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そろばん王者の原動力は「楽しさ」! 名人位&ギネス記録更新への挑戦

「そろばんが楽しくて仕方ないから、一日も欠かさず練習を続けられています」

教育学部 2年 辻窪 凛音(つじくぼ・りんね)

戸山キャンパス 戸山の丘にて。愛用のそろばんと、フラッシュ暗算のギネス記録(2023年)の公式証書と共に

全国から選ばれた300名以上が熱戦を繰り広げる、「そろばんグランプリジャパン2024 」のシニア部門で優勝した辻窪凛音さん。小学3年生で「全日本珠算選手権大会」小学生部門優勝、高校3年生ではフラッシュ暗算(※1)で当時のギネス記録を更新するなど、大学入学前から目覚ましい活躍をしており、現在もさまざまな大会へ精力的に出場しています。そんな辻窪さんに、そろばんを始めたきっかけや継続の秘訣、練習内容や今後の目標などを聞きました。

(※1)モニター画面などに、フラッシュ式に表示される数字を暗算で計算すること。

――そろばんを始めたきっかけは何ですか?

幼稚園の年中の時に、母に連れられて現在も通っているそろばん教室に行ったことがきっかけでした。そこで初めて自分から続けたいと言ったそうです。それほどそろばんはただ純粋に楽しく思えて、自分に向いていたんだと思います。 水泳やピアノなど他の習い事もやっていたのですが、小学6年生の時に全て辞めてそろばんに集中的に取り組むようになりました。そうすると、実力もどんどん伸びてもっと楽しくなっていきました。

また、一緒に教室に通う友達の存在も大きかったですね。私と同じ日に通い始めた慶應義塾大学に在籍する同い年の友人がいるのですが、今も一緒に教室で切磋琢磨しながら励み合い、そろばんを続けています。あとは、大会ではよく全国各地に遠征するのですが、その際に同世代の友達もできて。そうした良きライバル兼友達という存在のおかげで、そろばんを楽しく続けられているのだと思います。

写真左:小学3年生の時「全日本珠算選手権大会」にて初めて小学生日本一を取った際の一枚
写真右:中学2年生の時「全大阪オープン珠算選手権大会」では団体優勝した。後列中央が辻窪さん

――普段はどのような練習に取り組んでいますか?

いつもは、目標の大会に合わせた練習用のプリントに取り組んでいます。そろばんの基本は四則演算と見取り算(※2)。それに加えて、伝票算(※3)やかけ暗算、わり暗算、見取り暗算などがあります。大会ではそれらを個人総合競技と呼び、その基本形に加えて読み上げ算、フラッシュ暗算、英語読み上げ算など各大会独自の部門があるイメージです。ただ、一口に個人総合競技といっても大会によって、正確性が重視されるか、スピードが重視されるかなど採点基準が異なるので、そういったところにも気を付けて練習に臨んでいます。

(※2)縦に並んでいる数字を上から下へ順に計算する方法。
(※3)複数頁の数字が書かれた冊子をめくりながら計算する方法。

そろばんは一日でもやらないと実力が落ちてしまうので、習い始めた日から毎日欠かさず練習しています。自宅だけでなく教室にも毎日通っているので、1日の練習時間は、平日は約3時間、休日は約5時間ほど。長期休暇や大会前は一日中練習していることもよくあります。練習用プリントと鉛筆さえあれば最低限の練習ができるので、中高時代の修学旅行にも持って行って練習していました。

普段取り組んでいる練習用プリント。通っている教室の先生が作った問題で、5分で何点取れるかというのを練習し続けることで暗算の桁幅を増やす練習になっている。10題ごとに難易度が上がっていくそう(※クリックして拡大)

――さまざまな大会に出場してきた中で、印象的だったことはありますか?

2025年5月に「東京オープンそろばんコンテスト 」という大会があったのですが、その大会前々日がつらかったです。実は2021年の大会新設以来私が個人総合競技で四連覇していたので、思っていた以上のプレッシャーを感じてしまって…。でも、大会に出ること自体は楽しいですし、たとえ失敗しても次の大会をがんばるしかないと割り切ることでプレッシャーを乗り越え、結果、優勝して五連覇を達成することができました。

2024年開催の「東京オープンそろばんコンテスト」を紹介した動画(動画提供:TOKTO OPEN SOROBAN CONTEST実行委員会)

――「そろばんグランプリジャパン2024」シニア部門で優勝した時の感想を教えてください。

実はこの大会のジュニア部門で五連覇していて。そういった意味では「東京オープンそろばんコンテスト」同様にプレッシャーもあったのですが、それまでのジュニア部門から18歳以上のシニア部門となって戦い方が変わる不安がありました。前者は正確さよりもスピードが重視されますが、後者は安定したスピードを維持しつつ計算の正確さがより求められ、勝つためには一つでも間違えられないんです。なので、優勝した時はほっとした気持ちがありつつも、まさか優勝できるとは思っていなかったという驚きや望外の喜びもありました。

「そろばんグランプリジャパン2024」表彰式の様子。中央が辻窪さん

――辻窪さんがそろばんを続けてきた原動力を教えてください。

とにかく“楽しい”という一言に尽きます。さまざまな大会に出場する中で、年齢に関係なく競い合える選手たちとのつながりが増えました。大会で良い結果を出せたときの喜びや、上手くいかなかったときの悔しさももちろんありますが、それ以上に、そろばんでつながることができた仲間たちは、私にとってかけがえのない大切な存在です。

また、自分からやりたいと言って始めたそろばんですが、最初は分からないことがあっても緊張して教室の先生に質問することもできませんでした。でも、帰宅後の練習に付き合ってくれた母のおかげで続けることができ、これまで数々の賞を取ってきました。やっぱり入賞できるとうれしいので、次も勝ちたいという気持ちも力になっています。現在は年間に約10個の大会に出場するのですが、大会の数が多いからこそ目標もできますし、たとえ負けても落ち込んでいる暇がないですね。

2024年末に「そろばんクリスマスカップ」で初めて優勝した時の一枚

――今後の目標や卒業後の進路を教えてください。

今後の目標は、多くの大会で優勝すること! まずは、2025年8月にある「全日本珠算選手権大会」で優勝したいです。この大会は1954年から続く権威のある大会で、優勝できたらそろばん日本一の称号が手に入るので勝ち取りたいです。また、今年は2年に1度開催の「珠算名人位決定戦」もあり、こちらも優勝を狙っています。前回の弥谷拓哉名人(2023年文化構想学部卒)も前々回の堀内遥斗名人(2025年教育学部卒)も早稲田大学出身の先輩方なので、この流れに自分も乗れたらいいなと思います。あとは、現在フラッシュ暗算のギネス記録が塗り替えられているので、もう一度取りたい! ギネス記録は、更新できる実力があってもそれを公式に証明して認定をもらう場が少なくて、なかなか取れないんです。2025年は20歳になる記念の年でもあるので、ぜひ活躍の年にしたいですね。

卒業後はそろばんの技能を発揮できる仕事に就きたいと思っています。そろばんをしていた周りの先輩たちを見ると、銀行員などとして活躍したり、そろばん教室を開いて指導者になっていたりするので、そうした道も興味があります。そろばんで培った集中力や継続力はどの職種でも通じると思うので、将来も生かしていきたいです。

第904回

取材・文・撮影:早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ
文化構想学部 3年 安延 穂香

【プロフィール】

ENHYPENのライブに行った時の一枚

埼玉県出身。早稲田実業高等学校卒業。数字を見ると反射的にそろばんに置き換えてしまうため、ある数を永遠に2倍していったり、車のナンバーで10をつくったりなど、日常生活のふとした時に何らかの計算をしてしまうそう。音楽を聴くのが好きで、ジャンルはJ-POPからK-POPまで幅広い。ちなみに初めて行ったのはsumikaのライブで、お気に入りの曲は、『坂道、白を告げて』『rem.』。K-POP は、SEVENTEENの『Our dawn is hotter than day』『Domino』をよく聴いている。おすすめのワセメシは、「油そば専門店 麺爺」「どんぴしゃり」「高田牧舎」。

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日は毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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