「不思議さに驚き、美しさに酔いしれていただく。それが私の理想のマジックです」
創造理工学部 3年 Také(たけ)

西早稲田キャンパス 52号館にて
2026年3月に開催された「学生マジックコンテスト」で優勝し、日本全国の大学生・大学院生のステージマジシャンの頂点に立ったTakéさん。マジッククラブ(公認サークル)で活動しながら、大会やマジックショーなど学外でも幅広く演技を披露しています。そんなTakéさんに、マジックとの出合いから大会への挑戦、そして早稲田での学びや将来の目標について聞きました。
――マジックを始めたきっかけと魅力について教えてください。
2~3歳の頃、マジックが趣味の父からコインマジックを見せてもらい、やり方を教えてもらったことがきっかけです。そこからマジックの虜(とりこ)になりました。
マジックの魅力は、あらゆる芸の中でも特にユニバーサルなところだと思っています。私が得意とするステージマジックは言葉を全く使わないので、どんな言語の話者にも不思議さが伝わります。年齢も問わないため、小さい子どもからお年寄りまで一緒に楽しめますし、前提知識も必要ありません。誰にでも同じように驚いてもらえることが、マジックの一番の魅力です。
――今年 3 月に優勝された「学生マジックコンテスト」について教えてください。また、大会に向けて特に工夫したことは何ですか?

「学生マジックコンテスト」で優勝した時の写真
「学生マジックコンテスト」は、日本全国の大学生・大学院生のステージマジシャンが日本一を競うコンテストです。予選は動画、決勝は舞台での実演による選考で、私は扇子を使って、出現や消失、移動、カラーチェンジなどを行う演技を披露しました。
優勝者の名前が発表された時は、思わず「おー! 」と声が出てしまいました。さらに、マジッククラブの先輩方も駆け寄ってきて、自分の事のように喜んで祝福してくださったんです。そこで改めて、周りの人たちがあっての優勝、みんなで勝ち取った優勝だということを実感し、感謝の気持ちが込み上げてきました。当時は大学2年生で、出場者の中では最年少だったので不安もありましたが、その中で優勝できたことは誇らしかったです。
特に工夫したのは体の動きとギミック(仕掛け)作りです。マジックに不要な動き、いわゆる「ノイズ」を消すために自分の演技を撮影し、先輩に見てもらいアドバイスをいただきながら練習しました。ギミックも試作と調整を何度も繰り返して完成させましたね。大会で披露した演技は1年生の12月頃から練習し始め、1年以上かけて形にしたんです。
――学内ではどんな活動をしていますか? また、学外公演を始めたきっかけや、印象に残っている公演はありますか?
マジッククラブでは、1年生から3年生までがそれぞれ年に1回、ステージマジックの発表会を開催しています。1、2年生は早稲田祭でテーブルマジックも披露するんです。上級生が師匠、下級生が弟子となり、基本的に1対1で先輩から指導を受けます。

マジッククラブでの夏合宿の写真。右がTakéさん
また、マジッククラブの現役生と卒業生が有志で行う発表会「すぐる有志」に出演し、運営にも携わりました。世界大会に出場しているような尊敬する先輩方と同じ舞台に立てたことで、大いに勉強させていただきました。
学外公演を始めたきっかけは、先輩に連れられ、マジッククラブがホテルや企業から依頼を受けた宴会でのマジックショーに出演したことです。そこで「こういう活動の仕方もあるんだ」と知り、同時に「これは場数を踏んで腕を磨く良い機会になるぞ」と思いました。SNSで活動を発信していくうちに、私個人にも依頼をいただくようになりました。
特に印象に残っているのが、東京ディズニーシー・ホテルミラコスタでのクリスマスパーティーです。初めての学外公演、しかも舞台がエンターテインメントの聖地だったので、とても興奮したのを覚えています。子どもたちはもちろん、大人の方々にも驚いてもらえて、「自分のマジックは通用するんだ」と実感することができました。

ホテルミラコスタでのマジックショー
――演技の際に大切にしていることや、こだわりは何ですか?
一番大切にしているのは、美しさです。不思議であることは大前提。その上で、美しさに酔いしれていただく。それが私の理想のマジックです。衣装やメーク、表情、照明、ギミック、音楽など、演技に関わる全てのものが美しくあるべきだと考えています。特に音楽と演技のタイミングは大切で、曲のサビに入る瞬間にマジックを起こすなど、いわゆる「音ハメ」を強く意識しています。
美しさのために心掛けているのが、所作からノイズを消すことです。例えば足の動き。手と同じくらい足も重要で、一瞬でもつま先が不要な動きをするだけで、観客は無意識に違和感を覚えてしまいます。演技の動画をコマ送りにして、どの瞬間を切り取っても美しい姿になれるように稽古をしています。

リングを使った演技(左)と、扇子を使った演技(右)
――早稲田大学創造理工学部に進学した理由と、現在学んでいることを教えてください。

取材を受けるTakéさん
もともとロボットに興味があって作りたいと思っていたため、創造理工学部への進学を決めました。入学後に少し興味が変わり、現在は滝沢研二教授の研究室で流体力学のシミュレーションを学んでいます。パラシュートやトランペットなど、身の回りのさまざまなところに流体が絡んでいるので面白いです。
この前ふと、AI搭載のマジシャンロボットを作れたら面白いかな、と思ったんです。でも、よく考えたら、ロボットがマジックを演じても、ちっとも不思議じゃないですよね。体中に磁石を埋め込み放題だし、鳩(はと)も隠し放題。不思議じゃないというのは、マジックとして致命的です。不完全な人間が演じるからこそ、マジックは不思議なのだと改めて実感しました。
――今後の展望をお願いします。
マジックでは、「MAGINATION Magic Meeting」に出場して賞を取ることが目標です。国内外のプロやアマチュアが参加する大会なので、大きな挑戦になります。その先は、台湾で開催される「Taiwan Magic development Association」や、マジックのオリンピックとも呼ばれる「FISM World Championship of Magic」など、世界大会での優勝を目指しています。
学業面では、大学院に進学して流体の研究を続けたいです。そして将来は、仕事をしながらマジックを続け、大会にも出場していきたいと考えています。
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第934回
取材・文:早稲田ウィークリーレポーター
商学部 3年 松本 佑貴
【プロフィール】

サックスを友達に吹かせてもらった時の写真
東京都出身。東京大学教育学部附属中等教育学校卒業。趣味はマジックと歌うこと。大学1年生の時には軽音にも所属し、ボーカルを担当していた。好きな歌手はサザンオールスターズ、Official髭男dism。最近はMrs. GREEN APPLEのライブにも足を運ぶ。好きなワセメシは「わせだの弁当屋」と「武蔵野アブラ學会」。
Instagram:@take_magic3






