置し、人口1,513万人を有する。公用語は植民地時代の影響を受けて現在でもフランス語が使用され、イスラム教徒が人口の94%を占める。ゴレ島以外にも文化遺産が4件、自然遺産が2件がユネスコ世界遺産として登録されている。首都ダカールはかつて「世界一過酷な自動車レース」と言われたパリ-ダカール・ラリーの終着点として有名。