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アマチュア日本一! 早大生ゴルファー中野麟太朗 目指す先はプロの舞台

「悔しさが自分を成長させてくれる」

ゴルフ部
スポーツ科学部 2年 中野 麟太朗(なかの・りんたろう)

フジサンケイクラシック2023にて(写真提供:サンケイスポーツ)

ゴルフ部に所属する中野麟太朗さんは、学生ゴルファーながら2023年6月に北海道で開催された日本アマチュアゴルフ選手権(以下、日本アマ)で日本一に輝きました。その後、名だたるトッププロが参加する8月のフジサンケイクラシックにも出場し、優勝争いに名を連ねるほど好成績を残した中野さん。しかし、高校2年生の冬までは全国大会上位に勝ち上がるほどの実力は無かったそう。ゴルフを始めたきっかけや成長の過程、そして今後の目標などを聞きました。

――はじめに、ゴルフを始めたきっかけを教えて下さい。

小さい頃、ゴルフ好きだった父が買ったゴルフ漫画が家のトイレにたくさん積み上げられていて、ふとそれを読み始めたのがきっかけです。それから父にゴルフを教わるようになり、小学校4年生頃からスクールに通い始めました。漫画だと、打った球があり得ない軌道を描いてそのままカップインするなど、非リアルな展開が多々あるのですが、実際にやってみるとそんなに簡単にいくはずもなく…。でもその難しさが自分にとっては魅力で、どんどんはまっていきました。もともとチームスポーツが得意ではなかったので、個人競技だというのも合っていたんだと思います。

10歳の頃。中野さんが小学校5年生のときからお世話になっているという、八王子カントリークラブでの写真

――明治大学の付属高校から早稲田大学に進学した理由を教えてください。

2021年度全国高等学校ゴルフ選手権大会 高校個人の部にて優勝したときの一枚

高校2年生までは、自分でも明治大学に進学するものだと考えていました。ですが、高校3年生に上がる直前の全国高等学校ゴルフ選手権春季大会で2位、そして夏の全国高等学校ゴルフ選手権大会で優勝した頃から、他大学のゴルフ部の方々に声を掛けてもらうことが増えました。それまでは全国大会に出場しても上位者に勝てるイメージすらなかったのですが、実績が残せるようになって、初めてプロになるビジョンを描き始めたんです。「プロになるために大学で何を学ぶべきなのか」と考えたとき、最先端のスポーツ科学が学べる早稲田大学を選択しました。

――早稲田大学での学生生活はいかがですか。

入学してみると、他のスポーツで似たような実績を収めている人がたくさんいて、「自分の実績は特別ではなく普通なんだ」と驚きました。高い次元でスポーツをしている友人らといることで、モチベーション的にも良い影響を受けています。また、スポーツ科学部では、体の仕組みを学ぶことがゴルフに生きると思いトレーナーコースを選択しているのですが、本気でトレーナーになるために勉学に励んでいる人が多くいるので、そういった出会いからも刺激を受けています。

ゴルフ部では、競技面の他に組織における人間関係やチームワークなど、個人競技がゆえにこれまであまり意識してこなかったことに気付いたり、卒業した先輩方との交流を通して、これからゴルフをやっていく上で必要となるマナーなども学ばせていただいています。卒業生にはメディア関係の方や大会の主催側の関係者も多くいらっしゃりいろいろなご縁を感じています。これも早稲田に入学したからこそ得られた環境だと思っています。

――これまでの競技人生で印象に残っている出来事はありますか。

入学式の日、大隈記念講堂前にて

高校2年生の冬に、今も師事しているコーチと出会ったことです。日本のゴルフ界では良いスイングをする上でコック(両手でクラブを握ったとき、手首を親指方向に折る動き)が重要とされています。私は手首がとても固いので、昔は「上手くコックするために手首を柔らかくしなければ駄目なんだ」と思い込んでいました。ですが、そのコーチにスイングのチェックをしてもらったところ、私の手首がこれ以上動かない構造をしていることを見抜いた上で、「コックはいらない。自分の体に合ったスイングがあるし、コックができなくても世界一になった選手もいる」と指導を受けたんです。そのときは衝撃的でしたが、コーチの助言のおかげで自分のスイングが変わり、全国でも優勝できるようになったんだと思っています。

――競技を続ける中で意識していることはありますか。

大学入学後も大会では2位になることが多くて、その度になぜ勝ちきれないんだろう…と落ち込んでしまいそうになっていましたが、あえてポジティブに振る舞うことを心掛けています。良くなかった結果を失敗や挫折とはあまり捉えないようにし、「この悔しさが自分を成長させてくれる」と言い聞かせてきました。いずれ世界で戦える選手になることを考えたときに、ずっと成功し続けることはありませんから、一つ一つの大会で失敗をしても、それを成長につなげていけるようにならなければと考えています。

――勝ちきれない時期を乗り越えて、ついに今年日本アマ優勝、そしてフジサンケイクラシックに出場しました。

日本アマに出場するまでには予選が幾つかあるのですが、実は予選落ちしてしまったんです。「今年は日本アマに出られないな…」と思っていたのですが、一発逆転、敗者復活を勝ち抜いて日本アマに出場できることに。もう失う物は何もないという気持ちでプレーし、そのまま優勝することができました。敗者復活からの優勝は初めてのことらしいのですが、私自身、日本一になった瞬間は実感が湧きませんでした。ただ、必死に頑張ってきた自信はあったので、じわじわと「努力が実ったな」と感じるようになったんです。

日本アマ優勝の影響は大きく、8月に行われたフジサンケイクラシックへの出場権をいただくこともできました。これまで4回出場したレギュラーツアーではアマチュアとプロとの違いを痛感していたのですが、今回のフジサンケイクラシックでは予選を通過しただけでなく、優勝争いに近いところまで戦うことができました。日本トップレベルのゴルファーらとコースを回ったので、初めてあんなに多くの観客の中でプレーをすることができてとても楽しかったです。間違いなく今後のゴルフ人生の糧になる経験でした。

一時優勝争いを演じたフジサンケイクラシックの試合後、早大ゴルフ部のメンバーとの写真(右から3人目が中野選手)

――これからの目標を教えてください。

今しかない学生ゴルファーとしての経験もしっかり積み、在学中にレギュラーツアーで優勝して、卒業後はプロになりたいです。そして、プロの世界でプレーすることで、早稲田からでもプロゴルファーとして活躍できることを世間の人に知ってもらいたいです。また、フジサンケイクラシックでは早稲田のゴルフ部の仲間が応援しに来てくれて、それが大きな力になりました。今度は私の活躍が皆さんの元気や勇気につながってほしいという気持ちで頑張りたいです。

第853回

取材・文:早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ
教育学部 2年 渡辺 詩乃

【プロフィール】

東京都出身。明治大学付属中野高等学校卒業。趣味は美味しいご飯を食べること。試合当日の朝に麺を食べることがルーティンで、中でも手に取ることが多いのは「どん兵衛」だという。子どもの頃影響を受けた漫画は『あした天気になあれ』『黄金のラフ』『KING GOLF』『DAN DOH!!』など。

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日は毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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