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競技人口世界2位のクリケット 野球とは違う楽しさとマイナーゆえの苦労

「まずは活動再開後、体験練習に来てほしいです」

公認サークル「ワイヴァーンズ クリケットクラブ」
幹事長 教育学部 3年 涌田 裕介(わくた・ゆうすけ)
女子チームキャプテン 商学部 3年 水野 菜月(みずの・なつき)

(左から)涌田さん、水野さん。サークル名の「ワイヴァーンズ(Wyverns)」は、クリケットの母国イギリスの紋章などに見られる図像の一つ、Wyvern(飛龍)に由来している

聞いたことはあるけれど詳しくは知らない人が多い、野球に似ているスポーツ、クリケット。日本ではマイナースポーツに分類されますが、イギリスやオーストラリア、インドをはじめ、世界ではサッカーに次いで競技人口2位の人気スポーツです。公認サークル「ワイヴァーンズ クリケットクラブ」のメンバーも、そのほとんどが大学からクリケットを始めたそうですが、男子チームは2018年度、2019年度と「全日本学生クリケット選手権」で2連覇を果たしています。今回は幹事長と女子チームのキャプテンに、クリケットの野球との違いや楽しさ、苦労などを語ってもらいました。

※インタビューはオンラインで行いました。

――お二人とも大学に入学してからクリケットを始めたそうですね。なぜ他のスポーツではなく、クリケットを選んだのでしょうか?

全日本学生クリケット選手権決勝戦で打席に立つ涌田さん

涌田

僕はもともと野球をやっていたので、初めは野球サークルを探していました。新歓ブースで野球サークルの説明を聞き終え、他のブースへ行こうとしていたところに、隣のブースにいたワイヴァーンズの人から声を掛けられたんです。説明を聞いてみたら意外と面白そうだと思い、体験練習に参加すると、ベタ褒めされてそのまま入会しました。今思えば、それが作戦だったのかもしれません(笑)。

水野

私は小中高とそれぞれ違うスポーツをしていて、大学でも何か新しいスポーツを始めたいと思い、新歓を回っていました。ワイヴァーンズの体験練習では、ゴルフのように地面に置いたボールを打つだけでも空振りするくらい下手でしたが、それでも先輩方がとても優しく教えてくれて、練習も楽しかったので入会を決めました。実績がある強いサークルで、上を目指せるかなと思ったのもワイヴァーンズを選んだ理由です。

――クリケットは野球と似ていると聞きますが、どのような違いや魅力がありますか?

(写真左)打者はヘルメットや防具を装着
(写真右)2018年度全日本学生選手権決勝戦(女子)の様子

涌田

クリケットのルールは難しく、簡単には説明しづらいのですが、野球との大きな違いの一つに、「打者はアウトになるまで打ち続けられる」ことがあります。僕も昨年の関東予選では、一人で70得点しました(※1)。上達するとアウトをうまく回避することができるので、長く打ち続けられるところが楽しいです。

※1 得点ルールの詳細は日本クリケット協会Webサイト参照。

水野

私はミスもチャンスにつながるところが、クリケットの魅力だと思います。野球でいうファウルゾーンがクリケットにはないんです。例えば、バットの端に当たって斜め後ろの方にボールが転がってしまったり、ホームランなどを狙って打ち損じたりしても、走れば即得点につながるところが他のスポーツと違って面白いですね。

涌田

野球は打ったら必ず走らなければいけないですよね。でもクリケットは、ボールが守備の正面に転がってしまうような凡打の場合でも、「これはアウトになりそうだぞ」と思ったら走らず、また次の球を打てるんです。球数制限による攻守交代はありますが、最長だと1時間半くらい一人で打ち続けられることもあります(※2)。

※2 1チーム11人だが、投手の球数制限により打者が11人全員回り切らない試合もある。

――では逆に、クリケットをやっていて苦労するところは?

涌田

試合時間が3時間以上と長いので、夏場は暑くて大変ですね。60球ごとに水分補給を目的とした休憩はありますが、長時間の試合に耐える体力が必要です。あとは、国際クリケット場のある栃木県佐野市や静岡県富士市まで行かないと、思い切りクリケットをできる場所がないんです。普段の練習は江戸川の河川敷や陸上競技場の人工芝で行っています。

国際クリケット場には打撃練習をできるスペースもあり、平時には月1回ほど練習に行くこともある

水野

私も一つは同じく、すごく体力が必要なところです。アウトになるまで何回も同じ人が打てるので、その分、打つ度に走らなければいけません。もう一つ、これは野球との一番の違いだと思うのですが、クリケットではグローブを使用しないんです。大きさも硬さも野球と同じくらいのボールを素手で取らなければいけないんですね。私は中学時代にソフトボールをやっていたので最初はそこに驚いて、慣れるまでは戸惑いました。今でもフライを取るときは、正直痛いです(笑)。

――昨年9月に行われた「令和元年度全日本学生クリケット選手権チャンピオンズウィケット2019 in 昭島」で、男子チームは見事二連覇を達成されました。強さの秘訣(ひけつ)はどんなところにあるのでしょうか?

涌田

どの大学も入学前からクリケットをやっていた人はほとんどいないので、スタート地点はほぼ同じですが、ワイヴァーンズはOBの先輩と一緒に社会人リーグにも参加していることが大きいかもしれません。社会人の大会には、クリケットが盛んなインド人の日本在住チームなども参加します。OBの先輩方から練習を教わり、うまい人たちと試合をすることで上達してきたと思います。また、週3回の定期練習以外にも、LINEで声を掛け合って自主練をしていた成果も出ました。この春に卒業した先輩の中には、日本代表として活躍している選手もいます。

「令和元年度全日本学生クリケット選手権」決勝戦終了後、優勝カップと共に

――サークルの現在の状況を教えてください。オンライン新歓活動などは行っていますか?

涌田

例年であれば、新歓でビラを配って「取りあえず練習に来て!」と誘っていました。クリケットは他のスポーツと違って、やってみないと分からないスポーツなので、今年はかなり厳しいです。例えば、SNSなどでサークルを探す場合、野球をやりたかったら「野球」という検索ワードを入れて探しますよね。でも、クリケットは存在自体を知らない人が多くて、まず検索してもらえません。Zoomでの新歓も行い、興味を示してくれた数人とは連絡を取り合っていますが、活動再開後に再度告知をして、体験練習に来てもらいたいと思っています。

2019年の新歓活動の様子(左が涌田さん、右が水野さん)。野球やソフトボールなどをやっていた人はもちろん、初心者も歓迎している

水野

女子チームも同じような状況です。実は、昨年秋の代替わりで人数が減ってしまい、今シーズンは中央大学との混合チームで戦うことになりました。2大学合わせても十数人なので、今はZoomでミーティングという名の近況報告をし合って仲良くやっています。

涌田

自主練や筋トレなどは各自でやっていますが、男子も仲が悪いわけではないですよ(笑)。普段の練習や新歓合宿(今年は中止)などのイベントも、基本は男女一緒に楽しくやっています。

江戸川河川敷での練習後(2019年撮影)

――最後に、サークルとしての今後の目標を教えてください。

涌田

今シーズンは夏休みから予選が始まることが決まり、9月20日(日)に決勝戦が行われる予定です。例年より練習期間は短くなってしまいますが、自分たちの代でも優勝し、三連覇を達成したいです。

水野

女子チームは、一昨年は全日本学生選手権で準優勝できたものの、昨年は関東学生選手権3位という結果に終わってしまいました。今年は中央大学の選手と共に関東で優勝して、日本一も目指したいと思っています。

第761回

【プロフィール】
涌田 裕介:神奈川県出身。県立湘南高等学校卒業。全日本学生クリケット選手権には1年次から出場。2年次には投手として相手チームの主力打者を打ち取って優勝に貢献できた一方、打者としては活躍できなかったことが悔やまれると語る。教育学部では数学科に在籍し、ゼミでは量子アルゴリズムに関する英語の文献を読み進めているそう。日向坂46のファン。

水野 菜月:愛知県出身。県立豊田西高等学校卒業。商学部の箇所間留学で、2019年9月からフランス・パリに留学していたものの、新型コロナウイルス感染症の拡大により、2020年3月に帰国。現在は実家で生活しながら、単位非参入でゼミ(国際貿易と経済学)や関連項目を受講中。合間には兼業農家の祖母の畑を使って、夏野菜やスイカ、メロンなどを育てているという。

ワイヴァーンズ クリケットクラブ:1990年創設。「令和元年度全日本学生クリケット選手権チャンピオンズウィケット2019 in 昭島」男子優勝が評価され、2019年度「早稲田学生文化賞」を受賞。
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