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ラグビー界期待の新星 レフェリーとして世界の舞台へ

「ラグビーワールドカップで笛を吹くことが1番の目標です」

商学部 4年 古瀬 健樹(ふるせ・かつき)

戸山キャンパス37号館競技スポーツセンター前にて

ラグビー蹴球部にレフェリーとして所属している古瀬さん。部内だけではなく、国内外のさまざまな公式試合でもレフェリーとして活躍しています。2023年には、日本の社会人チーム競技会であるNTTジャパンラグビーリーグワン(以下、リーグワン)で最も活躍した審判とされる「ベストホイッスル賞」に選出。活躍の幅を広げる古瀬さんに、ラグビーに興味を持ったきっかけからレフェリーを始めた理由、日々の活動の様子や将来の目標を聞きました。

――古瀬さんは最初プレーヤーをしていたんですよね。ラグビーを始めたきっかけを教えてください。

通っていた中学校にラグビー部があったのですが、入学した当初はラグビーに特段興味があるという訳ではありませんでした。ですが、ラグビーは経験者も少なく初心者でも始めやすいと思い、入部することを決めたんです。最初はルールを理解することに苦労しましたが、仲間と協力して勝利を目指すラグビーの面白さに目覚めました。

ただ、高校に入るタイミングでラグビーを続けるか非常に悩みました。なぜなら、中高一貫校でそのまま進学した東福岡高等学校は全国大会常連の強豪校。私は大学進学を目指すコースに所属していて、他のコースより授業数も多く授業の終わる時間も遅かったんです。せっかく続けるのであれば上を目指したいけれど、勉強と両立するのでは他の部員と練習量に差が出てしまい、勉強も部活も中途半端になってしまう。そう考えて、高校ではラグビーは続けませんでした。

中学生のときの写真。ボールをもっているのが古瀬さん。ポジションはフッカー(HO)だったそう。

――その後、なぜレフェリーを始めようと思ったのですか。

高校受験が無かったので、中学校でラグビー部を引退した後もたまに後輩のサポートで練習に参加していたんです。ある日、監督から練習試合のレフェリーをたまたま頼まれたのですが、その経験が自分の中でとても楽しくて。具体的にはレフェリーとして、ボールだけでなくピッチ上のすべてに目をやりながらさまざまな角度からジャッジすることに面白さを感じました。そこでラグビーをプレーヤーとしてではなく、違う立場で関わるのも面白いのではないかと思い本格的に始めました。

当時、高校生でレフェリーを目指す人はほとんどいなかったので、ラグビー部では入部扱いではなかったのですが、練習試合があるときには声を掛けてもらってレフェリーを担当するなど行動を共にすることも多く、部員と同じような扱いをしてもらいました。そのような実践的な経験を積む一方で、日常的にトップレベルの試合をYouTubeなどで観戦して、独学でレフェリングの知識を増やしていきました。

高校3年生のときには、大阪府東大阪市にある高校ラグビーの聖地、花園ラグビー場で行われた「U18合同チーム東西対抗戦」でレフェリーを務めました。本来は高校生がレフェリーをできるものではないのですが、日本のラグビーを統括している日本ラグビーフットボール協会のレフェリーマネジャーから、若手レフェリーの育成の一環として声を掛けていただきました。プレーヤーも皆同い年で、選手にとっても自分にとっても高校最後の集大成の思いが詰まっている試合だったので、特に印象に残っています。

高校3年生のときに「U18合同チーム東西対抗戦」でレフェリーを務めた様子。白いユニホームを着ているのが古瀬さん

――大学に入学してからはレフェリーとしてどのように活動していますか。

ラグビー蹴球部に入部し、部の練習に参加しています。例えば、プレーヤーがスクラムやブレイクダウンの練習をしているときに、反則ではないか確認するなど、レフェリー目線での意見を求められることも多いです。もちろん練習試合があるときには、レフェリーとして笛を吹いています。そして2021年には、日本協会で全ての試合を担当することができるA級公認レフェリーに選んでいただきました。現在は、社会人リーグのリーグワンでもレフェリーとして携わっています。部活とリーグワンでの活動を両立し、柔軟に対応しながら、一試合でも多くレフェリーとしての経験を増やせるようにしています。

リーグワンでレフェリーを務める様子
写真左:コベルコ神戸スティーラーズ vs 埼玉ワイルドナイツ戦。反則の笛を吹いたとき
写真右:三菱重工相模原ダイナボアーズ vs 東京サントリーサンゴリアス戦。スクラム前の掛け声をかける直前

――さまざまな試合で活躍する古瀬さんですが、国外の試合でレフェリーを務める機会も増えているんですよね。

私は高校時代から継続して日本ラグビーフットボール協会からのサポートを受けていて、TIDという若手育成を進めるプログラム(※)に参加しています。このプログラムでは、海外での研修も多く行われているんです。今年は、南アフリカで開催されたレフェリーのアカデミーキャンプに参加しましたし、韓国のリーグ戦や香港で開催されたアジアラグビーチャンピオンシップでもレフェリーを務めました。

その中でも特に思い出に残っているのは、ニュージーランドで開催されているNPC(ニュージーランド州代表選手権)で笛を吹かせてもらったことです。ニュージーランドはラグビーの強豪国で完全英語圏。そんな中で日本人の私がレフェリーを務めさせてもらえたことはとても誇りに思っています。

(※)Talent Identificationの略。日本ラグビーフットボール協会が、高校生世代の将来有望な選手の発掘を進める人材発掘と育成のために行っている取り組み。現在は組織改変に伴いレフェリーアカデミー制度と名称が変わっている。

NPC ノースランド vs カンタベリー戦
写真左:試合前の様子。中央が古瀬さん
写真右:試合中のスクラムの様子。中央奥が古瀬さん

――レフェリーから見るラグビーの魅力を教えてください。

コンタクトが激しいラグビーを間近で体感することができることが一番の魅力ですね! レフェリーとしてプレーヤーたちが激しくぶつかり合う様子を見ていると、観客席で見る以上の迫力を感じます。激しいプレーがある一方、パスをたくさん回してスピードを出して走っていく場面もあって。いろいろな要素が混ざり合っているところを間近で感じることができるのはレフェリーの特権だと思います。

そしてやはり、レフェリーを始めたきっかけと同じですが、ただボールを追うだけではなく、試合に出ている30人のプレーヤー全員を気にしながら試合を俯瞰(ふかん)的に見てジャッジすることにも面白さを感じます。この二つがレフェリーとして感じるラグビーの面白さです。

――今後の目標を教えてください。

最終的に目指しているのは、ラグビーワールドカップでレフェリーを務めること。大学卒業後は海外でレフェリーとしての経験を更に積むことなども考えていますが、どうすればその目標に少しでも近づけるのか試行錯誤している段階です。そもそも日本人、そして若手で世界的に活躍するレフェリーを目指すという前例がほとんどありません。今後どのように活動していくかは、未知な部分もとても多いですが、一歩ずつ進んで行けるように頑張っていきたいです。

ラグビー蹴球部での練習の様子

第859回

取材・文・撮影:早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ
人間科学部 4年 佐藤 里咲

【プロフィール】

福岡県出身。東福岡高等学校卒業。早稲田大学ラグビー蹴球部にレフェリーとして在籍している。レフェリーも試合中はグラウンドを走り回るため、オフの日もトレーニングを欠かさない。気分転換のために自転車で都内を巡ることもあるそう。

所属している横田一彦教授の国際貿易研究ゼミにて、ベトナムの留学生との写真。開発途上国の経済を中心に学び、さまざまなデータを用いて実証研究を行っているそう。後列左から三人目が古瀬さん

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日は毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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