新緑のまぶしい季節が、またやってきた。この世の生きとし生けるもの全てが、生命力と躍動感にあふれて光り輝いている。しかしながら、私はこのすてきな季節“であろう”春が苦手である。キラキラとまぶしすぎて、自分一人が取り残されたような、せっつかれているような気がして居心地が悪いからである。
大学生の特権は何をおいても時間を自由に使えることに尽きるであろう。この2年間は、部・サークル活動、留学や旅行はもちろんのこと、対面授業すらままならなかった。さまざまな制限が緩和されつつあるとはいえ、いまだ自由な学生生活とはほど遠い。こんなはずじゃなかった、と感じる人も多いであろう。
皆さんが「コロナ世代」と呼ばれるようになるのか、あるいは現在の形がニューノーマルとなるのか、現状ではまだ分からない。ただ一つ明確に言えることは、コロナ禍のみならずロシアのウクライナ侵攻など、皆さんは大きな歴史的転換点に立ち会っており、新しい世界秩序が模索されるそのただ中で大学生活を送っている、ということである。
時間は万人に平等に与えられている。古今東西、時間に関する警句やことわざ、名言は多い。それだけ、人々は「時間」の重要性と残酷さを意識してきたのであろう。大学生活にも、すぐに終わりはやって来る。必ずしも、アクティブな大学生活を送る必要はない。今クールの全アニメを完全制覇しました、でもよいから、大学生活を満喫している人も、制限の多さに辟易(へきえき)している人も、私のように居心地の悪さを感じている人も、現在しかできない、自分なりの時間の使い方を、今一度考えてほしい。
(Y.T.)
第1120回