
左から、学生スタッフの淺羽さん、社員の木戸口さんと田中さん。富士フイルムホールディングス株式会社東京ミッドタウン本社にて
幅広い事業領域が広げるキャリアの可能性
就職活動において、採用側はどのような人材を求め、学生のどこに注目しているのか? また、実際に入社した人は、会社に対してどのような感想を抱いているのか? 多くの学生が気になるところでしょう。そこで今回は、『早稲田ウィークリー』学生レポーターの淺羽さんが「富士フイルムホールディングス株式会社」(以下、富士フイルム)の人事採用担当者と若手社員に、就職に関する疑問を伺いました。
長年培ってきた写真フイルムの技術を生かすことで多様な事業を切り開き、時代の変化を力に成長し続けてきた富士フイルム。淺羽さんは、若手に挑戦の機会をつくり、変化を恐れずグローバルに活躍する企業だと感じたようです。
富士フイルムホールディングス株式会社

左から、木戸口さん、田中さん
人事部 事務系採用グループ
木戸口 未希子(きどぐち・みきこ)さん(2024年商学部卒業)
メディカルシステム事業部 内視鏡システム部
田中 深大(たなか・じんだい)さん(2021年社会科学部卒業)
技術と人の力で事業をつくり変え、若手にも大きな挑戦を任せています
淺羽:90年以上の歴史がある富士フイルムでの仕事の特長と強みを教えてください。
木戸口さん:まず挙げたいのが、若手のうちから大きな仕事を任せる環境があることです。例えば、海外市場を担当するマーケターなら現地法人と直接やり取りするなど、年次はあまり関係なく、大きな責任のある仕事にも挑戦できる可能性があります。

田中さん:私自身も、入社3〜4カ月ほどで工場の需給業務を担当し、海外工場との会議の司会を任されました。上司は同席しながらも基本的には私に進行を委ね、本当に困ったときだけ助け舟を出してくださったんです。責任ある仕事を任され、分からないことに直面しても、物腰柔らかい人情味ある先輩方が親身になって応じてくださるので、安心して前に踏み出せる環境ですね。
木戸口さん:挑戦の場が数多くあるのは、事業の幅広さゆえでもあります。「ヘルスケア」「エレクトロニクス」「イメージング」「ビジネスイノベーション」と事業領域は多岐にわたり、それぞれにさまざまな職種があるんです。決まった異動のタイミングがない、事業・職種を越えたジョブローテーションで、社員の経験の幅を広げて成長を促しています。
また、富士フイルムの強みは、写真フィルム事業で培った技術を生かし、さまざまな事業分野へ展開してきたことです。例えば、写真の色あせを防ぐ抗酸化技術などをコンシューマヘルスケア事業の化粧品に生かしています。急速なデジタル化でフィルム市場が縮小する中でも、こうしたコア技術を応用して事業をつくり変え、社員が主体的に課題を捉えながら成長を続けてきました。
写真左:コンシューマヘルスケア事業で、フイルムの技術を生かして作られた化粧品「ASTALIFT(アスタリフト)」
写真右:画像解析技術と1936年から参入しているヘルスケア領域の知見を生かした内視鏡
もう一つの強みが、グローバル展開です。世界中に250社を超える連結子会社があり、現地法人と販売店を通じて、国ごとに異なるニーズをくみ取った生産・販売・サービスを実現しています。
淺羽:変化を続け、世界に広がる富士フイルム独自の人材育成の取り組みは、どのようなものでしょうか?
木戸口さん:まず、仕事の基盤を身に付けるために、独自のマネジメントサイクル「STPD」を学ぶ研修があります。メーカーは技術力だけではなく、「本質の課題とは何か」を明確にし、技術を使って形にする力がなければ新しい価値を生み出せません。そこで必要となるのが「STPD」で、新入社員研修やOJT、昇格時の試験などを通じて、その考え方をしっかり身に付けていきます。

また、成長支援プログラム「+STORY(プラストーリー)」もあります。富士フイルムでは、仕事での経験は全て自分の糧になると考えており、経験を振り返って得た気付きを次の挑戦につなげることを大事にしているんです。そのために、上司と年に1回、自身の経験を振り返る「+STORY対話」や、新しい職務に挑戦できる社内公募「+STORYチャレンジ制度」などで後押ししています。

富士フイルムが目指す人材育成。詳しくはこちら
世界を舞台に、自ら課題を見つけて行動できる人と働きたい
淺羽:田中さんの現在のお仕事内容や当時の就職活動について教えてください。
田中さん:ビジネスイノベーション領域の工場で働く中で、他の事業部の雰囲気も知りたくなり、「+STORYチャレンジ制度」に応募して、ヘルスケア領域のメディカルシステム事業部へ異動しました。現在は、内視鏡事業のインド市場におけるマーケティングを担当。現地法人が内視鏡を販売する中で困りごとが発生し、現地で解決できない問い合わせが寄せられたとき、関係者を巻き込みながら解決しています。
就職活動では業界や職種を絞らず、「社員の雰囲気が自分に合うこと」「グローバルな環境で働けること」を軸にしました。幼い頃にアメリカとオーストラリアで7年間暮らして海外が身近だったことに加え、英語・スペイン語・イタリア語を学生時代に学んでいたので、その語学力を生かしたかったからです。
富士フイルムへの入社を決めた大きな理由は、インターンシップの社員座談会で、先輩方が学生の質問に真剣かつ親身に答えてくださる姿を見て、「この人たちと一緒に働けたら、楽しい社会人生活を送れるだろう」と感じたことですね。グローバルな環境という点も希望どおりで、インドの現地メンバーとはほとんど英語でやり取りしており、語学力を日々の仕事で生かせています。

インド市場の代理店会議に参加するために出張し、KICK OFF MEET 2026に登壇した田中さん
淺羽:富士フイルムを志望する学生には、どのような資質や姿勢を期待していますか?

木戸口さん:募集している技術系・事務系の総合職どちらにも共通するのが、「Grow」「Think」「Passion」「Courage」を持ち合わせた方です。そのため選考では、実績や肩書よりも、「強い思いを持ち、組織の中で自ら課題を見つけ、その理由を考え、自分なりに工夫して解決したか」というプロセスを重視します。組織の課題を自分ごととして捉え、解決に向けて自ら行動できる方を求めています。
また、「異なる価値観や変化を受け入れる柔軟性」も重視していますね。富士フイルムは海外での売上比率が高く、さまざまな価値観の人と働くため、「こうあるべき」と決めつけず、相手の考えを受け止めながら、すり合わせていく力が必要です。その柔軟性があれば変化もチャンスと前向きに捉えて、どの事業でもグローバルに活躍できると思います。

淺羽:最後に、学生に向けてメッセージをお願いします。
木戸口さん:就職活動は自分の人生と向き合い、「やりたいこと」を見つける貴重な時期ですから、業界や企業を絞りすぎず、興味を持った会社を幅広く見てください。そこで大事なことは、制度や働き方の事実だけではなく、「自分自身が事実に対してどう感じたか」です。ぜひ言語化してみてください。皆さんが、「この組織の一員になりたい!」と思える場所を見つけられることを願っています!
田中さん:学生のうちに、ぜひ海外へ足を運ぶことをお勧めします。私は、学生時代に20カ国近く訪れました。入社後も欧州や南米を中心に旅行を続けています。グローバル展開する企業も多いので、海外での経験や価値観が必ず将来に生きてくると思います。

取材・文:流石 香織
撮影:布川 航太
企業訪問で知った、挑戦し続ける価値と新たな視点
創造理工学部 2年 淺羽 真帆(あさば・まほ)

今回の訪問を通して、変化を恐れず時代のニーズに合わせて海外に展開する富士フイルムの強さを知ることができました。インタビューで伺った「現状維持は衰退に近い」という言葉から、分野をまたいで挑戦し続ける姿勢と、若手に大きな仕事を任せる風土がいかに根付いているかを実感。そして常に変わる時代だからこそ、固定観念に捉われず前向きに変化していく大切さを学びました。
就職活動に関しては、企業訪問時は見聞きした事実だけでなく、自分がその時何を感じたのかを書き留めることで企業比較に生かせるというお話が、新たな視点として得られました。







