2010年から始まり、今年で第9回を迎える早稲田学生文化・芸術祭(以下、文芸祭)。日頃の活動の成果を発表する公認サークルにとって、文芸祭は早稲田祭と並ぶ一大イベントです。今年も約30のサークル・団体が出演し、早稲田キャンパスの各会場で熱いパフォーマンスを繰り広げます。本特集では、6月9日(土)・10日(日)のオムニバス公演に出演する3サークルに加え、文芸祭を陰で支える舞台監督と公認サークル「放送研究会」に、今年の見どころなどを聞きました。新入生はもちろん、まだ文芸祭に行ったことのない早大生も、華やかな舞台を見に足を運んでみませんか?
オムニバス公演に出演する3サークル紹介
多彩なサークルが短い持ち時間を使って存分に魅力を発揮する「オムニバス公演」は、文芸祭の目玉の一つ。今回は、初出演となる「早稲田大学バレエサークル Ciel」、異色のヒーローショーを披露する「怪獣同盟」、留学生の関心も高い「日本舞踊研究会」に、意気込みなどを語ってもらいました。
【早稲田大学バレエサークル Ciel】気負わずにバレエを楽しんでいただけたら
幹事長 文学部 3年 和賀 恵(わが・めぐみ)
舞台取締役 文化構想学部 3年 由井 わかな(ゆい・わかな)
私たち「早稲田大学バレエサークル Ciel」は、昨年10周年を迎えた早稲田大学唯一のクラシックバレエサークルです。体育の教科でバレエを担当している先生がご好意で見に来てくださることもありますが、基本的には経験のあるメンバーが中心となって、指導も振り付けも自分たちで行っています。
年2回の単独公演(4~5月の新歓公演、9~10月の本公演)と11月の早稲田祭への参加が、毎年決まっている主な発表の場です。それに加えて、6月頃に毎年違うイベントで踊らせていただいているのですが、今年は初めて文芸祭への参加を決めました。クラシックバレエというと敷居が高いイメージがあるようで、早稲田の中でもCielはまだまだ浸透していません。早稲田のイベントに参加して、少しでも私たちのことを覚えてもらえたらという思いもあり、応募しました。
今回披露するのは「花めく鼓動」というタイトルの創作バレエで、数曲を編集して一作品にしています。皆さんがクラシックバレエと聞いてイメージする、豪華な衣装にトゥシューズを履いたバレエではなく、モダンな雰囲気も取り入れた新しいバレエ(ネオクラシック・バレエ)です。曲ごとにイメージはありますが、ストーリーはありませんので、ぜひ気軽な気持ちで私たちの踊りを見に来ていただければと思います。
◆出演日時・場所:6月10日(日) 15:35~15:55 大隈記念講堂
(写真上)2017年秋に行われた第11回本公演
(写真左下から順に)早稲田祭2017、本公演のリハーサル風景、普段のレッスンの様子
【怪獣同盟】新しいキャラクターのお披露目に注目
幹事長 政治経済学部 3年 廿浦 明日(つづうら・はるか)
「怪獣同盟」は、自称「特撮お祭りサークル」です。他大学などでは特撮作品を見て評論するサークルが多いのですが、私たちは実際に特撮をやる方に重きを置いています。数カ月かけて年に3体ほど制作する着ぐるみは、全てメンバーの考案したオリジナルのキャラクターです。また、脚本も自分たちで考え、映画の撮影やヒーローショーの公演などを行っています。
キャラクターは着ぐるみが劣化してしまうほか、新陳代謝を図りたいということもあり、基本的にリメイクはせずに2~3年で入れ替えます。2014年の早稲田祭で初めてステージに立ち、これまで人気を博していた「エンジークワセダ」と「ブルースワセダ」というキャラクターも昨冬で引退しました。昨年の早稲田祭では、エンジークワセダに続く新キャラクター「ワセダブリュー」をお披露目しましたが、今年の文芸祭では、ブルースワセダに続く女の子の新キャラクターがデビューする予定です。脚本や着ぐるみは目下制作中ですが、怪獣同盟の新しい時代の始まりをぜひ見てほしいと思います。
文芸祭への参加は2年ぶりで、大隈記念講堂でのショーも2015年の文芸祭以来なので楽しみです。写真を見ていただいても分かる通り、怪獣同盟は他のサークルとは全然違うことをやっています。みんなの記憶に残るような面白いショーをやりますのでご期待ください。
◆出演日時・場所:6月10日(日)13:40~14:00 大隈記念講堂
(写真左上)早稲田祭2017出演後 (写真右上)どらま館で公演を行った2016年の文芸祭
(写真下 :左から順に)エンジークワセダとブルースワセダ(早稲田祭2015)、初披露のワセダブリュー(早稲田祭2017)、紫の怪人「カゲロウ」と白いヒーロー「ウイング」(早稲田祭2017)
【日本舞踊研究会】悲恋の物語を朗読と踊りで表現
幹事長 文学部 3年 渡邊 真衣(わたなべ・まい)
文化構想学部 4年 橋詰 果歩(はしづめ・かほ)
「日本舞踊研究会」は、その名の通り日本舞踊を踊るサークルです。私たちは大学から始めたメンバーがほとんどで、普段は上級生が指導しながらお稽古をしていますが、月2回は日本舞踊の五大流派の一つでもある西川流の西川箕乃助先生(1984年 第一文学部卒業)が指導してくださいます。また、伝統芸能ということもあって留学生が関心を持ってくれることが多く、踊りを教えたり、一緒に歌舞伎を見に行ったりする機会などもあります。
今年の文芸祭では、二人の海女の姉妹と、「源氏物語」のモデルにもなった在原業平の兄、行平との悲しい恋物語「汐汲(しおくみ)」という演目を、朗読劇と日本舞踊で披露する予定です。少し複雑で難しい物語なので、初めに5人で朗読劇を行い、背景を把握していただいた上で、踊りをご覧いただきます。
「汐汲」は20分ある大曲を一人で踊ります。また、扱う道具が多くなるほど難しいとされる日本舞踊ですが、今回の演目では、海水を汲む「桶」、「中啓」と呼ばれる扇、そして「三段傘」の3種類を使いますので、それぞれの道具を扱った踊りの違いにもぜひご注目ください。恋と別れを題材とした演目なので、初めて日本舞踊を見る方でも共感しやすく、楽しんでいただけると思います。この公演を機に日本舞踊に興味を持ってくださったら幸いです。
◆出演日時・場所:6月10日(日)14:55~15:25 大隈記念講堂
(写真上)朗読劇と三段傘を扱った踊り(共に2017年の古典舞踊連盟の発表会「和宴」)
(写真左下・中央)2017年の文芸祭では五感で日本舞踊を解説し、踊りを披露 (写真右下)普段のお稽古の様子
文芸祭を陰で支える立役者に聞く今年の見どころ
第3回文芸祭から舞台監督を務めている演出家の中原和樹さん(2008年 第一文学部卒)と、音響や照明などの運営を統括している放送研究会(公認サークル)副幹事長の榎本宗眞さん(法学部3年)に、文芸祭に対する思いや今年の見どころを語ってもらいました。
――まずは、お二人の文芸祭での役割を教えてください。
中原:当日の運営を安全面と進行面で仕切っていくのが舞台監督の役割ですが、参加団体の多い文芸祭では、プログラム構成を考えたり、各出演団体の転換(舞台での入れ替わり)など、全体の構成面にも関わっています。
榎本:放送研究会(以下、放研)も企画段階から文化企画課や学生生活課の職員の方と連携して、当日の映像や音響、照明、MCなどを全て行います。毎年、副幹事長が文芸祭の統括を担当するのが伝統です。文芸祭では、普段放研が関わる公演の倍以上のメンバーがさまざまな役割で携わっています。
――中原さんが文芸祭の舞台監督を務められるのは今年で7回目となりますが、過去6年間で何か違いを感じますか?
中原:出演団体や放研の幹部が変わるので、毎年色が違いますね。ものすごくテンションの高いサークルかと思いきや、翌年しっかりしている学生が幹部に入ると、演目自体は一緒でもがっつりまとめてきたりします。そうかと思ったら、また次の年は自由にやっていたり…。出演団体や放研のカラーによって毎年違うので、その都度新しい発見があります。
――放研の皆さんは、中原さんと一緒に活動することに対してどのように感じていますか?
榎本:みんなすごくいい刺激を受けていると思います。中原さんの文芸祭における舞台周りの仕切りは、普段の公演では自分たちがやっていかなければならないことも多いので、中原さんの行動を見て学び、次の公演に生かしています。こうしてプロの方に仕切っていただく機会は文芸祭だけなので、放研にとっても大きく成長できる貴重な場です。
――第9回目となる今年の文芸祭の見どころは?
榎本:昨年よりも出演団体が増えました。早稲田には個性豊かなサークルが多いので、いろいろなサークルが出てくれることで、幅も広がります。朝からずっと見てくださる方はなかなかいないと思いますが(笑)、朝から一日中見ても面白いと思うので、ぜひ来てほしいです。
中原:僕は毎年サークル同士のコラボが面白いなと思っています。今年も3組のコラボを予定しています。これは文芸祭ならではです。どのサークルも4月に新入生が入り、6月の文芸祭はお披露目の場にすることが多いので、コラボを企画するのはなかなか難しいようですが、僕としては、今後どんどんコラボが増えていくとうれしいですね。
――お二人にとって文芸祭とは?
中原:僕は早稲田大学在学中から舞台監督をやっていて、実は「TAP-LOVERS(タップラバーズ)」や「バレエサークル Ciel」の立ち上げ時期や、「Waseda International Festival(W.I.F)」の初期にも関わっていました。また、文芸祭の舞台監督をやらせていただくことで、いろいろなサークルについても詳しくなりましたね。今の早稲田の学生や文化に触れることで毎年発見がありますし、彼らのパフォーマンスに対するエネルギーや純粋に好きだという気持ちは、プロになると忘れがちなので、文芸祭を通して原点に帰ることができます。
榎本:文芸祭は、放研にとっても早稲田祭と並んでサークル一丸となって頑張る一大イベントです。早稲田の学生文化が一同に集まる祭典なので、とてもエネルギッシュで、僕たちも裏方でオペレーションしながら元気をもらえます。先ほども言いましたが、ぜひ朝から来て、いろんな早稲田を見てほしいです。
――今後の文芸祭に期待することはありますか?
中原:出演団体が増えれば、注目する人も増えると思うので、いずれは早稲田祭と双璧を成すくらいに出演団体が増えてくれればいいなと願っています。毎年1cmずつくらいは近づいているかなと思いますが…(笑)。大隈記念講堂でパフォーマンスすることはサークルにとっても良い機会ですので、今後もっと多くの団体に参加してほしいですね。
早稲田大学在学時は公認サークル「英語会(W.E.S.S)」所属。英語劇と英語ミュージカル団体に関わり、プロの演出家や舞台スタッフから演劇を学ぶ。卒業後、劇団「もんもちプロジェクト」を立ち上げ、ストレートプレイの演出・オリジナルミュージカルの製作および演出を重ねる。その他、子供ミュージカルの演技指導・演出、昭和音楽大学や東京藝術大学の企画で音楽劇・ミュージカル・オペラの演出を行うほか、アクティングコーチとして、他劇団の演技指導も行っている。フリーの舞台監督として、ジャンルを問わず舞台芸術に関わっている。英語力を生かし、海外公演でも活躍中。
第9回早稲田学生文化・芸術祭 概要
◆開催期間:2018年6月4日(月)~22日(金) ※入場無料
◆会場:大隈記念講堂、大隈記念講堂ロビー、27号館1Fショーウインドウ、27号館B1Fワセダギャラリー
◆主催:早稲田大学学生部・文化推進部
公式Twitter
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