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発電効率の常識を覆す「夢の原子炉」研究に捧げた3年間

発電効率・ウラン資源利用の限界を超える「スーパー高速炉」研究

大学院先進理工学研究科 修士課程 2019年3月修了
野田 昇吾(のだ・しょうご)

「原子力発電」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか? 多くの方々は福島第一原子力発電所の事故を思い浮かべると思います。しかし、福島での事故以前から、原子力発電には安全性以外にもいくつかの課題が挙げられていました。一つはこれ以上発電効率を上げられないという点、もう一つは安いウラン資源はあと数十年しか調達できないという点です。

原子力発電の世界では、約半世紀をかけて発電効率を33%から35%まで向上させましたが、これ以上の効率向上は困難と言われています。私の研究はこの常識を打ち破り、安全であることを大前提に、発電効率を一気に44%以上に高めるという研究です。しかも、ウラン資源の利用効率を従来の約100倍にする“夢の原子炉”、それが私の研究している「スーパー高速炉」です。“スーパー”というのは「性能が高い」という意味もありますが、原子炉の冷却材に用いる「supercritical water(超臨界圧水)」が語源となっています。

研究室でのディスカッションの様子(右が筆者)。優秀な後輩たちに恵まれ、議論がはかどります

私の研究では、2種類のシミュレーションを通じてスーパー高速炉の解析研究をしています。一つは燃料を入れる炉心を設計する研究、もう一つはプラント全体を模擬して事故時の解析をする研究です。これらの研究の魅力は、自身の勉強や発想を生かした設計をしながら、発電効率やウラン資源利用の限界といった常識を打ち破る経験ができること、また、プラントという大型設備の挙動を体感できることです。

一方で、複数の解析プログラムの使い方やプラント全体の理解を深める必要があり、多種多様な知識が求められることから、専門家との議論が重要です。そのため、研究室で指導を受けることに加えて、インターンシップという形でアメリカやスペインに滞在し、海外企業の専門家の方々のサポートを受けながら研究を進めました。普段経験できないような異国の地での研究生活は、さまざまなバックグラウンドの方々から刺激を受けることができ、公私共に自身の糧となる貴重な経験となりました。こうして生み出した研究成果が、学術雑誌や国際学会などで価値のある研究として認められたときは、一人前の研究者の仲間入りをしたようで非常にうれしかったです。

初めての学会での発表の様子。専門家の方々からさまざまなご意見を頂く貴重な場となりました

もともと私がこの研究を選んだのは、産業の根幹を支える分野として、幼い頃から興味のあったエネルギー産業の課題解決に貢献したいと考えたためです。3年間の研究生活を通じて、エネルギー分野の幅広さ・奥深さを理解するとともに、より一層その課題解決に取り組みたいと感じました。4月からエネルギー業界に勤めることになりますが、この初心を忘れず、日本・世界経済を支える一翼を担いたいと思います。また、私がこれまで取り組んできたスーパー高速炉の研究が、将来のエネルギー業界、産業を支える礎となることを願っています。

(2019年3月執筆)

ある日のスケジュール(在学時)
  • 08:30 起床・新聞の閲覧など(エネルギー業界専門の新聞を読むことが最近の趣味の一つです)
  • 09:30 朝食
  • 11:00 登校・メールチェック・雑務
  • 12:00 昼食・雑談
  • 13:00 ゼミ(研究室全体のゼミでは留学生とのディスカッションのため、英語のスライドで発表します)
  • 15:30 論文勉強・ディスカッション・雑談(プラント全体の解析には、モデル検討のディスカッションは欠かせません)
  • 19:00 プログラム編集・インプット作成
  • 24:00 帰宅・夕食など
  • 25:30 就寝

    研究室のデスク。デスクトップPC、ノートPC、ワークステーションと、複数のコンピュータを使っています

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