公認サークルの「新人」「卵」「大御所」が語る「なってよかった!」「ぜひなりたい!」
早稲田大学では、所属学生数や活動実績など、一定の要件を満たしたサークルを「公認サークル」として承認し、大学の施設利用を許可したり、課外活動に対する補助金を交付するなどして、その活動をサポートしています。現在、約600もの「公認サークル」がありますが、活動内容はもちろん、その歴史、規模、活動頻度、目標などもさまざまです。 今回の特集では、昨年度公認サークルになったばかりの「新人」である早稲田大学フラッシュモ部、現在公認サークル登録申請中の「卵」であるスポーツチャンバラ剣隼会、大正時代に設立された公認サークルの「大御所」である済蔭団から、公認であることのメリット等について、それぞれ話をお聞きしました。
「新人」早稲田大学フラッシュモ部~「早稲田大学の公認サークル」の看板が持つ信頼性は大きい
幹事長:商学部 3年 池本 郁哉(いけもと・ふみや)
――どのような活動をしていますか?
「フラッシュモブ」については、最近テレビで取り上げられるなどして知名度が上がりましたが、知らない方には、私たちの活動の動画を見ていただいた方が早いかもしれません。多数の部員が互いに無関係な通行人を装ってターゲットとなる人物の周りにいるのですが、突如パフォーマンス(ダンスや演奏など)を一斉に、または続々と開始し、依頼者がターゲットの人物にプロポーズや誕生日のお祝いなどをサプライズで行うのを盛り上げるという活動をしています。
「結婚10周年、妻に感謝の気持ちを伝えたい!」(2015年12月20日 横浜みなとみらいにて)
――まだサークルが設立されて4年目ですね。
2013年に設立された当初は20~30名ほどのメンバー数だったのですが、現在は約200名に増えています。今年は約180名の入会申し込みがあり、抽選を行って約90名が入会しました。実は私もそうでしたが、フラッシュモブの動画を見て入会を希望する新入生が多いようです。外部の会議室やスポーツセンターを借りて、週2回練習しています。

設立から3年弱で、部員数が10倍近くに増えました
――2015年度に公認サークルになって1年、メリット・デメリットはありましたか?
人生における大切な一場面の演出をお手伝いさせていただくことになるので、まずは依頼者の方から当サークルに信頼を寄せていただき、演出方法などを託してもらうことが必要になるのですが、初めて申し込まれる方がほとんどなので、最初から信頼していただくことは難しいです。それが昨年度、「公認サークル」になったことで信頼感が一気に増したように思います。やはり「早稲田大学の公認サークル」という看板の力は大きいと実感しました。それが「公認サークル」となった最大のメリットだと思います。デメリットは…、思いつかないですね。
――これまでの活動で、失敗談や変わったエピソードはありますか?
事前にかなり綿密に現場の下見やリハーサルを行っていますので、これまで何か失敗したということはありません。道路工事の音などでパフォーマンスを妨害されたこともないですね(笑)。一度、スピーカーから流している音楽が止まってしまったというアクシデントがあったのですが、それでも全員で、全く何事もないように踊り続けたので、依頼者の方に非常に感謝されたということがありました。

驚きと感動の瞬間に立ち合えるのが、フラッシュモブ(モ部)の醍醐味(だいごみ)!
――最後に、早大生に向けてひと言。
社会人の方からの依頼が多いのですが、フラッシュモ部では学生の方からの依頼も歓迎しています。大切な人をサプライズで喜ばせたい方がいらっしゃいましたら、ぜひフラッシュモ部にご一報ください。
「卵」スポーツチャンバラ剣隼会~スポーツチャンバラサークルならではの「公認サークル」になりたい理由とは?
幹事長:文化構想学部 2年 淡路 正太郎(あわじ・しょうたろう)
副幹事長:商学部 2年 皆津 恭平(かいつ・きょうへい)
――どのような活動をしていますか?
淡路:週2回、近くの中学校や小学校の体育館を借りて、スポーツチャンバラの練習をしています。昨年度まで部員数が21名でしたが、今年18名新入生が入って、約40名になりました。現在、男子と女子で一緒に練習しています。もちろん大会は男女別に行われますが、スポーツチャンバラは一概に性別で強い・弱いが決まるということもなく、個人の努力次第でどんどん強くなれるスポーツです。
皆津:基本的に個人技ですが、昨年6月に開かれた関東学生大会では、新人男子団体戦で3位に入りました。週2回の練習の他、毎年地方で夏期合宿を行っていますが、走り込みや筋トレはほとんどしないで、朝から夕方まで、ずっとスポーツチャンバラの練習をしていますね。終わったら、みんなでカレーを作って晩ご飯です。
- 左:淡路 右:皆津
- 武具を着けてみました
――スポーツチャンバラのどんなところに魅力があると思いますか?
淡路:相手の体のどこにでも、剣先がしっかり当たればポイントになるという、ルールが非常にシンプルで、分かりやすいところでしょうか。もちろん、やみくもに剣を振り回せば勝てるというものではなく、相手の動きをよく見て、瞬時に相手の隙を突くという頭脳プレーも必要になります。
皆津:武具が柔らかくて軽い素材でできており、剣は中に空気を入れて膨らませるという、その名の通り「エアーソフト剣」ですので、当たっても全然痛くないのです。痛い思いをしたり、けがをすることがあまりないスポーツだというところも魅力の一つだと思います。

剣が体に当たっても、痛くないので笑顔です
――現在公認サークルへの登録を申請されていますね。
淡路:サークルが結成されて12年目になりますが、今回私の語学の授業の先生が会長を引き受けてくださることになりましたので、公認サークルの申請をすることにしました。公認サークルになりたい理由としては、これは他のサークルも同じかと思いますが、新入生にその存在を知ってもらいやすく、入ってもらいやすくなることがまず挙げられると思います。やはり存在を知ってもらうことは重要で、今回、新歓イベントの宣伝をTwitterやチラシでかなり積極的に行ったのですが、予想以上に多くの新入生に練習体験会に来てもらうことができ、「スポーツチャンバラって面白い!」と好評でした。
皆津:やっているスポーツ自体にそもそも魅力があるということですので、あとはこのサークルの存在が広く知られるようになれば、部員は自然に集まってくるのではないかと思います。今年度公認サークルになれれば、今後順調に規模が大きくなっていくのではないかと期待しています。

現在のメンバーです。数年後には数倍に増えているかもしれません…
――スポーツチャンバラのサークルならではの公認サークルになりたい理由はありますか?

傘からはみ出る巨大な荷物…
淡路:スポーツチャンバラは武具を使用して行いますので、面や剣などの武具を持参する必要があるのですが、これがかさばって大荷物になります。講義の後に練習のある日は、教科書とこの大荷物を持って、自宅から大学、そして練習場へと移動しなければなりません。高田馬場駅から混んだ電車に乗るときや、今日のように、傘も持たなければいけない雨の日は非常に大変です。実は、公認サークルになりたい一番の理由は、部室がほしいからかもしれません。部室があれば、武具一式を置いておけるようになるので、この大移動の苦労から、かなり解放されることになります。
皆津:他には、課外活動の補助金の交付が受けられるようになったら、武具の購入費に充てたいと考えています。それほど激しく消耗するというものでもないのですが、やはり武具であるためそれなりに傷むので、2年に1度くらいは買い換える必要があるのです。でも、スポーツチャンバラの武具は、他のスポーツの用具と比べてそれほど高価ではないので、全般的にあまりお金のかかるスポーツではないと思いますが。
*追記:このインタビュー実施後、2016年6月6日付で「スポーツチャンバラ剣隼会」は公認サークルとして承認されました。
「大御所」済蔭団~1922年設立、伝統の掛け軸を守る
副幹事長:教育学部3年 山中 雅人(やまなか・まさと)(右)
会計:政治経済学部4年 古賀 慎太郎(こが・しんたろう)(左)
――どのような活動をしていますか?
古賀:毎週木曜日の夜、学生会館の茶室で坐禅を組んでいます。出入り自由ですので、毎週出席する固定のメンバーに不定期に加わるメンバーが若干名います。初心者の人には、足の組み方をまず説明するので、どなたでも安心して参加してもらえると思います。休憩を挟んで、20分程度の坐禅を2回組むというのがだいたい基本的なパターンです。
山中:また、禅寺である鎌倉・円覚寺で年4回、1泊2日で坐禅を組む会を開いています。「円覚寺学生坐禅会」と称していますが、早稲田のみならず、一橋大学や学習院大学などの他大学、さらに一般の方も含めて、毎回30名ほどが参加します。夜10時就寝、朝4時起床で、それ以外の時間帯はほぼ坐禅を組んでいます。

北鎌倉にある禅寺・円覚寺の居士林。ここで学生坐禅会が開かれます

円覚寺の横田老師に書いていただいたサークルの立て札
古賀:OB・OGの方との交流も盛んです。歴史が古いので、高齢の方が多くいらっしゃいますが、毎年大隈庭園内の完之荘で新年会を行っており、昔のお話をいろいろお伺いするなど、親睦を深めています。学生時代坐禅に打ち込まれ、精神的な鍛錬を積み重ねてこられた方々ですので、仕事で困難に直面された際も、信念を持ってその局面を打破し、ご自分の職責を果たしてこられたそうです。こうしたOB・OGの存在が、済蔭団の存続を支えてきたのだと思います。

2016年度のOB・OG新年会にて
――歴史ある坐禅サークルにとって、「公認サークル」であることのメリットは何ですか?
山中:やはり、学生会館1階の「茶室」を活動場所として使えることですね。立派な床の間のある部屋を茶道部と共同使用しているのですが、坐禅を組むのですから、当然畳のある和室が必要となりますし、さらに床の間があるというのも、私たちには非常にありがたいことです。
というのも、当サークル伝統の品として、昭和35年に平等軒朝比奈別峰老師が書いてくださった掛け軸があるのですが、私たちが坐禅を組む間、これを床の間に掛けておくことができるからです。非常に貴重な品ですので、使用しないときは鍵のかかるこの部屋に保管しておけるというのも、大きなメリットですね。

茶室の床の間にサークル伝統の掛け軸を掛けて、坐禅を組んでいます
――100年近い歴史の中で、存続の危機を迎えたことはありませんか?
山中:現在80歳を超えるOBの方が学生だったころ、戦後間もなくの頃かと思うのですが、断絶しかけたことがあったようです。そのOBの方が、同じく済蔭団OBで当時法学部の教授でいらした故・齊藤金作先生に、済蔭団の復活を要望されたところ、「済蔭団はある。私一人で済蔭団だ!」と、済蔭団が自分一人でも続いていることを宣言されたとのことです。その後、そのOBは、齊藤先生に会長になっていただき、済蔭団を名実共に復活させたそうです。
古賀:坐禅は一人で足を組んで行うものですから、大勢の人員を必要とするフラッシュモブや、対戦相手を必要とするスポーツチャンバラと異なり、本来一人いれば、構成員としては十分なのです。齊藤先生がおっしゃられたことはある意味もっともだと思います。
――最後に、早大生に向けてひと言。
山中:私たちのサークルは、1年生の時のみならず、2、3年生になってから、坐禅に興味を持って新たに参加してくる人もいて、かなり出入りが自由な雰囲気です。会合への参加が義務付けられていたり、突然欠席して他のメンバーに迷惑を掛けたりということがありませんので、気が向いたら気楽に参加できるかと思います。
古賀:坐禅は、「足を組むのが痛い」とか、「肩をたたかれるのが痛い」とか、「痛い」イメージが先行していますが、慣れてしまえばどちらも大して痛くありません。人によって坐禅に求めることはさまざまで、「自分の内面と向き合いたい」「集中力を高めたい」「穏やかな気持ちでいたい」「心が折れないようになりたい」などいろいろあるかと思いますが、それも何をどこまで追求していくのか、自分で選べます。いろいろな意味で自由ですので、興味のある方はご参加ください。
*公認サークルガイドについて
今年度より、活動内容のジャンルごとにWeb検索できる「公認サークルガイド」を立ち上げ、サークル活動が分かりやすくなりました。新歓活動の時期は過ぎましたが、「公認サークル」について調べる際はぜひ利用してください。
【次号特集予告】6月20日(月)公開 「増加する『発達障がい学生』 早稲田大学が支援できること」