選手を支える陰の力! 学生トレーナーに注目
新入生40人を含めた141人の選手をサポートする学生スタッフは、学生コーチ4人・学生トレーナー3人・マネージャー4人の全11人。中でも、トレーナーの役割を学生が担うのは、スポーツ科学部のある早稲田大学ならでは。今回は、裏方に徹して選手を支える学生トレーナーの筒井俊春さんにその活動について話を聞きました。

ピッチング練習後に選手の肩のケアを行う学生トレーナーの筒井さん
学生トレーナー
スポーツ科学部 4年
筒井 俊春(つつい・としはる)
──学生トレーナーとしての活動内容を教えてください。
まず、練習前にアップの指導を行います。だいたい15分くらいですね。その後、野手とピッチャーに分かれて練習に入りますが、私は主にピッチャーのトレーニングを見ています。そして練習の終わりに、ピッチャー・野手それぞれのランニングや体幹トレーニングを指導しています。練習以外の場面では、けがをしている選手のリハビリを行ったり、健康な選手のコンディション調整を行っています。

1週間のトレーニングメニューは室内練習場にも掲示
──トレーニングメニューは毎日同じですか?
いいえ、基本的には曜日ごとに異なります。毎年4年生の学生トレーナーが監督や選手の意見を取り入れながら、年間で日々のメニューを決めているんです。もちろん試合結果や天候などによって変更することもありますが、昨秋の新チーム結成から5月末の春季リーグ戦終了までのトレーニングメニューはすでに決めていて、毎週1週間分のメニューをあらかじめ選手に連絡網で知らせています。
──試合中の役割は?
ベンチ裏で投球前の中継ぎ・抑えピッチャーの肩のアップを手伝ったり、股関節の可動域を広げたりするほか、ドリンクやバナナ・ゼリーなどを用意してベンチ入り選手の栄養面でのサポートも行います。あとは、グラウンドでの選手同士の衝突など、何かあった場合にすぐ対処できるように準備しています。
──学生トレーナーになった理由は?
子供のころからプロ野球の関係者になりたくて、早稲田大学スポーツ科学部に入学したのがきっかけです。学部で学ぶことを生かしつつ、スタッフとして最も身近に選手と接することができるという理由でトレーナーの道を選びました。ちなみに私も中学時代は野球部で選手としてプレーしており、高校ではバスケットボール部に入っていましたが、野球に対する思いは諦められませんでした。学生トレーナーは専門性が高いので、私以外の2人もスポーツ科学部の学生です。

練習後のトレーニング指導(中央が筒井さん)
──トレーナーとしての技術はどのように身に付けたのでしょう?
大学の授業で学ぶことが多いですが、授業時間外でも主に体育各部の学生トレーナーを対象に、リハビリを専門としている先生などが実習を通して教えてくれる機会があるんです。これはスポーツ科学部ならではだと思います。その他にも、治療院やジムを見学したりして自主的に学んでいます。
──大変なこと、苦労したことは?
どこの部でも同じだと思いますが、1年生の時の準備や片付けなどの雑用は大変でしたね。でもそれが一番基本的で大事なことだと思います。トレーナーの面で言うと、アイシングを作ったり、肩や肘に巻いたりするのが初めは難しかったです。単に氷を袋に入れれば良いだけではなく、選手の体に当てやすくしなければいけませんから。

適切なアイシングは学生トレーナーの重要な仕事の一つ
──やりがいを感じることは?
けがをしている選手が自分の行ったリハビリで良くなったり治ったりするときにやりがいを感じます。けがの状態に応じて、どのようにリハビリを行うのが一番いいか、実習で先生に確認しながら試行錯誤しています。
──4年生になって何か変わったことはありますか?
最上級生となり、トレーナーというよりも部のスタッフとして、学生コーチと一緒に練習を盛り立てていこうという思いが芽生えました。トレーナーが表に出ることはありませんが、チームを引っ張っていかなければいけないという責任感は、自分でも驚くほど強まりましたね。
──将来もトレーナーを?
まだまだスキルが足りないので、卒業後は専門学校や留学を通じてトレーニングについてさらに学び、トレーナー業を仕事にしたいと思っています。トレーナーの仕事は競技によって全く異なりますので、できれば野球の道で続けたいです。
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