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「当たり前」を問い直す:文化人類学研究の日々

人類学はどこでも、誰でもできる学問

大学院文学研究科 修士課程 2年 矢作 珠子(やはぎ・たまこ)

私は文化人類学を専攻しています。――と言うと、たいていの場合「文化…を研究しているの?」と返されます。「文化」という漠然とした概念と、「人類」という壮大な対象を合体させてしまったのですから、当惑されるのも無理はありません。実際、人類学といっても、医療人類学、開発人類学、観光人類学、教育人類学、経済人類学、言語人類学、宗教人類学…などなど、そのジャンルは多岐にわたっています。文化人類学とはそれらの総称であり、とても射程範囲が広く、自由度の高い学問です。

コース室入口。印象的な展示物のおかげで、決して部屋を間違えません(笑)

人類学者の多くは海外で調査をしていますが、私は日本国内で生活しているイスラーム教徒(ムスリム)の方々を対象として、「文化」理解をテーマに研究をしています。私がこのテーマに関心を持ったきっかけは、別のテーマを構想しながら都内のモスク(イスラーム教の礼拝施設)で調査を行っていた時のことでした。ムスリムの方に私が文化人類学を専攻していると告げると、「あぁ、宗教と文化は違うからね」と応じられることを幾度も経験したのです。宗教と文化は違うのでしょうか? 人類学の古典的な定義では、宗教は文化の一分野として位置付けられています。しかし、まさに信仰によって宗教施設を訪れている人々から、「違う」と言われてしまったのです。

そこから、彼らがどのように、また、なぜ両者を区別しているのか、そして、彼らの「文化」理解と、日本社会の一般的な「文化」理解とのズレが、彼らの生活にどのような影響を及ぼしているのか、という問いが生まれました。まだ調査は半ばですが、彼らが直面している葛藤を通して、日本社会の在り方を見つめ直したいと考えています。

インド研修旅行時。壁の文字はイスラームの神アッラーを表しています

このような調査活動をしている私ですが、以前から人類学に関心があったわけではありません。むしろ、人類学の主要な調査手法であるフィールドワーク(参与観察)のように、積極的に人と関わっていく作業には苦手意識を抱いていました。ところが、面白い授業やゼミ、人々に出会い、導かれるうちに、気が付けば人類学に行き着いていました。思い返してみると、学問そのものの興味深さもさることながら、そこに関わる人々の魅力が私をこの道に誘ってくれたように思います。

私は、人類学はどこでも、誰でもできる学問だと考えています。なぜなら、人類学的な気付きや学びの機会は日常の生活に潜んでいるからです。それは、大学のキャンパスの中でも、遠い異国の地でも変わりません。「他者」との違いに出合ったとき、「文化の違い」で片付け、距離を置こうとするのではなく、むしろその中に飛び込んでいって、何が/なぜ「違う」のかと問い、小さな違和感を追求する営み、それが人類学です。これは、相手の「当たり前」を否定しようとする自分の「当たり前」を問い直すことでもあります。私はこれまで、そのような人類学的思考と探求心が、知見を広め、人生を深めてくれることを実感してきました。だからこそ、これから先どんな道を歩んだとしても、「いつも心に人類学!」を目指したいと思います。

(写真左)コース室。壁2面分の本棚には、多様なジャンルの学術書がずらり。壮観です
(写真右)室内の備品。箱の中には、国籍・用途・所有者不明の品々が多数

ある日のスケジュール

飼育しているカメの“まろ”

  • 07:00 起床・身支度・カメの世話など
  • 09:00 登校
  • 10:40 コース室にて自習・論文執筆等(多くの時間を過ごすコース室は、研究室兼憩いの場です)
  • 12:00 昼食(夏休み明けのコース室には、世界各国のお菓子が溢れています)
  • 13:00 授業・学内バイト(TA、LA、学生生活課SJC学生スタッフとして活動中)
  • 18:30 下校
  • 20:00 帰宅・夕食
  • 21:00 入浴など
  • 23:00 就寝
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