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コーパスで単語を厳選 早大生が“ミスなく英文が書ける参考書”を出版

「単語をどのように使ったら正解になるのか、明確に書いた本です

政治経済学部 3年 東 皇佑(あずま・こうすけ)

受験やTOEFLなど、英語の試験で、「ライティングの点数が伸びない」と悩んだことはありませんか? 自身も大学受験の際にそんな経験をした、政治経済学部3年の東皇佑さんと舟口力さん。二人は、誰が読んでも違和感のない英文にするには、基本単語のバリエーションを学ぶ必要があると考え、2020年6月に『ライティング力を磨く英単語厳選626』(ベレ出版)を出版しました。初めての参考書出版にあたり、現役大学生として工夫したこと、大変だったことなど、東さんに聞きました。

※インタビューはオンラインで行いました。

――舟口さんと二人で『ライティング力を磨く 英単語 厳選626』を出版した経緯を聞かせてください。

2020年6月25日に発行した東さん、舟口さんの著書(ベレ出版)

舟口とは入学後に必修授業で知り合いました。一緒にご飯を食べに行ったときに受験期の話になり、二人とも英語は得意だったのですが、既存の参考書に「ライティングに特化したものがない」という見解が一致しました。単語をどのように使ったら正解になるのか、明確に書いた本に出合わなかったんです。

自分たちがどうやってライティング力を上げることができたかというと、予備校の先生がまとめたプリントのおかげでした。でも、それはその先生に出会った受験生にしか与えられない知識で、平等に学ぶ機会が与えられていないと思いました。特に、日本人がよく陥るミスをまとめたものがなかったので、「だったら、自分たちで出そう」と考えたのが始まりです。

それから企画書を作成し、参考書専門の出版社へ手当たり次第に電話をかけ、メールで送りました。もちろん最初からうまくいくとは思っていなくて、何らかのフィードバックをいただければ、企画内容をブラッシュアップしていけると考えていました。連絡すらいただけない出版社もあった中で、語学書を専門に出版しているベレ出版の方に興味を持っていただき、そこからはトントン拍子で話が進んでいきました。

――今は教育系のアプリやYouTubeなどもありますが、参考書にこだわった理由は何ですか?

実は、最初は本ではなくアプリを考えていました。ライティングに関して体系化されたアプリを、自然言語処理を用いて開発できないかと…。そこで、先進理工学部の友達に相談したところ、「できるけど、コストがかかる」と言われました。アプリの開発は、外注すると400~800万円かかります。それで採算が取れるビジネスモデルならいいのですが、当時の自分たちにはそのリソースがありませんでした。

また、受験生が勉強でアプリを使うかというと、学習の分野ではまだまだテクノロジーが進んでおらず、自分たちの経験からしても、受験生の多くは単語帳などを使って勉強しているのが実情です。だったら参考書の形がベストだ、それも自費出版ではなく、企画出版であればコストをかけずにできる、という考えに至りました。

――コスト面とユーザー目線を考えたのですね。では、この参考書の特長はどういうところにあるのでしょうか?

「違和感のない自然な英文、ミスのない英文を書く」ことにこだわりました。ネイティブの英語と、文部科学省の学習指導要領で勉強した子どもたちの英語には乖離(かいり)があると思うんです。そこを埋めたいと思っていました。

また、学生の僕たちが出版するにあたり、一番に考えたことは信頼性です。帰国子女でもなく、受験英語において秀でていただけの大学生が、間違えやすい単語を恣意(しい)的に選んでしまうと、実際の試験との差異が生まれます。そこで、客観的データが重要だと考え、大学入試や英語資格試験、またネイティブスピーカーや、インターナショナルスクール生が書いた論文やエッセイでよく使われる最重要単語を、コーパス(※)データを用いて厳選しました。ここは一番工夫した点です。

新聞や論文、Webサイトなどから膨大な量の文章を収集し、データベース化したもの。コーパスを使用すれば、その単語や表現が、実際に英語圏でどのように使われているのかなどを確認できる。

実際に使用したコーバスデータ(クリックして拡大)

さらに、よくあるミスや定型表現、コロケーション(相性の良い単語の組み合わせ)をおさえ、アメリカ人とイギリス人のネイティブスピーカーに査読してもらい、実践できるものばかりを集めました。校正協力として、英語学習の著書も多い、英語パーソナルトレーナーの富岡恵先生に携わっていただき、信頼性、整合性を担保しました。

――大変だったことは何ですか? 出版後、周囲や読者の反応はありましたか?

大変だったのは、初めての出版だったので、本を出すまでの行程が分からなかったことと、参考書ということもあり、長期にわたり確認、修正を繰り返したことですね。原稿作成に着手したのが2018年の12月初旬で、最終稿は本ができる直前の今年の5月までかかりました。

また、当初は30万字くらいの原稿を書いたのですが、本の判型やページ数が決まってから、元原稿から何万字も削ることになったことも大変でした。内容を精査して優先順位をつけたり、コラムとして載せていただくことで妥協点を見つけていったりしましたが、二人で頑張って書いただけに、残念な思いもありましたね。最後まで細部の推敲(すいこう)が続いたので、達成感はありましたが、見本誌が届いたときのことは、意外にも記憶に残っていません(笑)。

赤字やコメントを入れた校正紙

読者の感想はいろいろありますが、主に受験生から、「『よくあるミス』が体系的に掲載されているので、ライティングの自己添削などに役立っている」との意見をいただき、うれしく思っています。周りの友人には事前に伝えてなかったので、出版したことにかなり驚いていたようです。

――本の出版以外で、取り組んでいることはありますか?

ニュース系メディアのサービスを開発・運営したいと思い、昨年から起業の準備をしています。日本経済新聞や朝日新聞、金融メディアなど、有料メディアはたくさんありますが、月額課金が主なビジネスモデルとなっています。その構造が変だなと思い、一記事ごとバラ売りで、何十円、何百円で買えるようなプラットホームを作りたいと考えています。オランダやオーストラリアには既に成功しているサービスがあります。日本にも一部でそういったサービスを展開しているメディアもありますが、エンタメやゴシップ記事がほとんどで、読者が少ないと言われています。そうした問題点を解決した上で、新聞社の外部販売所となり、情報の卸売りとして機能するキュレーションメディアを立ち上げたいと思っています。

早大生は「学術情報検索」で新聞を無料で読むことができますが、一般的に、新聞を購読していないといわれる35歳以下をターゲットに、サービスを展開していきたいです。

――最後に今後の目標を教えてください。

春学期は、家業を手伝うために休学していますが、秋学期から復学する予定です。早稲田には政治やジャーナリズムの素晴らしい先生方がそろっているので、きちんと授業を受けて知識を蓄え、アカデミックな経験を積んでいきたいと思っています。

あとは、ニュースメディアのサービスを法人化させることです。先進理工学部と創造理工学部の友達2人に協力を仰いで開発を進めていますが、2人とも優秀なエンジニアなので、この1年でリリースできる段階までいくことを目標に頑張っていきたいです。

第764回

【プロフィール】
東京都出身、郁文館高等学校卒業。海外の映画やヒップホップが好きで、英語圏への憧れから高校2年次に、ニュージーランドに10カ月間、フィリピンとシンガポールにそれぞれ1カ月間、計1年間留学した。早稲田大学に入学したのは、「見学に行ったときに、大隈記念講堂や建物が魅力的で、キャンパスがきれいだと思ったから」と話す。
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