現在、子育ての真っただ中である。その中で特に目を見張るのが、子供の学習能力だ。
技術も知識もなく、言葉も理解できないにも関わらず、彼らは学び成長する。「本や他者から学習し、練習を通して、本番に挑む」という大人のやり方ではなく、いつだってぶっつけ本番だ。やってみて、失敗をして泣く。そして泣きながら挑戦し続けて、いつの間にかできるようになる。
この子供の学びこそが、私の研究対象とする企業の創造性の源泉なのだ(ちょっと言い過ぎだが)。既定路線の業務と違い、新奇性を求める場合、さまざまな挑戦をすることで失敗し、学習につなげることが重要だ。トイ・ストーリーで有名なピクサーも、新しいシナリオ制作の段階では、失敗を起こし、何度も改善をすることで質を高める。失敗のない挑戦はなく、必ず失敗を許容しなければならない。
しかし、社会人ともなれば失敗ばかりをするわけにもいかない。失敗の対処方法を磨き、平均的に80点以上を目指す。そしていつしか失敗を恐れ、周りの評価を気にするようになる。ここから創造性の欠如が始まる。
学生であれば失敗は特権だ。がむしゃらに頑張り、失敗して泣けばいい。それこそが真なる学びだ。
子供の好きな番組にこんなフレーズがある。「涙の雨だって過ぎれば虹」になるそうだ。学生はいろんなことに挑戦し、失敗し、泣いて、成長してほしい。君たちの涙こそが、成功へと誘う虹の懸け橋となるだろう。
(T・M)
第1096回