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バターがおいしい! 知る人ぞ知る食の都 アイルランド最南端の街・コーク

19世紀、世界最大のバターの輸出地

大学院国際コミュニケーション研究科修士課程 2年 メタカーフ エイミー グレース

「アイルランドから来ました」「アイスランド?」「違います。イギリスの隣にある国です」「それはイギリスではないの?」「…違います。アイルランドです」。来日してからの2年間で、何度この会話を繰り返したでしょう。日本人にとってあまりなじみがないアイルランド。今回は、その国の中のコークという食の都の紹介をしたいと思います。

私の故郷はマンスター地方のコークという街で、アイルランド島の最南端にあります。コークの特徴は、肥沃(ひよく)な土地に恵まれているため、牛の飼育と農業に非常に適した土地であること。そのため、19世紀、コークは世界最大のバターの輸出地でした。現在は、街の北側に「バター博物館」なるものがあることからも、コークがバターに支えられてきた街ということがうかがえます。コークのバターは、牧草肥育された牛のミルクだけを使った“本物”のバター。口に入れた瞬間、ふわっとミルクの香りが鼻に抜けます。地元の人々の毎日の食事にはバターがこれでもかというほど使われます。例えば、コークの名物マッシュポテトには溶かしバターがたっぷり入っていますし、揚げ物はサラダ油やオリーブ油ではなくバターで揚げるのが当たり前。また、新鮮なシーフードをバターとミルクで調理した、シーフードチャウダーもコークの名物。スープには必ず、「ソーダブレッド」というアイルランド発祥のパンを添えますが、これは、バターを作る際に分離してできる無脂肪乳「バターミルク」というものを入れて作るのが特徴。このように、私の故郷の食卓はバターなしには語れないのです。

地元のスーパーの棚にはたくさんのバターが並ぶ。有塩・無塩、ガーリック入り、ソフトタイプなど、種類豊富。そのほとんどが「grass-fed cows」(牧草肥育牛)の表記があり、原料のこだわりがうかがえる

 

アイルランド発祥のパン「ソーダブレッド」。ベーキングソーダ(重曹)とバターミルクを使った、発酵不要のクイックブレッド

コークの素晴らしい食材は、街の中心にある大きな屋根付き食品市場「イングリッシュマ-ケット」で入手できます。市場は19世紀半ばに建てられた美しい建築様式と、地産地消が根付いたオーガニックフードの豊富な品ぞろえの両方が評価されています。街の人々の台所としてだけでなく、観光客がアイルランドの食文化を知る場所にもなっています。マーケットで買い物をした後の寄り道の定番は、街のシンボルタワーである、「シャンドン教会」。ここは、友人にコークを案内するときの私のお気に入りの場所です。鐘楼(とうろう)に登ったり、鐘を鳴らしたり、上から見ると、街の最も素晴らしい景色を見ることもできます。コークは世界最大の都市でも、最も有名な都市でもないかもしれない。でも退屈だという意味ではありません。おいしいものと、素晴らしい人々に満ちている街です。

写真左:コークの住民たちの台所、イングリッシュマ-ケット
写真右:シャンドン教会。「聖アン教会」とも呼ばれる

 

◎アイルランド・コークはこんなところ◎

コークはアイルランド南部マンスター地方にあり、首都ダブリンに次いで2番目に大きな都市。歴史は古く7世紀から教会を中心に発展した。「バター博物館」では、世界最大のバター市場だった貿易の歴史をたどることができる。また、 南西部の入り組んだ半島の作り出す複雑な海岸線、きれいな砂浜、北部の川釣りの名所など豊かな自然に囲まれている。コークの南海岸の港町は、1912年に処女航海で沈没したタイタニック号の最終寄港地としても知られている。

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