東京・中野の異空間「WISH」の日常
2015年9月、新しい留学生を迎え入れた国内最大規模となる国際学生寮「WISH」(早稲田大学中野国際コミュニティプラザ内)では、現在、入寮者のう ち約4割が20カ国・地域の外国人学生です。受け入れ・派遣共に留学生数日本一を誇る早稲田大学の国際化のシンボルといえるWISH。寮独自の「SI (Social Intelligence)プログラム」では、寮生が日々、「多様な文化背景・価値観などの中で正解のない問いに答えを見出す力」を養っています。 WISHの寮生にその魅力を紹介してもらいました。
WISH 概要
【入寮資格】 学部新入生 ※RA除く
【入寮期間】 4月入学者…2年間/9月入学者…1.5年間
【建物】 鉄筋コンクリート造り、地下1階地上11階建て
【寮室】 原則4人1ユニット(4個室と1リビングルーム)
【共用施設】 2階に多目的教室、フィットネスルーム、音楽室、浴室、ラウンジ・ロビー。各階にコミュニティーキッチン、シャワールーム、ランドリールーム、トイレ。
【アクセス】 JR・東京メトロ「中野」駅徒歩9分

国際学生寮 WISH
憧れのRAに
先進理工学部3年
ブラメルド真理(まり)(オーストラリア出身)
シドニーから来ました。1・2年生のときは民間の女子学生会館に住んでいたのですが、寮生が安心して寮生活を送ることができるようサポートする RAに興味があって、Waseda-netポータルの募集情報をチェックし、今年春から入居しました。RAはボランティアとして、学生の立場で寮生の相談 相手となり、親睦を深める活動を行っています。WISHは普段通う西早稲田キャンパスとは別世界。共用キッチンにいるだけでも、さまざまな料理の香りで国 際色の豊かさを感じられる刺激的な毎日を送っています。今は放射線や加速器などの応用物理分野をさらに学ぶため、大学院への進学も考えています。いろんな 学部のRAがいるので、授業のことも気軽に相談してほしいですね。
中学校への出前授業も
WISHでは地域貢献活動の一環で、近くの区立中野中学校で出前授業も実施しています。留学生を含む寮生が2人1組となって、日本とアメリカのファストフード店の違いや、子どもの多くが経験するゲームなどを披露し、国際理解について考える機会などを提供しています。

出前授業の様子
9月入寮の新留学生
国際教養学部1年
ジュリアン・スマート(アメリカ出身)
アメリカの音楽系の高校で、バイオリンを専攻していたのですが、母の母国である日本の文化に触れようと留学を決めました。防音の音楽室があり、バ イオリンも続けているので、ワセオケに入りたいですね!SIプログラムでは日本文化を学ぶ機会もあり、新たな視点に気が付いたり、貴重な体験ができていま す。
寮内一のきれい好き
政治経済学部2年
光山 成宇(みつやま せいう)
昨年の少林寺拳法全日本学生大会で優勝しました。掃除が大好きで、共用スペースでも気が付くと体が勝手に…みんなに重宝されています。必要以上に物を置かないことが重要ですね。
寮内瓦版「WISH TIMES」
文化構想学部4年
尾家 杏奈(おいえ あんな)(RA)
10人のライターで、寮の日常・学生を定期的に紹介しています。自身が掲載されると寮で話し掛けられる機会が増えて、友達になるきっかけにも。実はWISHには囲碁の学生王者が2人いて、紙上対決企画を実施し、大人気の記事になりました。
私のWISHベスト5
国際教養学部2年
ジャーヌ・エベンヂンガー(フランス出身)
早稲田キャンパスまで30分程度で行けるロケーションは、周囲が公園で日当たりも最高。スタッフの「行ってらっしゃい」「お帰りなさい」の声が、自分の家のような感じを与えてくれます。キッチンで寮生と料理して、リビングでも一緒に勉強。毎日が充実です。
Best1 ロケーション
Best2 モダンで明るい建物
Best3 優しいスタッフ
Best4 共用リビングのある個室
Best5 大きなコミュニティーキッチン
授業にはない、WISHならではのSIプログラム
「日本の会議スタイルはゴルフ型?ラグビー型?」と、新しく入ったばかりの寮生らに問い掛ける講師。日本への理解を深め、寮生自身が異文化を客観的 に理解し、バックグラウンドが異なるさまざまな人たちとうまく意思疎通を図れるようになることを目指した内容のプログラムで、大学の授業で得た知識・経験 を活用するグループワークを中心としたSIプログラムの一コマです。ある回では、議題について一人一人が手を挙げて発言するゴルフ型と、全員が自由に発言 するラグビー型の会議スタイルについて、寮生たちが少人数のグループで議論を重ね、それぞれの意見を発表しました。合意形成力やコミュニケーション力を養 うテーマなど、SIプログラムの内容は多岐にわたります。月曜から金曜の19:00から20:30に実施され、寮生は週1回の参加が義務付けられていま す。また、顕著な成果を挙げた寮生には国内外でのビジネスシーンを体験できる機会「AWARD」が与えられます。

ゴルフなどを例えに日本文化についてグループディスカッションを行っているSIプログラムの様子
学びの報酬は学び、マレーシアでビジネス体験!
政治経済学部2年
倉橋 勇太朗(くらはし ゆうたろう)
AWARDに参加し、寮生10名でマレーシアのショッピングモール4店舗の実態を調査しました。実施した顧客アンケート収集と顧客分析では、ロー カルのニーズに合わせて商品・値段を変える必要があるものの、ショッピングモールでの人気商品は日本とそれほど変わらないということが分かりました。自分 の強みや課題を振り返り、これから先どのような力を身に付けていくべきかを学んだ研修でした。友人と共に研さんしたこの5日間は、普段の寮生活以上に友情 を深めることができただけでなく、今後の自分自身の勉強や進路決定の面においても生かすことのできる、充実した期間でした。

現地の人にインタビューして実態を調査
柳井 正(やない ただし)さんらがWISHに託したこと
「世界各国の学生が相互の認識と理解を深めて、持続的な友好関係を生んでほしい」。国際ビジネスの分野を歩んできた校友・柳井正さん(1971年政 経卒、ファーストリテイリング会長兼社長)は、WISHの教育方針に共鳴され、香港の実業家である曹其鏞(そうきよう)さん、また曹さんの友人である実業 家・荻野 正明(おぎの まさあき)さんらとともに、多大な寄付金をくださいました。他の校友の方や多くの皆さまからのご寄付と合わせ、その意志は、寮生 の毎月の寮費補助(月額1万円)に活用させていただいています。柳井さんらは、昨年春に行われたWISHの開所式にもご出席され、寮生とも交流。「今や世 界中の誰もが、世界中で働くチャンスがある時代であり、WISHから世界をより良い方向に導く人材が育つことを切に願う」との激励をいただきました。

昨年春、寮生との交流会で激励する柳井正さん(左)