松尾芭蕉も訪れた「出羽三山」で壮大な歴史を感じる
全国早稲田学生会連盟 幹事長
文学部 3年 上林 夢佳(かんばやし・ゆめか)
私の地元、山形県鶴岡市は東北地方の市としては一番広い面積で約1,312㎢あり、山も海も平野もある自然豊かな土地です。さらに日本で唯一「ユネスコ食文化創造都市」にも登録されるなど、魅力がたくさんあります。今回は、そんな鶴岡の山と海について紹介します。
皆さんは「出羽三山」をご存じでしょうか。出羽三山とは鶴岡市を含む庄内地方にある羽黒山・月山・湯殿山の総称です。出羽三山神社では開祖を崇峻天皇の皇子、蜂子皇子(はちこのおうじ)としています。この三山を巡ることは「生まれ変わりの旅」と言われ、俳人・松尾芭蕉も訪れたとされています。

五重塔。高さ29mある現在の塔は、約600年前に再建されたものと言われています
出羽三山の中でも、私が特に思い入れ深いのは羽黒山です。小学生のころに羽黒山遠足という行事があったからです。遠足では、小学校からスタートし徒歩で羽黒山の頂上まで登り、そこから降りて家まで帰ります。石段は2,446段もあるのでとてもつらいものでしたが、その分頂上で食べるお弁当はとてもおいしく感じました。石段には模様や文字が彫られているものがあり、珍しい模様や自分の名前がないかと探しながら歩いていたことを今も覚えています。また、 登り始めてすぐのところには五重塔があります。これは東北地方では最古の塔と言われていて、国宝に指定されています。杉に囲まれて建つこの塔には圧倒されるものがありました。その近くには樹齢1,000年の「爺杉(じじすぎ)」もあり、自然の中で壮大な歴史を感じることができます。
次に紹介するのは、鶴岡市観光に外せない「鶴岡市立加茂水族館」です。この水族館はクラゲが有名で、2012年にクラゲの展示種類数でギネス世界記録に認定されました。常時60種以上ものクラゲが展示されていて、中でも直径5mの水槽に約1万匹のミズクラゲが浮遊するクラゲドリームシアターはとても神秘的です。レストランではクラゲラーメンやクラゲアイスが食べられるので、クラゲを見た後、複雑な気持ちになりながら食べてみてほしいです。

クラゲドリームシアターは必見です
今や年間約50万人が訪れるほどの加茂水族館ですが、私が小学生のときは全く知名度のない、いつ無くなってもおかしくないような水族館でした。そのためクラゲに焦点を当ててリニューアルした現在の加茂水族館の人気に、地元の人たちは一層喜んでいます。都会の生活に疲れたときや自然に囲まれたいときは、ぜひ鶴岡を訪れてみてください。

羽黒山。石段を登るのは大変ですが、自然を感じてリフレッシュできます
◎山形県はこんなところ◎
東北地方の日本海側に位置し、面積は約9,323㎢と全国第9位の広さで、その約7割を森林が占める。県の中央には最上川が流れ、蔵王や月山などの日本百名山に数えられる山々に囲まれている。人口は約106万人(2020年8月1日現在)。その地勢や江戸時代の幕藩体制の名残から、置賜(おきたま)、村山、最上、庄内の大きく四つの地域に区分され、方言や食文化なども少しずつ異なる。東京からは300kmほど、山形新幹線で約3時間の距離。