「フランス語は文法が難しい」「発音がつづりのとおりではないのはなぜ?」とよく耳にする。確かに、母語と全く異なる言語を学ぶことは容易ではない。英語以外の外国語の必要性を感じていない人や、どのような言語にしろ外国語全般に対して抵抗がある人もいる。大学の必修科目に外国語が含まれているという理由だけで外国語を学ぶ場合もあるかもしれないが、それを一つの好機と捉えてもよいだろう。
私が日本語を学び始めたのは大学生のときだ。想像以上に苦戦し、挫折しそうになったが、新しい言語を学ぶことによって知らない文化に入ることができるのは何よりの喜びだった。昨今、ワンクリックで簡単にどの国についても調べることができるようになったが、本当の意味である国の文化を知ることができるのは、その国の言語の習得があってこそだろう。
日本語との出合いから随分時間がたち、思わぬ進路が開かれた。私は他言語の習得が得意な方ではなかったが、日本語を学べば学ぶほどますます関心を持つようになった。何よりも好奇心を持つことが大切だ。「才能というものはない。才能というのは、何かをやりたいという気持ちを持つことだ。(中略)夢を実現しようという気持ちを持つことが、才能なのだと思う。」これは歌手ジャック・ブレルの言葉だが、外国語の学習にも当てはめることができるだろう。大学は大きな可能性のある場だ。努力ももちろん必要だが、まず「やりたい」という気持ちがあれば、いつでも自分の道を切り開くことができる。
(VM)
第1147回