「学生三大駅伝3冠」(※)を目指して2021年度のシーズンをスタートした早稲田大学競走部。しかし、10月の「第33回出雲全日本大学選抜駅伝競走(以下、出雲駅伝)」、11月の「第53回全日本大学駅伝対校選手権大会(以下、全日本大学駅伝)」はともに6位という結果に終わり、残るは2022年1月2、3日開催の「第98回東京箱根間往復大学駅伝競走(以下、箱根駅伝)」に。今回の箱根駅伝特集では、駅伝主将・千明龍之佑選手、中谷雄飛選手、太田直希選手(いずれもスポーツ科学部4年)の“令和の早稲田三羽がらす”へのインタビューに続き、次期エース候補とされる井川龍人選手(スポーツ科学部3年)と菖蒲敦司選手(スポーツ科学部2年)の対談をお届けします。
(※)出雲駅伝、全日本、箱根駅伝の3大会を学生三大駅伝という
「“箱根優勝”で4年生に気持ちよく卒業してもらいたい」
スポーツ科学部 3年 井川 龍人(いがわ・りゅうと)
スポーツ科学部 2年 菖蒲 敦司(しょうぶ・あつし)

(左から)菖蒲選手(山口県出身、県立西京高等学校卒業)、井川選手(熊本県出身、九州学院高等学校卒業)
――箱根駅伝での活躍はもちろん、その先の競走部を引っ張る存在として期待されている2人。まずは、お互いのいいところを教えてください。
菖蒲
そうですね。井川さんは…かっこいい、優しい、速い。
井川
内容薄っ! もうちょっとあるでしょ(笑)。まあでも、菖蒲のいいところは、こんな風に慕ってくれるところです。
菖蒲
九州の先輩ですからね。あとは、ちゃんと自分の意見を持っていて…。
井川
いやいや、君、山口出身! 九州ちゃうでしょ(笑)。
菖蒲
いいじゃないですか。近いんですから仲間に入れてください! 井川さんといえば、やっぱり競技と私生活のギャップです。井川さんと行動を共にしていると、一緒にいる僕まで怒られるのでは、と思うほどの“おふざけ”ばかり。でも、いざ競技となればみんなを引っ張ってくれますし、しっかりしているなと感じる部分が最近どんどん増えてきて、尊敬しているんですよ。
――そんな井川選手は4月に1万メートルで27分台をマーク。記録を出せた要因は?
井川
記録を出した競技会は、当初ワールドユニバーシティゲームズ(旧ユニバーシアード)代表選考も兼ねていたので(※)、日本代表に入りたいとモチベーションを高く持って臨めたのがよかったのかなと思います。また、目標とする(太田)直希さん、中谷(雄飛)さんも3年生のときに27分台を出していたので、僕もそれに続きたい気持ちがありました。
(※)FISUワールドユニバーシティゲームズ(2021年/成都)の大会延期に伴い、代表選考会の冠は外された。
――井川選手は次が3度目の箱根駅伝。入学前と比べ、箱根駅伝に対するイメージはどう変わりましたか?
井川
箱根駅伝は、長距離選手なら誰もが憧れるような華やかな舞台。ただ、単純に「箱根で走る」ことは達成できても、それ以上を求めるとなると、1年のときは全然走れなかったですし(3区14位)、2年でも区間賞を狙いながらとれなかった(1区5位)。結果を出すにはもっともっと努力が必要だと感じています。

第96回箱根駅伝(2020年1月)。井川選手は1年生で初の箱根を経験。3区を担当し、4区の千明選手へたすきをつないだ(写真提供:日刊スポーツ/アフロ)
――菖蒲選手は箱根駅伝未経験。先輩たちが走る姿を見て思うことは?
菖蒲
やっぱり、箱根駅伝は大学スポーツの中でも特に注目される大会です。前回は骨折してメンバーから外れてしまいましたが、その分、箱根を走りたい気持ちはより強くなりました。
――では、今シーズンの目標は?
井川
まずは、目標としていた1万メートルで27分台を出すことができ、「速さ」の点ではクリアできました。ただ、今シーズンはトラックでは表彰台、駅伝では区間賞を目標に掲げながら、まだどちらも達成できていません。残すは箱根駅伝だけなので、やっぱり区間賞をとりたいですね。
菖蒲
昨年1年間でスピード強化は図れたので、今シーズンはそのスピードを1,500メートル、5,000メートル、3,000メートル障害、1万メートルまでつなげていく意識で一つ一つのレースを走ってきました。その上で、駅伝は早稲田大学として「チームでの勝利」が求められるので、そこは箱根駅伝で達成しなければ、という気持ちです。

第33回出雲駅伝。写真はスタート直後、出雲大社正面鳥居前の様子。1区の菖蒲選手はトップと4秒差の2位を記録。2区の井川選手にたすきをつないだ(写真提供:共同通信社)
――最後に、箱根駅伝までに伸ばしていきたい点を教えてください。
井川
箱根駅伝は他の駅伝よりも1区間の距離が長くなるので、ここからしっかり距離を踏んでいきたいですね。また、チームとしては、設定したペースよりも後半にスピードを上げて走り終える人が増えてきています。チームのみんながその流れに乗ってくれば雰囲気も良くなるし、走る力自体ももっとついてくるのかなと思っています。
菖蒲
僕は昨シーズンに骨折してしまった反省も踏まえ、一番はけがをしないように練習を組み立てなければと思っています。そこから先は練習の質をどんどん上げていく。今シーズンは4年生も強いですし、3年生も井川さんを中心に練習を引っ張ってくれる頼もしい存在が多いので、僕はついていくだけで強くなれるかなと。箱根駅伝では絶対に優勝して、4年生に気持ちよく卒業してもらいたいです。

箱根駅伝への決意について色紙への一筆をお願いしたところ、2人で相談の結果、菖蒲選手「優」、井川選手「勝」で合わせて「優勝」に
悲願の総合優勝に向け、万全の状態で箱根に挑む
箱根駅伝の出場選手として登録できるメンバーは、各大学合計16名までで、この中から10区間を走る選手が選ばれます。今回の早稲田大学の登録メンバーは、千明選手、中谷選手、太田選手、井川選手、菖蒲選手の他に、次の通り(12月10日発表)。早稲田大学の総合優勝を願って応援しましょう!
河合 陽平(かわい・ようへい)
スポーツ科学部 4年
愛知県出身
県立時習館高等学校卒業
半澤 黎斗(はんざわ・れいと)
スポーツ科学部 4年
福島県出身
学校法人石川高等学校卒業
山口 賢助(やまぐち・けんすけ)
文学部 4年
鹿児島県出身
県立鶴丸高等学校卒業
北村 光(きたむら・ひかる)
スポーツ科学部 2年
群馬県出身
樹徳高等学校卒業
石塚 陽士(いしづか・はると)
教育学部 1年
東京都出身
早稲田実業学校高等部卒業
伊藤 大志(いとう・たいし)
スポーツ科学部 1年
長野県出身
佐久長聖高等学校卒業
その他の登録メンバー
室伏 祐吾(むろふし・ゆうご)商学部 4年 東京都出身、早稲田実業学校高等部卒業
鈴木 創士(すずき・そうし)スポーツ科学部 3年 静岡県出身、浜松日体高等学校卒業
安田 博登(やすだ・ひろと)スポーツ科学部 3年 千葉県出身、市立船橋高等学校卒業
佐藤 航希(さとう・こうき)スポーツ科学部 2年 宮崎県出身、宮崎日本大学高等学校卒業
栁本 匡哉(やなぎもと・まさや)スポーツ科学部 2年 愛知県出身、豊川高等学校卒業
第98回東京箱根間往復大学駅伝競走
【往路】2022年1月2日(日)午前8時スタート
【復路】2022年1月3日(月)午前8時スタート
※新型コロナウイルス感染症感染防止対策として、テレビなどでの応援、観戦をお願いします。詳細はこちら
箱根駅伝公式Webサイト
取材・文:オグマナオト(2002年、第二文学部卒業)
Twitter:@oguman1977
撮影:石垣星児
【次回フォーカス予告】2022年1月11日(火)公開「奨学金特集」