「目標は、5年後、10年後、いつまでも残るような作品を作ることです」
国際教養学部 4年 土橋 成之祐(どばし・せいのすけ)

早稲田キャンパス 11号館1階ロビーにて
音楽家の父親の影響で幼少期から音楽に親しみ、高校生の頃には楽曲制作やDJ活動を行うなど、ジャンルを横断し多岐にわたって活躍する土橋成之祐さん。現在は、留学をきっかけに知り合った他大学の仲間と意気投合し、Instagramフォロワー数13万人超えの_Noidというグループで、アーティストNiko Dobashiとして楽曲制作やSNSを中心とした音楽の発信に取り組んでいます。そんな土橋さんに、今の活動に至った経緯や活動に込められた思い、今後の目標について聞きました。
――名前の由来やメンバーなど、_Noidについて教えてください。
_Noidという名前は、「No Idea Without Human Creativity」というグループの軸にしているフレーズからきています。メンバーは3人で、キーボードの僕の他に、ボーカルのKØHKIとシンセサイザーのWanaで活動しています。

_Noidのメンバー。手前から順にKØHKIさん、土橋さん、Wanaさん
AIが台頭する時代になり、人々が「デジタル」から「アナログ」に惹かれていく潮流が生まれました。その中で、アナログシンセサイザー(※1)はこれまでデジタルな印象を帯びていましたが、AIの登場でアナログ側に回帰しつつあり、その時代の潮目の先端を切り開こうという発想を持っています。
※1 電子回路を人が調整して音を作る機械
きっかけは2025年8月、ニューヨークに留学していた際に友人の紹介でオンラインで知り合ったKØHKIと曲作りを始めたことです。僕は先に帰国していたので、12月にKØHKIが日本に帰国したタイミングで「アーティストとしてやろう」と提案して、先にKØHKIのソロ・アーティストプロジェクトを始動しました。翌年の2月には、師匠であり日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)(※2)の理事を務めるmarimoRECORDSの江夏正晃さんが関わるイベントでWanaと出会い、3月に僕から3人での活動をKØHKIに持ちかけて_Noidが始まりました。
※2 シンセサイザーに代表される電子楽器を扱う音楽家の技能と地位の向上を目指し、1988年に設立された社団法人
――_Noidとして、これまでどのような活動をしてきましたか?
まずは世間からの認知度を高めるために、「2026年7月までにSNSでフォロワー1万人に届かなければ解散」という目標を掲げて4月にSNSを始めました。TikTokやInstagramで有名な曲のカバーやアレンジの動画を投稿する中で、Instagramではサカナクションのカバーが約300万回再生されるなどして、1か月以内に1万人に到達しました。Wanaがもともと2万人以上のフォロワーがいるアカウントを1人で運用していたので、Wanaを中心にみんなでどう撮ろうかと考えながら今も投稿し続けています。

_Noidの楽曲制作中の風景
同時にオリジナル曲も制作中です。KØHKIが作詞・作曲をメインで行い、ボーカルも担当しています。僕は編曲がメインで、ドラムやベースなど曲のリズムの土台を作るビートメーク(※3)から楽曲全体のプロデュースを担っています。Wanaは僕と同じくビートメイクや、音を作る部品(モジュール)を自分でケーブルでつなぎ合わせて、一から音色やリズムを組み立てていく電子楽器のモジュラーシンセサイザーでの音作りがメインです。
※3 ドラムやベースなどのリズムパターンを組み合わせて音楽のバックトラックを作ること
ただ、メンバー全員が作詞や作曲、編曲もするので、きっちり分かれているわけではありません。誰か1人のアイデアを100%作り込むのではなく、おのおのが制作途中の作品を持ち寄って、みんなで完成させていくのが_Noidのやり方です。100%作り切ってしまうとその人の曲になってしまうので、あえてそうしないように工夫しています。
音楽の趣味は3人とも全く違います。そのため、自分では思いつかないコード進行や展開が出てくるなど、_Noidの楽曲制作にプラスに働いていると感じています。近い将来にオリジナル曲を発表したいと考えていて、どんな形でリリースするかを検討している段階です。
――_Noidの今後の目標や展望はありますか?
グループとして1番の目標は、5年後、10年後、いつまでも残るような作品を作ることです。そのためには、ただ良いものを作るだけではなく、売れないといけないと思っています。具体的には、5年以内にアメリカのビルボードで1位を取ることです。今後はAIがより普及していくと思いますが、その時に、 “人が作るもの”の価値がより高まることを見据えています。またライブなど、来年以降に向けた活動も広げていきたいです。

取材中の土橋さん
――土橋さん個人ではどのような活動をしていますか?
_Noidの他に、音楽プロデューサー・作家としての仕事をしています。最近ではアニメ「MF ゴースト」第3期のサウンドトラックのうち4曲を担当しました。
加えて、同じ早稲田の国際教養学部、上智大学、東京大学の複数の友人と「YardBirds」というイベントを主催しています。「10年後に世界を変える若者がカジュアルに出会える場」というコンセプトの下、都内のクラブで招待制で開催しています。
今まで、知人がきっかけで生まれた新しい人との出会いや、周囲の人の力を借りて助けられるという経験をしてきました。そのため、音楽とは直接関係がない人でも、同世代の面白い人たちが集まって知り合う機会を作り、そのハブになろうと考えたんです。招待の幅を“自分の知り合いの知り合い”までの範囲に限定することで、安心して参加できる場を作っています。

2026年6月に開催されたYardBirdsの様子(提供:Hanut Sengarr、カラー:Ethan Liao)
――個人としての目標や展望はありますか?
良い音楽を作り続けることです。_Noidとしての目標でもあるのですが、後世に残るような作品を作ることがすごく大事だと思っています。もう一つ大事にしたいのは、 初心と感謝を忘れないこと。自分1人の力ではここまで来られなかったので、いろいろな人の力を借りて来た分、その関係をちゃんと大切にできる人でありたいです。

都内のクラブでDJ活動も行うなど多彩に活躍する土橋さん(提供:mattjpgs)
将来的には、音楽以外にも幅を広げていきたいです。自分自身の知名度を高めることで、いつかレストランやカフェを経営したり、アパレルとコラボしたりなど多分野で活動していけたらと考えています。_Noidの活動を本気で続けて結果が出たら、将来的にはメンバー各々が自由に、さまざまな活動ができたらいいですね。
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_Noidのオリジナル曲「Dance With You」の動画
第936回
取材・文:早稲田ウィークリーレポーター
政治経済学部 2年 和田 悠良
【プロフィール】

機材に触れる土橋さん。父親との幼少期の一枚
東京都出身。早稲田大学高等学院卒業。ピアノを幼少期から19歳まで続け、高校2年生から音楽制作ソフトを使った楽曲制作を始める。大学では、友人とのテクノユニット結成やアーティストへの楽曲提供など、音楽との関わり方を模索する時期を経て、現在は_Noidのメンバーとして活動する。大学在学中に交換留学でニューヨーク、私費留学でロサンゼルスへと二度の留学を経験。ロサンゼルス留学前には半年間インターンシップにも取り組んだ。好きなワセメシは、高校時代から通う「麺爺」。
Instagram:@nikodobashi_music






