皆さんは学生食堂(通称、学食)を利用したことがありますか? 早稲田大学には所沢キャンパスを含め6店舗の学食があります。これから初めて学食を利用する新入生にも、これまであまり利用してこなかった在学生にも、学食の魅力を知ってもらうべく、公認サークル「学食研究会」のメンバーが、お勧めメニューや各食堂の特徴、利用法などをナビゲート。また、早稲田大学生活協同組合(通称、生協)の職員に聞いた、知っているようで意外と知らない学食の豆知識も紹介します。「お昼どうする?」と迷う自分にさようなら。ようこそ、あなたの知らない学食の世界へ!

写真左から、折原さん、佐々木さん
「学食研究会」幹事長・副幹事長が熱く語る 早稲田大学学食の魅力とは?
公認サークル「学食研究会」
幹事長 社会科学部 3年 折原 宏太(おりはら・こうた)
副幹事長 政治経済学部 3年 佐々木 陽向(ささき・ひなた)
今回登場する公認サークル「学食研究会」は1999年に設立された日本初の学食研究サークルで、早大生はもちろん、他大学から集まった学食好きのメンバー約60名が在籍しています。主な活動は関東圏の大学の学食巡り。各学食の特徴をSNSで随時発信しています。幹事長の折原さんと副幹事長の佐々木さんは、「一番の楽しみは、学食のメニューを分析し、メンバー同士で語り合う時間」と言います。そんな二人が西早稲田キャンパスの学食「理工カフェテリア」に集合。自身の定番メニューや気になるメニューを食レポします。

ズラリと並んだ学食メニュー。いざ実食!
――これまで食べ歩いた他大学の学食と比較して、ズバリ、早稲田大学の学食の特徴とは何でしょう?
折原
いい意味で「特徴がないのが特徴」だと思っています。どのメニューも安心・安定のおいしさという意味で、もちろん褒め言葉です(笑)。大学によっては、他大学との差別化を図るために攻めたメニューを前面に押し出し、定番メニューの味はイマイチ…ということもあるのですが、早稲田大学のメニューは比較的オーソドックスなものが多く、限定メニューも定番メニューも丁寧に考えられている印象です。

理工カフェテリアメニューの一部
佐々木
変わったメニューが少ない分、ハズレもないですよね。何が食べたいか分からないときも、そこに行けば必ず食べたいものが見つかるのが早稲田の学食。時期によっては「沖縄フェア」や「中部・東海フェア」といったイベントもあり、メニューが充実していて飽きないし、量も多いので満足度は高いです。また、他大学に比べて副菜の種類が圧倒的に豊富なので、オリジナルの定食をカスタマイズする楽しみもあります。

写真奥から時計回りに、きんぴらごぼう、 ひじき煮、オクラのお浸し。全て一般価格73円、組合価格66円(共に税込み)。副菜で自分好みの定食をカスタマイズするのがツウな楽しみ方とか
生協の山崎さんの豆知識①副菜と栄養バランス
最近は学生のうちから健康に気を使う人が増えたのか、副菜の小鉢でバランスを調整している人が多いですね。食堂のレシートには、選択したメニューのエネルギー量や塩分量のほか、栄養の働き別に「赤・緑・黄」の食品グループに分けた3群点数法による栄養バランス点数が表示されているので、そちらも食生活を考える上でご活用ください。
早稲田大学生活協同組合職員 山崎陽介さん。現在は理工カフェテリアのメニュー企画・調理などを担当している。「Twitterやアンケートに寄せられた意見を反映することも多いので、食べてみたいメニューがある方は投稿をお待ちしております」
――「これを頼めば間違いない!」という鉄板メニューを教えてください。
折原
僕のオススメは「ロースカツ(胡麻入りソース)」と「大ライス」、「みそ汁」を組み合わせたオリジナルの定食です。内容がほぼ同じの「ソースカツ丼」(※販売終了)を頼むよりも、カツとライスを分けて注文した方が若干値段が安くなるという、学生には大助かりの裏技を発見して以来、こればかり食べるようになりました。ボリュームも満点なので、昼からガッツリ食べたい方は試してみてほしいです。
佐々木
私は「ヒレカツカレー」が鉄板メニューです。早稲田大学のカレーは甘口なのですが、ルーに溶け込んだ野菜やスパイスの味がしっかり利いていて、だれでも食べやすいと思います。柔らかいヒレカツだけでも十分満足できますが、副菜の「オクラのお浸し」や「きんぴらごぼう」をトッピングしてオリジナルカレーを作るのもお勧めです。
写真左:ロースカツ(胡麻入りソース)。一般価格391円、組合価格352円(共に税込み)。豚ロースを丁寧に揚げたカツに、濃厚なソースがたっぷり
写真右:ヒレカツカレー (中)。一般価格489円、組合価格440円 (共に税込み)。これを食べておけば間違いない、学食の定番メニュー
折原
あまり知られていないけれど、食べたら意外とおいしかったメニューも多いです。副菜の「薩摩ハーブ鶏のレバー煮」はしょうが風味の本格的な味付けで絶品。88円(税込み※組合価格)で産地にこだわったブランド鶏を使ったメニューを食べられるのが魅力的ですね。佐々木さんが最近ハマっているメニューは?
佐々木
「バンバンジー豆腐」は最近よく食べています。胡麻ダレがアクセントになっていてクセになります。何より、豆腐とささみでタンパク質がたっぷり摂取できるのがうれしいです。
写真右:薩摩ハーブ鶏のレバー煮 。一般価格98円、組合価格88円(共に税込み)。照りっ照りに炊かれた国産のレバーが食欲を刺激
写真左:バンバンジー豆腐。一般価格147円、組合価格は132円(共に税込み)。ヘルシーなのにボリュームもあり、 メインにも副菜にも
――折原さんから「ロースカツ」、佐々木さんから「ヒレカツカレー」の話がありましたが、早稲田大学の学食は揚げ物が特においしいのですか?
佐々木
そうですね。メニューに悩んだらカツを頼んでおけば間違いないと思います。最近だと西早稲田キャンパスにある理工カフェテリア限定の「リコチキ」に注目しています。揚げたての柔らかいチキンにしょうゆが効いた和風の味付けで、おかずとしてもおやつとしても大活躍です。
折原
僕は「白身フライタルタル」もよく食べますね。白身魚の淡泊な味わいをサクサク衣とタルタルソースが引き立ててくれています。普段はついついお肉ばかり食べてしまうので、魚の栄養分をしっかり取れる点もありがたいです。
写真左:リコチキ。一般価格186円、組合価格167円(共に税込み)某コンビニ越えのおいしさ! 理工カフェテリア限定の超人気ホットスナック
写真右:白身フライタルタル。一般価格293円、組合価格264円(共に税込み)。タラの白身フライとさっぱりしたタルタルソースの相性が抜群
生協の山崎さんの豆知識②揚げ物のこだわり
学食を作るうえで心掛けているのは、温かい料理を学生に食べてもらうことです。そのため、揚げ物は全て食堂のキッチンで調理し、なるべく作り置きすることなく揚げたてのものを提供しています。もちろん、「リコチキ」も冷凍の生肉を食堂で仕込んでから揚げています。「リコチキ」は、何かとパソコンを使うことが増えたコロナ禍において、片手で簡単に食べられるメニューを学生に提供したいと思って考案しました。
「学生に家庭料理のような温かい食事を提供したい」という思いから、多くを作り置きせずなるべく揚げたてを提供している。写真はヒレカツカレーのカツ。油も新鮮!
――理工カフェテリアの限定メニューは「リコチキ」以外にもあります。その一つが「大隈ライス」。佐々木さんは今回初めて食べたとのことでしたが、お味はいかがですか?
佐々木
とろとろの牛肉と玉ねぎにシャキシャキの生野菜、マヨネーズ、ライスのバランスが絶妙で、間違いのないおいしさです。ワンプレートでお肉と野菜が取れるのも、時間がないときに便利。
折原
分かりやすく言えば、マヨネーズのかかった焼き肉弁当という感じですね。ただ、玉ねぎ、レタス、キュウリ、トマトと野菜がかなり多いので、カロリーへの罪悪感を打ち消してくれます。

大隈ライス。一般価格550円、組合価格495円(共に税込み)。 牛肉のうま味と野菜のみずみずしさが味わえる、佐賀県発祥の新たな早稲田名物
――二人は学食でスイーツを食べたことがないとか。新メニューの2種類のケーキを用意しました。ぜひ試食してみてください。
折原
132円(税込み※組合価格)でこのクオリティーのケーキが食べられるとは驚きです! コンビニでも300円くらいしますよね。「キャラメルナッツショート」はナッツの歯応えがアクセントになっています。
佐々木
「苺&ラズベリームース」はムースの濃厚さとフルーツの甘酸っぱさがよくマッチしています。ケーキ屋さんのケーキと比べても劣らないレベルです。コーヒーとの相性も良さそうですね。

写真奥から、キャラメルナッツショート、苺&ラズベリームース。全て一般価格147円、組合価格 132円(共に税込み)。どちらのケーキも層によって異なる味や食感を楽しめる工夫が凝らされている
――生協が運営しているため、どのキャンパスの学食も基本的にメニューは共通ですが、学食ごとの特徴はありますか?
折原
西早稲田キャンパスの56号館にある理工カフェテリアは先ほどから話しているように、「リコカツ」や「大隈ライス」といった限定メニューが多い点が魅力です。ソファ席がたくさんあって、くつろげる設計になっており、僕はここに来たら絶対に隅のソファ席を陣取ります! 西早稲田キャンパスにはもう一つ、63号館に「63(ロクサン)Cafe」というテイクアウトメニューに特化した食堂もあります。
写真左:理工カフェテリア。壁面にソファ席がズラリと並ぶ
写真右:採光のある気持ちの良いソファ席
佐々木
友達と長居しておしゃべりするなら、戸山キャンパスの「戸山カフェテリア」です! テラス席は本当のカフェのようなおしゃれな雰囲気で、これからの季節は特にお勧めします。また、穴場的な「生協グランド坂食堂」は、こじんまりしていてレトロで昭和な雰囲気。妙に落ち着きます。
折原
所沢キャンパスの「所沢食堂」は、学内で一番広く、開放感抜群の食堂です。僕個人の調べでは、体育各部の学生が多いキャンパスであるからか、盛り付けてくれる料理の分量も一番多いような気がします(笑)。
写真左:戸山カフェテリアのテラス席。屋根付きで天候にかかわらず楽しめる
写真右:折原さんイチ押し、天井が高く開放感あふれる所沢食堂
佐々木
早稲田キャンパスの「大隈ガーデンハウス」は規模の割に利用人数の多い食堂ですが、「スピードシート」という立って食事できる席があるなど、混雑を解消するような工夫がされています。コロナ禍以前は、鉄板に乗ったアツアツのグリルメニューが人気だったらしく、復活を熱望しています。
折原
自分の通っているキャンパスの学食にしかなじみがない人がほとんどだと思いますが、各食堂を巡ってみれば、新しい魅力を発見できると思います。
――新入生やあまり学食を活用していない学生に一言お願いします。
折原
入学当初に数回学食を利用しただけで離れてしまった人もいると思いますが、通い続けているからこそ見えてくるものもあります。例えば、メニューが定期的に入れ替わっていたり、フェアを開催している時期もあったりと、食堂に行くたびに発見があります。
佐々木
早稲田大学の周辺には“ワセメシ”で有名な飲食店がたくさん立ち並んでいて、私もラーメンが食べたいときなどは早稲田の有名店に足を運びます。でもやっぱり、安心面とコスト面では学食に勝るものはないと思っています。
折原
まずは学食に興味を持ってもらって、さらに知りたいと思った人は、「学食研究会」のTwitterをフォローしたり、一緒に活動してもらえたらうれしいです。新入生はもちろん、コロナの影響でまだサークルに入っていない2、3年生も大歓迎ですよ!
学食研究会の2022年新歓アカウントはこちらから
生協の山崎さんの豆知識④学食の楽しみ方
学生が増える4月ごろは、学食の混雑を防ぐためにメニューを絞って営業しています。折原さんのコメントにある「入学当初に数回学食を利用しただけで離れてしまった人」というのは、この時期に「学食ってこんなものか」と早合点したのかもしれません。人数が少し落ち着き始める6月ごろから、フェアを開催することも多いので、珍しいメニューを食べたい方はこの時期が狙い目です。
また、生協の会員になると、メニューの全てが組合価格で購入できるので、新入生の皆さん、ぜひ入会をお勧めします。
※各キャンパスの学食データはこちらから
取材・文:上垣内舜介
撮影:小野奈那子
番外編 キャンパス内のキッチンカーやベーカリーカフェも利用しよう
キャンパス内には学食以外にも、焼き立てにこだわるベーカリーや日替わりで和洋中が楽しめるキッチンカーなどがあり、その日の気分でランチを選ぶことができます。選択肢の一つとして覚えておくと、ランチタイムがよりバラエティ豊かに!
1.西早稲田キャンパス キッチンカー
写真左:2022年春学期の出店スケジュール(※クリックして拡大)。授業実施日の11時30分~14時頃(14時以降営業する店舗もあり)、63号館前と中庭に日替わりでキッチンカーが出店する
写真右:中でも人気の「カフェハウオリ」のチキンオーバーライス600円(税込み)
2.戸山キャンパス 「ミルクホール」
写真左:31号館地下階にあるベーカリーカフェ。パンの焼き上がり時間は10時30分と12時頃で、授業時間に合わせて時間を調整しているそう
写真右:ランチタイムに人気の「ベーコンポテトドック」210円(税込み)。じゃがいも、ベーコン、チーズのフィリングがぎっしり詰まったボリュームのある一品
3.所沢キャンパス キッチンカー
写真左:授業実施期間の火・水・金曜日11時30分~13時30分頃に100号館の守衛室前に出店。※業者都合により急遽出店しない場合がある。出店の有無については「SHOP STOP」アプリで確認を。詳細はこちら
写真右:「willow kitchen」スパイスカレー750円(税込み)は中でも人気。アウトドア好きなフレンチ出身の料理人が、化学調味料を使わずに食材を生かした調理を心掛けている
【次回フォーカス予告】4月11日(月)公開「体育各部特集」