保健センター戸山分室 保健師 中條(ちゅうじょう)
集中力は脳の血流量、血糖値、精神状態などに影響を受け変化すると考えられています。今回は、「血糖値」に注目した、集中力を上げる方法を紹介したいと思います。
集中力と血糖値の関係とは?
脳は糖質を消費して働いています。糖質が不足すると、エネルギーが不足し働きが悪くなるため、集中力が切れてきたと感じます。
エネルギー補給のために高糖質なものを摂取すると、血糖値の急上昇を起こしインスリンが大量に分泌されます。しかし、大量のインスリンは血糖値を急下降させるため、結局、血糖値を維持できずに集中できないという事態が起きてしまいます。
更に、大量に分泌されたインスリンは「休息ホルモン」ともいわれており、副交感神経を亢(こう)進させ、眠気や倦怠(けんたい)感を引き起こしてしまうのです。
血糖値を急上昇させずに糖質補給することが、集中力維持・向上のコツ
1.食事は麺類・丼類は控え、小鉢がある定食に
麺類・丼類は、炭水化物も多く早食いになりがちです。早食いは血糖値が急上昇する原因となります。例えば、定食は、おかず一口にご飯二口のイメージで食べてみてください。自然と咀嚼(そしゃく)回数が増え満腹感が得られる上に、血糖値の急上昇を抑えることもできます。
2.順番は野菜ファースト、速さはゆっくり
野菜から食べることで血糖値の急上昇を抑えます。野菜に含まれる食物繊維が、糖質の消化・吸収をゆるやかにしてくれるのです。定食や品数の多い食事の際は、野菜の小鉢やサラダから食べましょう。
また、20分ほど掛けて食事する意識を持つことで、早食いを防ぐことができます。例えば、野菜のおかずを5分、魚・肉などのおかずを5分、最後に炭水化物と残りのおかずを5分などの目安を設定するのも良いでしょう。さらに、野菜類を食べ始めてから炭水化物を食べるまでに、10分以上時間が空いていると、食後の急激な高血糖を防ぐことができますのでぜひ意識してみてください。
3.間食はカカオ70%以上のビターチョコレートを
カカオに含まれるテオブロミンは大脳を刺激し、集中力・記憶力・思考力を上昇させることが期待できます。ビターチョコレートは糖質も低めなので、授業の合間のおやつにピッタリです。ただし、ミルクチョコレートなどは糖質が多いため避けましょう。
最近は、低糖質の食事やおやつが豊富に商品化され、コンビニなどでも手軽に手に入るので、ぜひ活用してみてください。
【参考文献】
・『医者が教える食事術』牧田善二著(ダイヤモンド出版社)
・『できる人の脳が冴える30の習慣』米山公啓著(中経出版)
・「糖尿病における食品の摂取順序による食後血糖上昇抑制効果」(日本糖尿病学会、2009年)
・「砂糖は脳を活性化する」高田明和(独立行政法人畜産産業振興機構、2014年)